【番外編?】1日目・A
前半(?)だけ急遽投稿します。
……諸事情でそうなりました。
ええ、誕生日のパーティーでもなんでもなく。(血涙)
「――――」
目が、醒める。
少々の浮遊感と虚脱感。慣れた感覚が思考に霞をかけ、まるで手さぐりのように自身のなんたるかをゆっくりと、しかしひとつひとつ回収してゆく。パズルのピースのように隙間が埋まってくそれは、やがて――――。
「…………ん」
閉じた瞼の合間から差し込む眩い光が、網膜を通過して脳まで突き刺さる。その刺激に思わず顔を顰めて目を瞑り直してしまう。
(……って、光?)
ここで少年――明日葉透は違和感を覚えた。
普段彼が眠り、目を覚ます場所は彼自身の自室だ。朝は弱い事を自覚してる彼は、いつも部屋のカーテンをしっかりと閉めて朝の日差しをシャットアウトしている習慣だってあったはずだ。
(あれ? オレは昨日ちゃんと閉めてないで寝たのか……?)
だとすれば失態だ。
幸か不幸か今日は休日、さっさと目を見開いてカーテンを閉め――――。
「…………え?」
目を見開いた戸頃で、彼はフリーズした。
「な……、なんでリビングにオレはいるんだ…………?」
自分の部屋にいるならまだ理解できた。カーテンを閉めて、ベッドに引き返して布団に潜って対処できた。それなのに……。
「しかもここは…………?」
周囲をグルリと見渡すと、目に入るのは簡素でありながら丁寧な作りとなっているヤニも日焼けもついてない真っ白な壁に同様に白く様々な種類の本が充分に詰まった棚に美しい黄色の花弁が映える花瓶に今の今まで彼が横たわっていたらしい柔らかなソファにいつだったか四人で囲んだ頑丈で縦長(横長?)な汚れ一つないテーブルに――――。
どれもこれも、見慣れてはいた。
しかしここは、ここだけは可能性として有り得ないはずだ――――っ!!
「――あ、やっと起きた?」
だが。
パタパタと。スリッパの音とともに聞こえた声の方向へ、まるで錆びたブリキ仕掛けの人形のように恐る恐る首を動かして顔を向ける。
その先にいたのは――――。
「全く、折角朝食を作っておいてあげようと思ったのに」
彼の良く知るはずの幼馴染みの一人――大山智香その人だった。
つまるところ。
ここは大山智香の家だった。
次は本日16時にて。




