零話―1 『書姫』【上】
皆さん『プ〇ズマ☆イリヤ 2wei!』観ました?
〇郎さんの「何でさ!?」にクスッと来たのは私だけでないはず!
というか腹抱えて笑いましたよ。
はい過去編、というかサイドストーリー臭漂うので≪同級生同志≫と銘打ちたいところです。
……(作者のセンス)否定してはいけない、なかったことにしてはいけない。
そこに全て、意味のあったことなんだよ(と思いたい)…………。
あ、【上】なので後々続編があります。はい。
では、どうぞ!
夕飯を食べ終え(ちょっと言〇綺礼の気持ちが分かったかもしれない……〇悦じゃないほうな)、カップ麺を泣きながら啜るヒゲに対戦を申し込まれた俺は適当に「へいへい」と返事して、「ちょっと今日冷たすぎじゃない!?」…………五月蠅いのでアイアンクローを決め黙らせたところで自分の部屋に向かった。
すると自分の置きっぱなしだった携帯電話にメールの着信を表す青のランプが点灯していた。どうでもいい話だろうがこいつはガラケーだ。何かスマートフォンって液晶画面傷付けそうで怖くて。
閑話休題。
送信先を見ると、――――ああ、『アイツ』か。
この文面はまさしく『アイツ』だった。
先月までの事も何処か懐かしささえ感じてしまう。
俺は口角を上げると、返信のメールを打ち始めた。
打ちながら思う。
今月からの七年前の幼馴染みをチカとミサだとしたら。
先月までの七年間の幼馴染みは恐らく『アイツ』だったのだろう、と。
# # #
転校して一年と少し経った頃。
当時小学五年生の俺は大きな事故に遭遇したらしい。
『らしい』というのも、俺はその事故から1ヶ月丸々病院で眠っていたのだ。しかも前後の記憶もない。
最近になって完全に治った妹を連れて初のドライブの帰りのことだったそうだ。
まぁ、今重要なのはそこじゃない。
要はその一ヶ月で俺は学校で浮いてしまったのだ。別に陰で虐めに遭っていた訳ではないが、唯、『クラスメイトと俺』みたいな空気になっていたのだ。あの二人としか碌にコミュニケーションを取ってなかったし、昨年から淡白な言動しか送っていなかったのを考えれば当然だったのかもしれない。
そうして俺は――逃げるようにか、将又嫌になったからなのか――俺は本を読むようになった。
# # #
小学生のお小遣いで揃えられる本の数なんてたかが知れている。
その為金を使わない平和な方法、『そうだ、図書館に行こう』を考案。即実行した。
実際当時の俺からすればさながら図書館は宝庫だった。いつもは腐っているであろう目も、この時ばかりは輝いていたに違いない。気分なんか最高潮で、受付の女の人を『ひ』かせた(『惹』じゃなくて『引』)程だった。
学校の帰りには毎回寄り、冒険譚から推理モノまで実に様々なジャンルを読み倒していった。
気が付いたらどっかのお偉いさんから賞状を貰ってたし(実は文部科学大臣賞だった)、小さい図書館だったので半年も経てば読みたいものは読破していて、最早二周目に入ろうとしていた。知識として吸収されるから麻薬より性質が悪い。あの妹にさえ本の話題では距離を置かれたほどと言えばお分かり頂けるだろうか。
そんな五年生になって半年が経った十月のある日。
日課となっていた図書館通いも(読み物的な意味で)二周目に入り、以前読んだ本を取ろうと手を伸ばした時の事だ。誰かの手とぶつかってしまった。思わず反射で手を引っ込め、相手を見やると――――可愛らしい『女の子』がそこにいた。
青みがかった黒髪を後ろで三つ編みで纏めている――――機械を連想させる無表情な顔。
なまじ整っているだけに黒縁の眼鏡を通して凍てつく眼光を放つ目も合わさって、何か冷気を醸し出してらっしゃる。空色の半袖シャツと小豆色のスカート、黒のニーソックスがそれを更に惹きたてていた。
思わず息を呑んだが……あぁ。
…………「何?私が読みたいんですよ」ですね解ります。
だって超睨んでるし。それで頬でも膨らませてれば微笑ましさの一つでも出るというのに。頑固一徹、無表情だった。
なので、
「あ、あぁ……おれはもう読んだからいいよ」
渇いた喉でそう伝えた。
すると『女の子』は驚いたようで(譲られるなんて思わなかったみたいだ)、一瞬目を丸くして――すぐさま無表情に戻し、
「……ありがとう」
こう、呟いた。
これが後の『図書室の姫』――――水無瀬幸との邂逅だった。
……この時は偶然会った『女の子』としか認識せず、すぐに記憶の何処かへ旅立ってしまったのだが、それはそれ。
# # #
あ……ありのまま今起こった事を話すぜ!
