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幼馴染同盟 ~Are you BEST FRIENDs?~  作者: アオハル
01.APRIL _Something to know_
74/143

第12話 「入学」―A

 久々にゆっくりと書けた気がします。まぁ、時間ギリギリですからね。

 ……とはいえ元々は今回の話は以前の部分を修正・補足してって感じで、新たに書く部分はそんなに増やそうとは思ってなかったのですが、気付けば殆ど直してる気がします。なんでさ。



 それでは、どうぞ。

 ――――ザッ、ザザッ。

 キーンコーンカーンコーン。

『本日の下校時刻となりました。生徒は速やかに下校して下さい。また本日は北校舎も施錠されますので自習室は使用出来ません。繰り返します――――』



 放課を知らせる鐘の音がスピーカーから虚空へと響き渡る。

 そのすぐ後には最寄りの教師が大声で終了を呼びかけ、解散となった。残りは教師陣がやってくれるとの事だ。それに安堵したのか、体育館で作業をしていた他の生徒も少しざわつきながらも用具をしっかり片づけてからその場を後にしていた。俺も例に漏れず、その生徒の波に乗って陽の射す外へと脱出した。

 見れば、太陽はじわりと橙色を空へと滲ませていた。

「…………、」

 午前授業って言ったの誰だよ――そう言いたい、がそれを声にする気も失せるほどの疲れが、その景色を見た瞬間にドッと表れてきた。特に腰――しゃがんだ体勢でずっと同じ作業をしてたからか、背筋を伸ばすだけでも軋んでいるように感じられる。

 ……疲れた。

 よって、今日は家にまっしぐらに帰ろう――として、ふとある事を思いつく。

「……久し振りに一緒に帰りたいな」

 大山智香。三咲可憐。

 二人の幼馴染みの顔が浮かんだのだ。

 言うが早いか、疲れ切って真っ白に燃え尽きそうな体に鞭打って二人を探す。周りに訊いて回るのはナンセンスなので携帯電話を

「…………あ」

 そこで当たり前の事実に衝突し、呆然とした声が漏れてしまった。

「……まだ俺、ここに来てから誰ともメアドの交換してないじゃん」

 今明かされる衝撃の真実。頭に浮かびかけたベクターを片隅に引っ込めて逡巡する。

「……今日は一人で帰るか?」

 女子はともかく男子が、それも制服が一人だけ違う人間が異性の知り合いを待ち伏せするのは流石に躊躇いが出てしまい、

(…………なら諦めるか)

 名残惜しいが、別にここでの学校生活はまだ始まったばかりだ。急ぐ必要もなし。

 俺はそう結論づけ、体育館からやや遠めの正門まで向かう。

「……あ」

 門まで来たところで見知った二人を見つけた。チカとミサだ。

 二人で何かを喋っていたようだが、ミサが俺を見つけチカの肩を叩くと二人で近づいて来る。

「お疲れ様ですっ」

「遅かったわね」

 対称的な台詞を掛けてくる二人。対照的過ぎるのはさておき、もっと大事なところにツッコもうと思う。

「……というか、待ってくれたのか?」

「うーんとね、久し振りに三人で帰りたいなぁってチカちゃんが――」

「わーっ、わーっ!!」

「?」

 何の話か解らんがどうやら彼女達も同じ考えだったようだ。

 正直、二日間ともマトモな状況で言葉を交わしてなかったので俺だけ「違う」のかと思っていた節があった。どんな距離感で接すれば良いのか判らなかった。

 俺は嬉しかった。

 思わずといった調子で笑みが零れてしまった。声が出てたのか二人が不思議そうに(片方は顔を真っ赤にして)振り返る。

 俺は二人を見つめて、言った。

「んじゃ、帰るか」

「……そうね」

「……だね」



 二人の横を歩いてゆく。

 そうだ、肝心事をば。

「ミサって何処のクラスなんだ?」

「ええっ!? 気付かなかったの!!?」

「アンタねぇ……っ!」

「い、いやだって、転校生だからそこはホラ緊張しちゃうワケでさ!」

「……そ、そうなんだ」

「わぁぁぁっ!? ゴメン、ゴメンよ全ては俺が悪いんですぅぅぅぅぅ!!」

 閑話休題。

 何はともあれ一緒なんだとさ、やったー。

「……まぁ、アレだ。気付かなくてスマンかった。それと同じクラスでもよろしくな」

 そうして、俺は自然と手を差し出していた。

 割と失礼な事になったかもしれないが、でも嫌な印象は与えずにすんだようで。

「うん、こちらこそよろしくね。何か学校生活で解らない事があったら私やチカちゃんに訊いてね」

 ミサはしっかりと頷いて握手をしてくれた。

「ああ、そうするよ」

 本当に、よかっ

「あ、ちょっと待って!」

「「?」」

 突然の待ったにミサと二人して振り向く。視線の先では、チカがなんだかモジモジしながら言い辛そうにしていた。

「実は……、その…………」

 手をわちゃわちゃさせて言い淀んでいて、一瞬トイレかと無粋な気遣いが頭に浮かんだ。

「……成程な?」

 ――――が。

 直後に言いたい事を理解した。それから思わずニヤリと嗤ってしまう。俺の笑顔は大分気色が悪いとは思うが、それでも噴き出さなかっただけマシだろう。

 だって……だって、ねぇ?

