【祝一周年】それさえも最高で最低な、彼の一番長い夜・04
キャラ崩壊しているような、していないような。
錆びついた扉とかブリキって、なんであんなに固くて鈍くしか動かないのだろう。
そう不思議に思ってた時期が俺にもありました、はい。
「…………………………、えっと」
ダラダラと、猛暑によるものでは決してない冷たい汗が滝のように流れるのを他人事みたいに感じる。動作不良を起こした機械のようにガタガタ震えながら、俺は発声源へと首を向ける。ギッ、ギギッ、ギギギッ……と、どこからか錆びた金属から出て来そうな音が聞こえた気がした。
ひくっ、と喉を鳴らしながら、恐る恐る目の前の少女に尋ねる。
「いっ、いつからそこに……?」
目の前の少女・水無瀬幸はこんな熱帯夜でもいつものように――下手したらいつも以上の冷気を称える眼光でこちらを向いていた。その顔に浮かんでいるのは呆れかドン引きか。どっちにしても氷柱のような冷たさと鋭さがそこにあった。
「……貴方が手と鼻の下を伸ばして彼女に触れようとする辺りからですかね」
「今さっきじゃねーか!」
手に何か持ってたら絶対床に叩き付けてた。そう思う勢いで、これはツッコミせざるを得なかった。まるでさっきからいるような雰囲気出してた癖に……あ、あれ? ちょっと毒舌成分が物足りなく感じる自分がいるぞ?
なんだか禁断の領域に踏み込みそうな思考を切り替えて、極めて通常営業の如く切り返す。
「あと鼻の下も手も伸ばしてもいねーよ」
「…………そうですか」
「?」
「いや……ならその胸に触れようとしてる手はなんですか? と思いまして」
「…………………………。 ――――はっ!」
本当だ、あまりにもユッサユッサと悩ましげに揺れる山脈に誘われてついつい無意識に手を伸ばしていた野郎がいた。ってか俺だった。慌てて手を引っ込める。
「危なかった……。もう少し言うのが遅かったら俺は犯罪者になる戸頃だったぜ。サンキューな」
「……誰がどう見ても今のは完全にアウトかと」
ですよねー、知ってた。
「本当に、この犯罪者予備軍は――」
「そんな昂った欲望、ぶつけるなら私にして下さい」
「なんでそうなる……」
「というか私達の登場タイミングが遅過ぎます。どうなってるんですか兄さん」
「俺が知るか!」
ナニとは言わんが実の妹にぶつけちゃうとか、法律真っ向勝負し過ぎだろ。それにMORE出番な話題は全部、体調不良になりがちでガチ虚弱体質なおっちょこちょい作者に訊いてくれ。というか誤字脱字に修正の遅さが最近目立ちまくってるんだが、なんとかしろよ作者よ。をい。
そんな情けない、見るも無残な体たらくだから希がメタ発言かますんだって――――
「――はぁっ!?」
「やっはろ~♪ です兄さん。今は夜中みたいですけど」
「あ、あははは……」
バッ、っと更なる発声源――サチの背後へと視線を向ければ。
そこにはいつも通りのマイペースな妹・希と、優しげに苦笑して手を振る貴重な癒し系幼馴染み・三咲可憐の姿があった。
いつの間にだか気が付けば見慣れに見慣れたメンツ、布陣がこの意味不明で理解の方が拒否権を発動しそうなこの場所に集結していた。
不作だ不作だ思ってた今季アニメ、気付けば何気に色々楽しみにしている自分がいました。
やはり思い込みって駄目ですね。
『干物妹!うまるちゃん』いいゾ~。




