第10話 「仲介」―C
Cパートも短め。
……え? いや別にもらったエr……ゲフンゲフン恋愛シュミレーションゲームにド嵌りしたとかそういうワケではなくてですね(などと供述しており)。
え、ええ、本編行きましょうか。
「――わひゃぁっ!?」
「…………」
「…………」
「えっ、あっ…………し、失礼しみゃしたっ!」
「あ、ちょっと――」
それが、三咲可憐――「ミサ」が玄関のドアを開けて、まず最初に返してきた言葉だった。それからまた巻き戻すようにドアを閉められた。
ガチャッ! という硬質な音が鼓膜に届いた辺りで、ようやく俺は我を取り戻した。
「えーと……」
俺はぎこちない動きでチカの方を、尋ねるように顔を向ける。しかしチカは「さぁ、ね」とはぐらかすような答えしかくれなかった。
「さっきの言葉が全てじゃないかしら」
……いや、俺の知識をどう総動員しても、さっきのはただの悲鳴にしか聞こえないんだが。
「……もしかして、俺って嫌われてるの?」
「……アンタって本っ当におめでたい頭してるわね」
「少なくともチカが馬鹿にしてる事だけはよく解った」
閑話休題。
「……えーと、ミサさーん? 三咲可憐さーん?」
シ――――ン。
「…………」
俺はすぐさま躊躇なくインターホンを再び押した。
直後に、物凄い速さでドアが開いた。
「ぐごっ!!?」
――そしてその速度は僅かにも減衰する事なく、分厚い金属の塊が俺の顔面に直撃した。
鈍い音と声が出た。
「~~~~~~~~~~!?!?!?」
「と、透!?」
「あっ、ああっ!? ごごごゴメンなさいトール君!! 大丈夫!?」
一瞬、目の前に火花を幻視した。
一瞬痛みを感じ――ないと思った直後に神経が焼切れるような激痛が鼻を中心に襲いかかってきた。あまりの激痛に他所様の玄関先だという事もすっかり忘れ、俺はその場で転がりもんどりうった。痛過ぎて目に水分が溜まったり鼻が折れてるか心配になって鼻を摩ってたりしていると、心配してくれたのか制服姿のミサが近寄ってしゃがんできてくれた。
うん、制服姿で体育座り。
……うん。
…………………………。
……と、取り敢えず彼女が俺を嫌ってるワケではない事が分かってホッとした。胸に温かいものが流れ込んできたような気がして、ちょっぴり――いいや結構嬉しかった。だって相手は美少女だ。そりゃ心配してくれるどころか親しく接してきてくれるんだから嬉しくないなんて事は絶対にない。
「い、いひゃたいひょう――」
「……み、ミサ、その…………………………スカート」
「――」
「~~~~~~~~~~!!」
チカのこの一言がなければね。
チクショウ。