「な、なによ」

 俺の表情に危機感を抱いたのか、両手でまるで胸を隠すように自身の身体を抱きながら後ずさりした。しかし、遅い。ヒントは朝の始業式の時の移動や入学式の準備の時にあった他の同級生達の世間話で十二分に手に入れていた。

 ……朝から再開して早々から散々と不憫な目に遭ってきたんだ。

 ――――今からは俺のターンといこうじゃないか。

「アレだろ?」

 だから。

 容赦なく言ってやる事にした。

「クラスじゃ涼しい顔で委員長してる『雪女』だから学校では別な接し方にして頂戴って事だろ。みーんなそんな感じで凄い凄いと噂して、尊敬してたからな」

「――」

 そう、チカはこの学校では文武両道、それでいてクールビューティーな存在として周囲から崇められているのだ。……崇められていると言うのは比喩ではなく、それによって近寄りがたい孤高の存在と化してしまい、また元からぶっきらぼうだった性格は遠慮がちとはいえそこでも相変わらず発揮してしまい。

 それでついた渾名が、――――『雪女』。

(……まぁ、それにしても陰口がひとつも出てなかったのは凄いよな)

「あ、安心しろよ、誰にも言わないって。むしろお前が俺の知らない七年でクールキャラをコツコツ積み上げてきたなんて健気じゃないか」

「~~~~!」

「あ、それと――」

「わ、悪かった! 昨日今日と悪かったわ!! だからこれ以上は止めて!!!」

 うわぁぁぁぁぁっ!!? と頭を抱えて、チカは涙目で悶絶してその場に蹲ってしまった。

 ――――ゾクッ。

「…………、」

 ちょっとゾクゾクしたぞ。何コレ超楽しいんですけど。ニヤニヤしたくなる気分を抑えて俺は努めて真顔で言う。

「何だ、違うのか? てっきり俺は――――」

「そうよ! そうよそうです合ってるわよ!! …………、う~~~~っ!!!」

 あ、ヤバい。イジり過ぎた。

 よく見れば目に溜めた涙は決壊しかかっており、顔の紅潮も臨界点に達していた。ようするにマジ泣きしそうになってる。……ま、マズイ。

 何だか犯罪者になった気分に陥って、慌てて弁明を試みる。

「す、スマン、ちょっと弄るの楽しかったというか……」

「……」

「と、トール君……」

「…………アレ?」

 弁明失敗。本心だだ漏れじゃねぇか。

 ユラリと立ち上がるチカ。その顔は下へと俯きプルプルと肩を震わせている。

「え、えっと……、その…………」

 俺が言いあぐねていると、

「ば、」

「「ば?」」

 ハモる俺とミサ。

 チカは俯きながら息を思いっ切り吸い込むと、



「馬鹿ぁああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」



 ――――グサッ!!

 あしたばとおる に 9999 の ダメージ!!

 目に涙を溜めて、羞恥に顔を茹でタコのように真っ赤にして。地域一帯に轟く位に叫んで逃げるように先を走って行ってしまった。

 …………涙目で睨まれたのが相当効いてしまったのか、俺の心の中には莫大な罪悪感が突き刺さり、まるで碇のように重く圧し掛かって来ていた。そのまま膝から屈して倒れてしまいそうだった。今度はこっちが涙目になる番なのかもしれない。

「流石に言い過ぎです……」

 顔を引き攣らせ、苦笑したミサにそう言われ、連鎖的に凹んだ。

 具体的には近くの電柱に依り掛かって反省中のサルみたいになっていた。



   #



「で、では私はこれで……あはは」

 振り返ったミサが苦笑。バツが悪い俺は、無意識にその視線から避けるように横を向いてしまった。

「あ、あぁ……悪かったなさっきは」

 さっきとは勿論チカを泣かせちゃった(?)件の事だ。

 本当に、すまないと、思っている……っ。

「チカちゃんにも謝ってくれたら許しますよ」

 そう言って最後にミサは無邪気に微笑み、くるりと背中を向けて自宅の中へ入っていった。

 数秒後に聞こえて来た鍵の閉まる音に説明のできない侘しさを味わいながら、俺も我が家の敷地内へと足を踏み入れる。懐かしい芝生の匂いを噛み締めながら玄関の鍵を開け

「ただいまです兄さ――って、どうしたんです?」

「ど……、どうひへもこうひへもないでほ…………」

 ようとしたら向こうから開けてくれた。本日三度目の火花が散った気がした。

 激痛にのた打ち回りながら、まずそのノーチャイムにも関わらずにドアを開けちゃうその対応だけはやめてほしいと思った。

「ひゃ……、ひゃんと確認ひてはら開へまほうね希ひゃん…………」

「大丈夫です。兄さんなら気配で判ります」

 何そのモンハンもビックリな察知スキル。自動マーキングかよ。

 審議も拒否されそうなワケの分からない例えを頭で展開させながら玄関で靴を脱ぎ、洗面台へ手を洗いに行く。

「あ、そうです兄さん」

「ん?」

 キレイキレイを使って手を洗いながら話を促す。

 大した内容でもなさそうに、妹はニコニコして言葉を続けた。



「――――実は月曜日の入学式の件で頼みがあるのです」

 本編とかとは全く関係のない話をひとつ。

 ……今季のアニメ、幾らなんでも豊作揃い過ぎじゃないですかね? それとも自分の趣味が偶然、って事なのでしょうか? それにしても多過ぎる気が云々。

 だって録画しようと思っただけで6作品ですし。更に見たいと思ったのも含めると……おお恐ろしい。

 主に、「忙しいってのに、こんな数、後回しにしても完走できるの?」っていう圧倒的不安で。

 まぁ、これでも書きつつ、休憩としてみようかなと予定。



 取り敢えず『UBW』と『血界戦線』は見たい……BUMPとか完全に自分の心抉って来てますし…………っ! ず、ずるいぞ! カッコいいぞ!!

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