『アルコールランプに火を点けようとしたら自分の持ち物が燃えてしまっていた』
な……何を言ってるか分からねーと思うが、おっちょこちょいとか偶然とかそんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……。
最悪なことに二クラス合同の授業だったから周りの混乱が酷い有様だった。ある奴は奇声を発していたり、またある奴は授業中なのに廊下へ逃げ出したり…………。
そんな中、一人がビーカーの水をすぐさま火元に掛けて鎮火してくれた奴がいた。ってか、あの『女の子』だった。
あの三つ編み無表情っ娘は俺を知ってか知らずか、雰囲気通りの冷静さで事態の解決(飛び出してった生徒を追いかけようとしてた先生に声を掛けてきてくれたり、呆然とする俺を柏手を打って我に返させたり等々)に努めてくれた。そしてお礼を言う間もなく、授業終了の合図と共にいなくなってしまっていた。
実は新しく買った筆入れとノートが燃え尽きたことよりも、担当の先生&教頭に怒鳴り散らされたことよりも、この助けられたことで俺は一番泣きそうになっていたりした。
こってり絞られた放課後、俺は図書館に向かった。読書の為ではなく、一言物申す為に、だ。
自動ドアを潜り、真っ直ぐ進もうとして――――いた。
隣の棚の方に、目標はいた。
『館内では静かに』を実行すべく、俺は肩を叩こうとした。
叩こうとしてその直前で俺は転んだ。ゴスッとか痛そうな鈍い音が頭に響き、星が散った錯覚さえ覚えた。
「~~~~~~!!!!」
痛すぎて声が出ない。だがそれを無視して顔を上げ――――
「ぁ、」
――――縞パン見え、
「ゴガッ!!?」
……顔を踏みつけられた。
痛い、痛みが鋭い。
涙目で鼻を押さえながら顔を上げると(今度は見えなかった)、彼女はいつもの無表情な顔を真っ赤に染めていた。心なしか眼光が二割増しになっている気がする。
そして彼女は口を開いた。
「……見たのですか」
以前の様な涼しい声ではなく、か細く、消え入りそうだった。
………………って、へ?
俺、どう答えりゃいいのさ?
何か<はい><いいえ>の選択肢を幻視したが、コレどっちでもアウトじゃね?
ブワッっと背中に非常事態な汗が流れ始めた。
数秒の沈黙が何分にも感じる。
「で、見たのですか」
…………………………。
急かすようなその問いに。思考停止した頭で、俺は言ってしまった。
「ええっと、…………意外とかわいらしいのはいてたヘブゥ!!」
本の角で思いっきり殴られた。
それから俺は、彼女に会う度に「ヘンタイさん」とより冷たい眼差しと共に呼ばれることとなった…………。
(to be continued……)
・眼鏡三つ編みロリとか最高!
・縞パンは水色と白が正義!パンツじゃない、パンティだ!!
そんな同志はいませんでしょうか?(えー)
ちなみに作者も本好きでこの前本屋で二万摩った(言い方ェ……)らリア友に白い目で見られました。何でさ……orz
(中略)
話は変わりますが、この回の下にあるであろう【設定資料】はインタビュー形式のBSSです。暇な方はどうぞ。
お読みいただきありがとうございました。
※誤字脱字表現の誤り等がありましたら感想にてご連絡ください。
随時修正致します。
引き続き、『おさどう』をよろしくお願い致します。