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幼馴染同盟 ~Are you BEST FRIENDs?~  作者: アオハル
02.Cold-en weaks _Do you know?_
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第03話 うそつき

 …………すいません。

 七日が奇数だと言う事をすっかり忘れて更新も忘れていました……これは小学生からやり直しかな? 下手すると幼稚園からもしれん。うーん、この。

 そして相も変わらずな稚拙っぷりを魅せつけてくれるこの文章力である。



 …………うーん、この。

 彼女と対面している内に、元々地平線に沈みかけていた陽は落ちて、本格的に部屋も暗


闇に埋没してしまうような時間帯になっていた事に気付く。照らすのは階段から差し込む


橙色の灯りのみ。そんな時間帯になると今度は昼間の蒸し風呂状態が嘘の如く気温は一気


に低下して、肌寒い空気が少々の夜風と共に頬を撫で始める。

 しかし。

 そんなものよりも、今は目の前の少女からの冷気で鳥肌が立っていた。

「――――は、」

 彼女サチの苛立ちは伝わった。

 だからと言って、

「まさか、ふざけてはないつもりはないんだが…………」

『何があったんですか?』

 その言葉まで呑み込む事は――認める事には、躊躇いが生じていた。

 だって、その言葉をこの場で肯定してしまったら。

 それは――――。

「それにだ。困ってる事だなんてそんなもの、日頃から能天気な俺にあるワケが――」

「嘘ですね」

「…………、」

 瞬殺だった。

 厳格を体現する彼女には、誤魔化しなんてものは一切受け付けてもらえなかった。それ


はそうだ。彼女はその事を怒っているのだろうから。

 でも。

「それは明らかな嘘です。……自分でも本当は解ってるのでしょう?」

 それでも――――。

「は? だから――」

「いいや、その反応自体も嘘ですね。ええ、嘘をついているのが透けて見えますよ」

 とぼけようとして、それすらも冷徹なその表情のまま断定までされてしまった。貫くよ


うなその冴えた視線は、言い逃れは許さないと雄弁に語るかのように真っ直ぐと俺を見据


えていた。

「本当にあなたは解り易い。簡単に嘘をついているのが透け透け見る見るです。昔から―


―小学生の頃からずっとずっとその調子ですね。いつだって肯定かとぼけるかの二択。透


けて見えるあなたんそんな姿はまるで裸の王様です。露出狂です。つまるところは変態で


す。……やはり変態なんですよ、あなたは」

 …………………………。

 ………………。

 ……んん?

