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「今度から俺の代わりにここに来ることになった。……とは言っても、しばらくは俺と同伴になるけどな」
アドの言葉に、老婆は眉をひそめて「ふぅん……」と呟いた。
「いつものかい?」
「ああ」
テントの隅に置いてあったバケツを、老婆の前に置いた。
老婆は後ろにあるパイプを掴み、バケツに差し込んだ。
その瞬間、クリーム色の液体が勢い良く流れ込んだ。
バケツ一杯に注がれると、自動で止まった。
「ほら、持っていきな」
それを聞いて、アドが私を見て、お前が持て、と言った。
「絶対にこぼすなよ」
ポケットから札の束を取り出して老婆に渡した。
持ち上げたバケツは、ずっしりと重く、歩くのがやっとだった。
「行くぞ」
アドを追ってテントを出る前に、老婆の方を振り返った。
老婆は私を睨んで「早く行きな!」と言った。
アドの後ろを、バケツを落とさないように追っていると、小石に躓き、転んでしまい、バケツの中身が散らばってしまった。
アドが私に近付く。
私の胸倉を掴んで顔を近付けてきた。