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幼馴染同盟 ~Are you BEST FRIENDs?~  作者: アオハル
01.APRIL _Something to know_
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【番外編】鬼は外?

 イベントものが好きなのは知っている人は知っていると思いますが(そりゃそうだ)、はい、番外編です。

 ……さて。

 多分ですが――早速5000字越えてないやん! とか、おま『ミサはボブヘットじゃなくておさげ』だろいい加減にしろ!! とかそもそも前回も今回も12時じゃなくて14時やないかい!!! とかとかとか、言いたい事はあると思います。まず自分が自分に言いたいぐらいです……ヲイコラ私。

 それはさておき、……私は今風邪を引いておりまして。絶賛マーライオンなう。なので誤字があるかもだし投稿も14時に、ついでにこれからは14時に投稿になるやもしれません。楽しみ(?)にしてくれている方には申し訳ありません。

 それと、第07話で「ん?」と思った部分は明後日の第08話分更新と一緒に第06話分も訂正・修正しますのでそちらを参考に。

 重ね重ね申し訳ありません。

 とはいえ勝手ではありますが、これからも引き続き書いてはいきますので。どうか以後も『おさどう』を宜しくお願いします。



 ……ボブってorz

 『――また昨日降った雪ですが、どうやら明日……いや地域によれば今夜中にも降るという予報が出ています。車を運転する方は今の内に――』

 今日は二月三日、時間帯は夕方。

 俺は、珍しくいつもは見ない夕方のニュース番組をリビングのソファで横になりながら呆然と他人事のように観ていた。

 一昨日と昨日にかけて降った雪のおかげで寒さがより一層厳しいものとなり、それに時間帯も相俟って、室内にも関わらず不肖わたくし明日あしたとおるも日頃より厚みのある恰好でガンガン暖房を活用する事となっていた。多分今月も電気代を見たら凍り付くんだろうなーとその瞬間の両親を頭の片隅で想像しつつ、そういやいつの頃からだったか――とある事も考え始める。

 一体いつからだったか――――。

「ヘイ兄さん」

「なんじゃい」

 他愛もない事に没頭していると、不意に後ろから声を投げかけられた。呼ばれたので振り返ると、案の定ソファの後ろで俺の顔を窺うように妹ののぞみが立っていた。

「お早いお帰りで」

「ういなのです」

 今日は前述した降雪のおか…所為で丸々1日休校。積もり積もって(所によっては凍って)いるので外出もできず、妹も俺と同様に家でゴロゴロしていたのだが、

「ちょっと買い物に行ってきます」

 突然そんな事を言い出し、俺が止める間もなく厚手の上着を羽織って行ってしまったのだった。

「ちょっと……後悔しかけましたが」

 温度差で少し紅くなった頬をフグみたいに膨らませてそうブーブーと不平を零しながら、結構似合っているピンク色のニット帽を脱ぐ妹。見れば――サチほどでないにしろ、ダウナーというか表情の波が平坦な妹が、常々鈍感鈍感と言われる(誠に遺憾であります)俺でもわかるぐらいにしんなりしていた。野菜炒めのキャベツかお前は。ちなみに俺はシャキシャキ派だ。

「ところで兄さん兄さん」

「……なんじゃい」

「今日は節分の日らしいのですよ」

「……あれ? 明日じゃないの?」

「それは立春です」

「さいで」

 そうだったのか、と内心で驚愕して……それから半眼で妹を見て、俺はさっきから突っ込みたかった部分を思い切って突っ込ませてもらう事にした。

「ところで…………お前は一体何を抱えているワケ?」

 妹が米袋みたいに両手で抱える近所のスーパーのビニール袋を指差して。

「何と尋ねられましても……買って来たものですが」

「それは判る。そうじゃなくてだな」

「――ああ、成程。兄さんはこのビニール袋の正体を知りたいと」

 ほうほうと肯く妹。

 だから答えを教えてくれと――――、

「正解は豆です」

「…………………………は?」

「?」

 なぜだろう……出て来た解答がおかしい気がする。

「正確には大豆です。豆腐や油揚げといった具材から醤油や味噌の調味料まで、後は豆乳としても消費される不思議ちゃんですね」

「お前、おれの事絶対馬鹿にしてるだろ」

 それに、お前に勝る不思議ちゃんなんていねぇよ。

「いや、だからだな――」

「今日は節分なので」

「…………もういいやそれで」

「?」

 首を可愛らしく傾げる妹を見て、俺は盛大な溜め息を吐く。……俺が訊きたかったのは「なんでそんな大量に買って来たのか」って部分なんだよなぁ…………。パッと見、米袋だぞコレ。というか両手とはいえよくそんなモノ買って持って帰って来れたなコイツ。

 知ってはいたが結構力あるんだな――って、そうじゃなかった。

「……で、そんな大量に買い込んでどうするのさ」

「今日の晩御飯に使います」

「さっきの馬鹿にしたような説明は伏線だったのかよ!?」

「いえ、冗談です」

「…………、」

 凄く解りづらい冗談だった。そんな顔で言われても嘘か本当か解らんわ。

「いいですか、兄さん。今日は節分ですよ?」

「その台詞3度目なんだが」

「なのでこれは――ただ豆撒きの弾幕にします」

「…………これ全部?」

「うい」

「…………………………お前ホントは馬鹿だろ」

 俺レベルで。流石兄妹過ぎてなんかイヤだわ。

「というかマシンガンじゃないんだ。こんないらないだろ、フツーは」

「兄さんが『フツー』なんて言葉使うとは……」

「そこ、さっきから失礼だぞヲイコラ」

 上方修正しよう。コイツは俺以上だった。というか平然と悪口じゃない言い方で兄をなじってくスタイルって妹としてどうなの? ちょっと新し過ぎやしませんかね? 新し過ぎて具体的には泣きそうになった。

