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幼馴染同盟 ~Are you BEST FRIENDs?~  作者: アオハル
02.Cold-en weaks _Do you know?_
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第01話 あやまち

 はい、というわけで作者の超個人的な都合により新章開幕。

 ……いや忘れてませんよ? クリスマス記念的なのとか誕生日記念的なのとかの所謂番外編的なものは忘れてませ――――大変申し訳ありませんでした。

 それらは――――いつか、必ず!

「…………、」

「…………、」

 ――――どこかで。

 蝉の鳴き声が聞こえたような気が、した。



 ゴールデンウィークであるっ!!

 とうとうカレンダーも次を捲る日付まで到来し、そして今日からは有名なあの大型連休が横たわっている。人によれば水曜日の祝日からとか羨まけしからん話だが生憎我ら兄妹は本日土曜から開始だ。まぁ休めるならなんでもいい。そしてこれが終われば、そろそろ初夏を感じ取れる気温が肌を優しく、温かく包んでゆく時期に差し掛かり、更にそれを消化すれば待望のNA・TSU・YA・SU・MI! の到来だぜひゃっほう!!

 ひゃ……っ、ほ……う…………。

 ……。 

 …………。

 …………………………。

「…………………………」

「…………………………」

 初夏なんてレベルじゃないだろ、これ。

 これは夏休みに出かけた海辺より酷いくらいだ。

 ――ポタ、ポタ。

 そんな音が聞こえてきてもおかしくないくらいには。もしかすると脳が軽く熱暴走でも起こして幻聴を掻き鳴らしているのかもしれない。

 ともかく。

 そんな下らない能書きを済ませたくなってしまうくらいには、

「…………暑い」

「…………、うだー」

 ……暑いのだ。それも、異様に。

 同じ県内によっては三十度を超す高温に、まるで梅雨時を彷彿させる多湿具合。それから体感温度どころか体内で発熱してるんじゃないかと思ってしまう茹だるような熱気。屋外に出ればアホみたいな晴天とコンクリートから立ちのぼる陽炎が俺達をあざわらい、室内に逃げ込んでもセルフサウナ室がお出迎えときたもんだ。

 ……これで学ランで来いって言う辺り、学生というのも中々にブラックな職業(?)だと思う。ハッキリ言って正気の沙汰じゃあない。

(教師陣の頭こそ、もう茹で上がってるんじゃないか?)

 そんな疑惑が出てしまう俺の気持ちも、今回ばかりはうんうんと頷いて、理解してもらえるのではないだろうか。 

 そうして気が付けば、まるで夏休みの明日葉家でよく見られる――BUMP OF CHICKENの東京ドームファイナルで購入した半袖のシャツに涼しげな薄手の半ズボンとだらしなさ満載の部屋着に衣替え。冷蔵庫には他の食品を圧迫し追い出すほどに詰め込んだパルムやらパピコやらが完備。扇風機も既に過労状態まである。

 ……ふざけろ。果てしなく小遣いの使い道を間違わせてるぞ、これ。

「…………のぞみさんや希さん」

「……なんですかー、兄さん?」

 リビングでいつも通りに――その実即座に目の前の扇風機の恩恵を独り占めしそうになる欲望を必死で押さえながら、俺こと明日葉あしたばとおるは横を向く。するとそこにはソファ――から転がり落ちて、本来ならひんやりと冷たいはずの床に猫のように潰れてる妹の希があった。

 幼少の病弱さはなりを潜めたはずだが相変わらず体温調節が苦手な体質のようで、最も(と言っても今の我が家には俺と妹しかいないが)扇風機の恩恵を受けているのにも関わらず、すっかり茹でダコのそれだった。なまじ普段が猫みたいな雰囲気出してるせいで微笑ましさすらある。

 ……美少女って狡いよなぁ、としみじみ思いながら。そんな妹に、俺は問いかける事にした。

「……今日からゴールデンウィークだよな」

「……そうですね」

「……なら、今って季節で言うと春のはず、だよな?」

「……そんなに現実に打ちのめされたいのでしたらYahoo!の天気予報でも見てみればいいのですよ…………」

 ですよね。うん、知ってた。

「でもとおるは強い子、我慢の子。泣かないったら泣かないんだから!」

「はい?」

「あ、いや……なんでもないです失礼しました」

 しかし、まさかこんなタイミングで地球温暖化を再確認する羽目になるとは……。

「たまげたなぁ…………」

 もうプールと水着が似合う温度をゆうに超えている気もする。だったら――と携帯電話に手を伸ばそうとして、止めた。

「…………、」

 不自然に震えてしまう手から――なによりその理由から逃避するように目を逸らして、電子レンジみたいな状態の頭でこれからを再び考える。

 今はいまだ午前中。これが午後になったらと思うと……。昨日、一昨日の気温変化を考えると…………ブルッ。あ、暑いのに寒気がするとはこれいかに。

「――に、兄さん?」

「……へ?」

 丁度そんな矛盾した寒気に本格的に打ち震えていると、妹が寝転がったまま立ち上がって、こちらを驚いた顔で見ていた。

「ど、どうした――」

 …………うん?

 『寝転がったまま』『立ち上が――――。

「…………………………ほえ?」

「に、兄さん!?」

 違和感に触れた直後だった。

 まず最初にゴトッという鈍い音がした。次に耳元で大太鼓を叩かれたような衝撃が頭を揺さぶった。

「兄……ん、ど……し…………です……!?」

 すぐさま妹の悲鳴のような呼びかけが聞こえてくる。

「兄…………、――――……ですか!!?」

 が、じんわりと頭から拡がる痛みでよく聞こえない。おまけにぐわんぐわんと頭に何かが響いて五月蠅い。気持ち悪い。

 なんだこれ、なんだこれ――――。

「――――、」

 なにが、だれが、どうなのか。

 上も下も右も左も前も後ろすらもワケが解らなくなってゆく。全てがグニャグニャと輪郭、をゆが、めてぼや、かして、極彩色に染、まってくよ、うな――――。

「  」



 ――――そうして。

 明日葉透はあっさりと、気温の変動に見事にノックアウトされて連休初日から体調を崩したのであった。



 …………同時に、それがこの輝ける休日の日々における、なんらかの始まりでもあった。


 そうそう、ちょっとした自分のおはなしを一つ。

 自分は更新と待っていた間、見事なまでに入院をしていたワケですが、その際に何人かがわざわざお見舞いに来てくれまして。その中にBUMP OF CHICKENの新シングル『Hello,world!/コロニー』をわざわざ初回&期間限定生産の二個を買って来て下さった人がいたのです! いやいや、それはそれは泣きましたよ! ええ!!



 …………だって、手元に音楽プレイヤーがない生殺し状態なんですもの。



 おあとがよろしいようで。

 それではまた明後日。(Hello,world!を聴きながら)

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