【祝☆一周年記念!】BEST or WORST【思い付きとも言う】
何かが 始 ま っ た
――――始めから、全てが異常だった。
「――――……っ!」
まるで明かりのないトンネルのような、恐怖心を湧き立てる暗闇の中を。吹っ切るかのように全力で疾走する。
何かから逃げるように。
何かに、怯えるように。
「――はぁっ! ……はぁ…………はっ、」
一息で走った反動か、一気に疲労が襲い掛かり、脚が緩やかなものへと変わって行ってしまう。一旦立ち止まろ事にして、荒くなった息を吐き出す。溜め息に似たそれは重苦しく、静かなこの空間へと消えていく。こめかみや首筋に滲んだ汗が玉となってゆっくりと流れ落ちるのを他人事のように自感する。まるで砂時計の砂の一粒一粒を数えているような気分だ。
今は夏。
ゴールデンウィークのあの似非猛暑とはやはり違う。一歩外に出ればこれでもかという紫外線と灼熱に晒されて、まるで鉄板の上で焼かれている鯛焼きの気分を味わっているようだ。更に初夏だったら日が落ちれば途端に涼しくなったのに対して、今の時期は日中の熱が湿気と共に室内まで及んでやって来る。茹だる暑さに寝苦しく、何度も起きては寝直してを繰り返す日々。ここ上ヶ崎市は関東でも暖かい土地柄なので、昨日も今日も……そして明日も明後日も最高気温は優に三十度を超えて猛暑日をマークする事だろう。
「…………っは、はぁっ……!」
疲労で転がりたくなる身体を、近くの壁に手をつく事でそれを防ぐ。
顎まで伝って来た汗をポロシャツの裾を引っ張って拭う。今もそれらの例に漏れず室内でも熱気が篭もっており、更にそこをペース虫の全力疾走を試みたので余計汗腺が冷却しようと水分を喪失させてゆく。今すぐにでもペットボトルでも引っ手繰って五〇〇ミリリットル程度なら思いっ切り飲み干してやりたい衝動に駆られるが、生憎と手元にはタオルも経口補水液もない。
「……くそっ!」
暑さは渇きを、渇きは焦りを加速させる。
誰でもわかる当たり前の事実が、ただただ『この』現状について苛立たせる。
…………そもそも、だ。
「なんだよ、これ……」
『この』状況はなんだ?
つい一時間前まで、自分はベッドの上で寝苦しさと格闘しながら意識を眠気の底へと沈めようとしていた筈だ。直前の妹との会話も、友達以上恋人未満な幼馴染み達との軽いメールでのやり取りも極めていつも通りにした筈だ。その記憶は確かな筈だ。
その筈、筈だ、筈。
なのに。
「――みんなは、どこだ?」
――――始まったのは、悪夢。
主人公・明日葉透の人生史上最悪の一日、その幕開けだった。
……はい、というワケで――何が「というワケ」なのかはこの際置いておいて。
祝☆一周年!
やりますよ、記念的な何か! いつも通りの思い付きですけど!
というか、まだ序章ですけどコレ!!(笑)
……スイマセン七夕のアレとか全然手を付けられてなかったりラジバンダリーなのはもう赦してくだちい。というかこんなんばっかか、自分。
と、1周年なのになんだか謝り通しなスタートを切ってますが、まぁまぁ。
そんなこんなで始まるYO!




