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彼は、アドルフと名乗った。
が、私には「アド」と呼べと言った。
高慢で少しわがままっぽそう。
私が何か言う前に、アドは私を拾うと言い出した。
拾って、再教育をすると言った。
「ついて来い」
後ろを向いて、歩き出す。
ついて行こうと一歩踏み出して気付いた。今の私は、身体に何も纏っておらず、全裸だった。
ふっくらとした胸と長い髪。それらを見下ろした瞬間、胃の中身を全て吐き戻してしまっていた。
綺麗な花が吐瀉物で汚れていく。何とも言えない気分になった。
たどり着いたのは森の奥にある小屋だった。
促されるまま中に入り、奥の部屋に通された。
ベッドとランプ、机、椅子、タンス。これしかなかった。
「服はタンスに入ってるから自由に着てろ」
部屋を出ようといたので、声をかけると動きが止まった。
寂しいと伝えると、溜め息をついて部屋に残った。
タンスを開けると、ジーパンと白シャツ、上着が何着か入っていた。
いそいそとそれらに袖を通す。胸が邪魔をして上手く着られない。
結局、アドに手伝ってもらい、着ることができた。
「じゃ、そこに座れ」
ベッドを指さしたので、言われるがまま座ると、椅子を引っ張って、それに座った。
「再教育をする」
そう言った。