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少女と魔王の出会い

 数年前、人類は悪魔と出会った。

悪魔とは想像上の生き物ではなかった、人間に似たような容姿のもの、異形と呼ぶに相応しいもの、人間より強いもの、弱いもの、多種多様であった。

しかし、どれもが共通する事、それは魔力という不思議な力を持っているという事であった。

悪魔は人類を襲うこともなかったのだが、その魔力というものは恐ろしいもので、科学などではとても推し量ることのできないものであった。

魔力は本来人類の手に届かない事を可能にしてしまう、それが良いか悪いかは別として。

人類は恐れをなして魔力及び、悪魔の利用を禁止し、その存在を無かったことにした。

またそれに関する本を禁書、それに関する儀式を禁忌とした。

こうして、悪魔と人類の関係は断絶した。


 時は変わって現在、断絶したはずの関係を利用せんとする少女が居た。

少女の名はシオン・ブライト、十三歳であった。

美しい金色のロングヘアー、翡翠色の瞳、誰もが憧れるお姫様のような容姿である。

彼女は街では有名だった富豪、ブライト家の一人娘である。

有名『だった』というのは、ブライト家の家業を運営していた両親は既に亡くなっており、もはや過去の栄光と言っても過言ではないからだ。

それでも、彼女は一人の召使と共に穏やかな生活を満喫していた。

収入は無くとも、残された遺産により一生遊んで暮らしても釣りが出るほどだ。

その生活は誰もが羨む程であった。

それでも彼女は、悪魔に頼らざるを得ない状況に立っていた。


「魔法陣を描いて、召喚者の血を垂らして、、三分程待つ?何だか即席麺を作っている気分ね……」

短い期間で関係は断絶された為に、人類が悪魔を呼び出す方法は不完全なものであった。

それは言うならばランダム召喚。特定の悪魔を呼び出すことなど全く不可能であり、この召喚が失敗すれば瞬く間に捕食される可能性すらあるという。

「いいかげん過ぎやしないかしら、とはいえ頼れるものも他にないし……」

そうこう呟く間に、三分が経った。


「きゃあっ!!」

眩い光と雷鳴のような轟音が響いた。

恐る恐る目を開けてみる。

すると、陣の上に先程まで居なかったはずの男が立っていた。

「人間の召喚陣か……」

その男は明らかに不快そうな顔をしている。

一応人語を話しているし、この点では召喚成功であろう。

「あ……あのー」

「貴様か、俺を呼び出したのは」

「はい、そうなりますね」

会話も普通に出来る、大当たりだ、と思われた、

「例え話として、用事の途中に急に呼び出されて良い気分ではいられんよなぁ?その権利が貴様等にしか無いと考えれば尚更だ」

あっ、凄い怒ってますね、と直感的に感じた。物凄い親近感である。だが、構ってはいられなかった。

「すいません、私には残された時間も頼れる相手もいなくてですね」

彼女は怒る悪魔相手にも怖気づくことなく話を進めようとする。


「私と取引をして欲しいんです」

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