【祝一周年】それさえも最高で最低な、彼の一番長い夜・02
ハト顔ダブルピースその2。
……いやいや、ダブルピースってどこの部分指してるんだよ。
そんなこんなで1周年記念特別編(超々短編)、その2(3?)です。
自分の部屋で寝た筈なのに、目が覚めたら学校の保健室のベッドの上だった。
……うん、何を言ってるのか解らないだろうしかく言う俺自身が言ってて意味不明だと思ったので、ちょっと試しに頬を抓ってみたりもした。手加減しなかったから超痛ぇ。
右頬がヒリヒリとしたまま周囲をぐるりと見渡す。
「……保健室、だな」
それも半年前の引っ越し以前に通っていた小学校でも中学校でも、ましてや一年だけ通った高校でもない。どうみても県立上ヶ崎第一高等学校の保健室そのものである。
事務用のデスクから来客用の椅子の数、身体測定用の体重計や質素なベットまで、完全についこの前まで通ってた高校の保健室である。ついこの前と言うのも、単純に今は夏季の長期休校――所謂『夏休み』だからだが。
「道理で蒸し暑いワケだ……」
襟元を掴んでパタパタと仰ぎながら、そんな事を呟いてみる。
色々な疑問を放置して、まず一つ納得する事ができた。
学校の校舎は耐震用の分厚い鉄筋コンクリート仕様のためか、温度の切り替えがピーキーなのだ。エアコンがないと、更にそれが露骨に感じる事ができる。
だから休暇のこの時にはあまり使われない(薬品等があるので解放されない、と言った方が正しいか)ので湿気やら熱気やらが箱詰めされたかのように溜まり込んでいるのだろう。じめじめと、肌に纏わりつくような不快感の水気(?)が、余計このフィクションのような現在状況に現実味を帯びさせる。
「はぁ……。熱いっつーか気持ち悪いなこ――」
その誰とも聞かせない言葉は最後まで続かなかった。
なぜなら、
「――――すぅ……、…………すぅ」
隣のカーテン、その向こう側からそんな音が聞こえたからだ。
「…………、」
それは声とも、もっと厳密に言えば寝息とも言うのかもしれない。それにか細く、尚且つ聞き惚れる寝息だった。寝息に聞き惚れるってのも変な話だ。だが事実、気付けば息を呑んで静かに聴こうとしていた自分がいた。急に黙り込んだのは驚いたからではなく、そんな理由からだった。
よくよく考えればこんな時間にここで寝息なんて――そもそも夜の学校に人がいること自体が不自然ではあるが、俺自身なぜかここにいるのだから、他に誰かいるのかもしれない。無意識にそう思ってるのか、その寝息を聞いても恐怖心はちっともなかった。
「…………、」
気になる。気になる。ちた――カーテンのその先が、気になる。その先の、その寝息の正体が見られればどんなにか……。
今なら、匣を開けたパンドラの気持ちが解るかもしれない。
……邪な気持ちなんて、これっぽぉぉぉぉぉっちもないかんね!
そっと、そーっと俺は開ける事にした。
そこには――――、
「…………すぅ、……すぅ」
カーテンの向こう側、その先のベッドには。
幼馴染みの大山智香――チカが静かに、綺麗に熟睡していた。
…………………………なぜか下着姿で。
『赤髪の白雪姫』面白過ぎ訴訟。
あと『血界戦線』最終話お願いします何でもしますから!
(ん? 今なんでもって以下略)




