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「何してたの?」
「ずっと病室にいたら、腐っちゃうなと思って、散歩」
「そっか」
隣に座った。
「怪我の様子、どう?」
「良いみたい。来週には退院出来るって」
「本当!? 良かった……」
亜戸の笑顔を見て、目を覚まして良かったと思った。
「ねぇ、また聞いてもいい? 夢の話」
「うん」
目が覚めたその日のうちに、僕は亜戸に夢の事を話した。支離滅裂だった僕の話を、亜戸は何度もうんうんと頷きながら聞いてくれた。その日以降、亜戸は僕の夢の話を聞きたがる。苦ではないから、別に良いけど。
僕の家は、少し特殊な家柄にある。母は離婚歴が有り、その後、再婚しており、僕は連れ子ということになる。
そんな境遇でも、亜戸は僕を受け入れてくれた。僕にとって、亜戸は全てだった。
だからこそ、夢に亜戸が出てきたのだろう。
僕を襲った上司は、同性だった。
男性への恐怖から、僕は無意識のうちに、僕自身の性を変え、相手となりうる亜戸の性も変えたのだろう。僕の夢は、そこそこ都合の良いように出来ている。まぁ、男性への恐怖が、亜戸の口調を酷く乱暴なものに変えてしまっていたが……。
「理にかなってるんだね、ひー君の夢」
「うん」
見たい夢を、確実に見られるわけではないけど、見たい、会いたい、触れたいと思ったものを、何らかの形で夢に出してくれる。




