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「亜戸は、僕の目の前に、僕の姿で現れた。そして、僕自身が亜戸になっていた……これはいったい、何を意味するんだろう? 僕は、僕に助けられたかったのかな? それとも、亜戸に助けられたかったのかな……」
「多分、亜戸さんと一緒に助かりたかったんじゃないかな。叔父さん、亜戸さんにゾッコンみたいだし」
「ゾッコンなんて……面白い言葉知ってるね」
僕の言葉に、英斗君は僕そっくりの笑顔で笑った。
「人間は悪夢より恐ろしいよ。英斗君も気を付けて。最近、悪夢を見ているみたいだから……父さん―――爺ちゃんにも、ちゃんと相談するんだよ」
「ありがとう。じゃ、俺はこれで」
病室を出ようとする英斗君と、売店から戻ってきた亜戸がすれ違った。
「あれ、英斗君、もう帰るの?」
「はい。叔父さんをよろしくお願いします」
英斗君の後姿を見て、ある事を思い出した。
「アドに礼を言ってない……」
「え、私が、何?」
「ああ、いや……夢の中で、アドが、僕を助けてくれたんだ。なのに、礼を言い忘れて……」
「それ、私じゃダメ?」
「え?」
「あ、いや、その……ひー君、夢で私に会ったって言ってたから……」
頬を赤くしている。可愛い。
「そうだね。ありがとう、アド」
退院まで、あと数日。
退院したら、今の仕事はやめるつもりでいる。そりゃあ、あんな事があった場所にはいたくない。
亜戸の家は自営業をやっている。手伝い程度なら、出来るかもしれない。
アドには、本当に感謝している。僕のピンチを救い、目を覚まさせ、亜戸に会わせてくれた。
今も毎日、夢を見る。その夢の中で、またアドに会いたいと願う。
パラノイア 完