「ち、ちょっと待った。ちょっと待ったよ待ってね水無瀬さん?」

「はぁ」

「……うん、その潰した羽虫を見るかのような視線にもツッコミを入れたいのは山々なん


だけどね」

「……やはりあなたは変態でしたか」

「なんでそうなるの!?」

 まるで夏場に放置した生ゴミを見るような眼差しで俺を見る彼女には、お前の頭の中に


はどんな検索エンジンを詰んでるんだと小一時間は問い詰めてやりたくなった。というか


ナニを考えたんだよ。ナニを。

 しかし当の本人はナチュラルに言いたげな(というか訊いた)俺を無視して話し出す。

「『以前』にもお話ししたつもりだったのですが。忘れているようなのでもう一度良いん


す」

 そして。

 一瞬の間の後に、俺は告げられる。



 ――――決定的な、その指摘を。



「『自分は縋りたいけど、他人には縋ってほしくない』―――期待してほしくないだなん


て。そんなの、随分な勝手だと私は思いますけどね」



「――」

「おそらく、今回も結論としては『そういう事』なのではないですか?」

 要するに考え過ぎなのですよ、あなたは――そんな事を彼女が言っているのが、とても


遠くから他人事のように聞こえた。誰かが息を呑む音が聞こえた。俺かもしれないし、妹


かもしれない。ひょっとするとサチ当人、いいや幻聴だったのかもしれない。でも誰が息


を呑んでもおかしくないと思える、そんな心の臓を刺し貫くような鋭さを帯びた指摘に、


俺は。

 何も。

 何一つ言い返せなかった。

 本来なら。ここでふざけるなだとか、いくらなんでもそれは言い過ぎだろとか――そう


言い返すべきだ。ここまでの酷い罵倒はそうそう言われないってのに。しかし、俺はその


事を理解していながらも全くとして怒る事はできなかった。それどころか、心の奥底で素


直に頷いて納得してしまっている……なんと言えば良いのか解らない、そんな曖昧すぎる


感嘆を味わったくらいだった。きっと、こういうのを図星と言うのだろうか。

 金縛りのように動かない俺を――残念そうに眼を細めながら、彼女は続けてこう言った


「――――と言って、それであなたが治ったら私に要請なんてかからないでしょうし、あ


なただって事の顛末を全部話してくれるはずなのでしょう」

「…………、」

「そんなワケで、私は今日から連休中はこの家に泊まりますので。最終日までにはちゃん


と教えて下さいね」

「……だ、そうですよ」

「あ、あぁ…………………………」



 は?



「――――って、はぁっ!!?」

 今さっき、正気を疑うような発言が飛び出したのは気のせいだろうか? いや気のせい


だったと信じたい。信じたかった。信じさせて。

「ちょっと待ってちょっと待って水無瀬さん!?」

「…………はぁ」

 思わず衝撃的過ぎた発言に顎関節が外れそうな勢いで口をアホみたいに開けてしまい、


慌てて口を――閉じる前にまずはその発言自体に噛みつく事にした。

 そんな一部始終を眺めていたのか、サチは呆れたような顔をして答えてくれた。

「……ちゃんと荷物は持ってきましたよ? ほら」

「『ほら』じゃねぇよ! 証拠ですと言わんばかりに大き目の…………うわぁ、マジで四


泊五日分の荷物がギッシリ入ってそうなバッグだぁ……」

 彼女が指を差した方角へと吸い寄せられるように目を向ければ、修学旅行でお目にかか


るようなサイズのボストンバッグがドサリと重たげに安置されていた。同時に、本当にサ


チがこの明日葉家に泊まる事が確定的に明らかになった瞬間でもあった。……混乱し過ぎ


て確定的に明らかとかワケわかめな事を言ってしまってる気がするが、ダブルパンチの衝


撃で今の俺にはそんな事を訂正するほどの余裕がちっともなかった。

 ほらはほらでも、せめて法螺であってほしかったよ…………本当になんでさ。

「脈絡……いくらなんでも脈絡がなさ過ぎるだろ…………」

「え、だからあなたのお母様から直々に要請が――」

「そこはもういい! もう諦めたさ!! そうじゃなくてっ、訊きたいのはなんでそっか


らお泊り会が開かれる事になるんだって所だよっ!!?」

「ですです」

 妹が同調するように言う。……ってかまだいたんかワレ。

「それは……ですから頼まれたんですよ」

「今の間はなんだ、その間は」

「と、に、か、く」

 さっきまでのシリアスな流れとは打って変わって今度は俺がジト目を差し向けると、彼


女はくるりと後ろを向いてしまった。おい逃げんな。

「これから四日間、よろしくお願いしますね」

 できれば早々に根を上げてくれる事を祈ります――そう言って彼女は扉を開けたまま、


静かに一階へと降りていってしまう。

 後に真っ暗な部屋へポツンと残されたのは、本来は暫定的にこの家の家主である俺達兄


妹だった。そんな俺達二人は同じタイミングで顔を見合わせて、つい呟いてしまった。

「…………マジで?」

「……マシです」

「なんの話だ」



   #



 そんな感じで。

 よくワケも解らないままに、いつもとは違ったゴールデン・ウィークが勃発する事とな


った。

 …………まだ一日目の夕方の話である。

 内容に置いてけぼりですって?

 大丈夫、作者もそうですから!

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