「というワケで兄さん」

「なんじゃい」

「鬼になって下さい」

「イヤに決まってんだろ」

「な、なんでですか!?」

 寧ろなんでやらなきゃいかんのか、こっちが訊きた――言いたいぐらいだ。訊いた戸頃で無駄そうだし。というかたかが豆撒きの鬼役ひとつでなんでそんな驚愕と絶望に彩られた表情をしてるんだよ……だったらその米袋みたいな弾幕をぶつけられる兄を心配してくれ。

「逆に投げる方だったらやらなくもないんだがな」

「……平然と一応は女子の妹にぶつけようと思うその精神、流石ですお兄様」

「お前、最後それが言いたかっただけだろ」

「まぁ、これも戯言なんですけどね」

「……うん、あんまりそういう台詞使うの止めようか」

「嘘だけ――むぐぐっ」

「使い方雑だしマジ止めろ」

 作者が現在の外気温より寒い目で見られそうだから、ね?

「ぷはぁっ――いきなり抱いたんですね兄さんは」

「だから変換ミスも活字じゃないと解らないし寒いから止めてくれ――って、その変換はねぇよ!」

 昨今の夜十時のドラマかってんだ……観てないけど。

「いきなり大胆ですね兄さんは」

「そうだけどそうじゃねぇ!」

 ただ俺の手でお前のうるさいお口をチャックしただけだからな?

「なんだってそん――」

「――やってみたかったんですよ」

 な、まで言おうとした戸頃で。

 妹の台詞に遮られて、すぐにリビングの空気ごと、何かが湿っぽいものへと変化した。

「以前まで私達が住んでいたのはマンションだったじゃないですか」

「…………、」

「だから、結構憧れてるんですよ――節分の日の豆撒き。あのマンションでできなかったそれを」

「――――っ」

「なので、一度くらいはこう、盛大にやってみたいなぁ……って思っ――」

「あー、わーったわーった」

「…………兄さん?」

 ったく、言われてから気付くとか……馬鹿かよ俺は。これじゃ「兄さん」失格じゃねぇか。

 こういうムズムズする重苦しい雰囲気が嫌いな俺は、雑な返答で空気を誤魔化そうとした。それから言ってやる事にした。

「俺が鬼役でもなんでもいいから……やろうぜ豆撒き」

 親が帰ってくる前にな――そう言ってから自分で照れくさくなり、また誤魔化すように妹の綺麗でサラサラとした黒髪を優しく撫でる。

「…………………………」

「い、いいからやるぞ。それともまずお面とか作るタイプか?」

「まず服を脱いで下さい。鬼と言えばパンツ一丁、これ常識です」

「この寒波の中鬼かよ貴様は!?」

 優しく接したら――ってこれは自分で言うのも変かもしれないがとにかくだ。

 優しく接した途端つけあがったようになる我が妹なのだ。

 ……うん、知ってた。



「鬼はーっ、外ーっ!」

 それから、なんだかんだで俺と妹は二人だけではあるものの、くだんの豆撒きをこの寒空の下、執り行う事となった。

「福はーっ、内ーっ!」

 終始鬼役は俺で、自宅の庭の班にないだからいいかと律儀にもパンツ一丁にもなってやった。

「鬼はーっ、外ーっ!」

 すると買ってきた時のしんなり具合も先程の生温さ加減もどこへやら、妹も満面の笑みで無邪気に楽しそうに大量の豆を家の外へ中へと放り投げていた。

「福はーっ、内ーっ!」

 寒さで死ぬかと思ったし、冷気が突き刺さるようで痛かったが……妹のその笑顔が見れたんなら、これでもいいんじゃないかな、と思った。かなりの量があると予想していた武器まめの貯蔵も十分に、あっさりと使い切った戸頃で今年の節分は終わりを告げる事となった。流石に玄関に撒き散らされた大豆は衛生的にも食べる事は適わず、立て掛けてあった竹箒で外に掃き出す強引な片付け方となった。

「夕飯は恵方巻きにしますね」

 珍しく未だに微笑む妹がそう言ってスキップして台所に向かう後ろ姿を見て、俺も嬉しくなった。

「……また来年もやろうな」

「ういです」

 本当に嬉しそうで何よりだった。

 良かった良かった。

 めでたしめでたし。



 ……まぁ。

 その後、余りの寒さの余波なごりに風呂に浸かっても体のガタガタという震えは止まない上に先に帰って来た母さんに玄関前の惨事でバレてなぜか俺だけ怒られ、そして翌日に当然の如く高熱の風邪をまたもや俺だけ引いて学校を休むハメになり、その夕方見舞いに来てくれたチカとミサに「実はアンタがパンツ一丁で騒いでいたの、聞こえてたのよね……」「てっきりトール君がヘンタイさんになっちゃったのかと思いましたよ」と心配してるのかだったら止めろよと言いたくなる台詞を言われる事になるのを、その時の俺はまだ知らなかった。



 め、めでたしめでたし…………なのか?

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