第二十一話 「意志」
今回から色々と書き方に変更があったりします。空白・改行減らした……つもり。まぁ、日頃から思考錯誤というか実験的な書き方をしているんですがね。ええ、言い訳じゃ
――――スイマセン言い訳ですorz
「さて。……ああやって発破をかければ流石に兄さんも腹を括るでしょう」
ピシャッとドアの閉まる音を聞き届けた件の少年の妹、明日葉希はそう言って真っ白な布地の弁当の包みを解く。中から姿を現したのは如何にも年頃の女の子らしい、野菜満載の一段弁当だった。育ち盛りの男子だったらオヤツとしても見合わないお惣菜一パック大の蓋をパカッと開け、誰に聞かせるでもなく話を続ける。
「ああは言いましたが基本、いや何処を切り取っても――あのヘタレっぷりも含めて兄さんは良いですよ。思わず妹が好きになる位には」
「だ、だから希ちゃん、兄妹でそーゆー事は……」
女子の「好きになる」という発言で表面上はほんの少し、しかし確実に騒然となるクラスの雰囲気を肌で感じた委員長は苦笑いを浮かべつつそう言い
「あーちゃんもどうですか?」
かけて目の前の同級生の(当人にとって)核爆弾級のそんな発言に、バタァーン!!と椅子ごと横に倒れる。
「な、ななな……」
口をわなわなと動かして必死に何かを伝えようとして悉く失敗する。
甘酸っぱい話と耳に息を吹きかけられるのと脇腹を擽られるのがこの一年一組の真面目に真面目な委員長の弱点だったりする。こう、「ふにゃぁ」となるのだとか(本人談)。
そんな今時幻な初心さを振り撒く少女に構わず真面目に不真面目な妹は言う。
「多分兄さんは誰とくっつくとかはなく皆一緒が一番楽しいと感じる、所謂ハーレム人格の持ち主です」
「はははハーレム!!?」
最早耳どころか顔まで火の手が上がっている初心な委員長は混乱しているのか、単語の意味も理解出来ないままに訊き返してしまっていた。その選択が更なる燃料を投下する事にも気づかずに。
「そうです、ハーレムです。現時点ではそうですね……私含めて三……四人ですね、四人」
「よよ四人っ!!?」
「まだ容量は残ってるでしょう」
「って、その、それ以前にだから実の兄妹で、その、ええと、……ぅにゃぁぁ……」
もう目がグルグルと回っている今週の〇りな様よろしく頬を染めている少女とそれを恍惚と見守り嗤う妹。
そしてそんな二人を眼福と思いながらも
(――――ハーレム要員だとっ!?)
と今にも血の涙でも流しそうな男子共と、それらに軽蔑の冷たい眼差しを向ける女子陣によって、今日も一年一組は平和に(?)お昼休みを過ごしてゆく。
「っくしっ!!」
事態を(第六感で)知ってか知らずか、教室一の清涼剤は購買ブースの自販機の前でクシャミをした。
# # #
『逃げないで下さいよ兄さん。自分から打ち明けるのです』
一つ歳下な実の妹から伝えられた「条件」、それから去り際に放たれた台詞を思い出す。
「トール君?」
何処か怯えるようにも見えなくもない目の前の彼女を見やり見つめながら、それらの言葉に酌まれ含まれた意味を考察し反芻して。
「ミサ、」
「?」
一口『〇菜生活』を飲んで最近(主に精神的な理由で)渇きやすい喉を潤して。
「俺からも『話』があるんだ。今時間大丈夫か?」
俺は語り出す事にした。
# # #
「そう……」
話を全て聞き届けたミサは驚く程に落ち着いていた。
え、いや被害者面するともりじゃないけどさ、結構な話だと思うんだよねコレだってチカに話した時なんかヘンな雰囲気になってそれから―――うがぁああああああああああああああああああああ!!!!!?
「?どうしたのトール君」
「え、あ、いや、その、」
スイッと顔を寄せて来たミサに俺は慌てた。何だろう、この言えない罪悪感は。
「あ、別に聞き流してはないよ?」
俺の動揺を上手く勘違いしてくれたようで、顔の前で手をパタパタと振って彼女は言う。
「そうじゃなくて……色々あったんだなぁ、って」
「?」
頭の上に疑問符を浮かべる俺に、ミサはまるで子守唄の調子で優しく話す。
「私がコッチで普通に勉強して、普通にお話してた時にトール君は辛い事とか勿論楽しい事とか――私とは比べ物にならない人生があったんだなぁ、って思うと」
――――七年でトール君も変わったんだなぁ、って。
そう言い切って俺に微笑みかけるミサ。
「でもココのおでこの傷ってそういう事だったんだね」
言うが早いかミサの柔らかく繊細な指が俺の前髪を掻き分け、生え際近くの傷痕をなぞるようにして触って来た。ついでに顔もさっき以上に寄って来た。触れられた所からムズ痒さが全身を奔り駆け回ってゆく。
「あ、あー…………」
というか超恥ずかしい。
「み、三咲さん?そ、その」
「?」
回らない口では当然伝わらず(それ以前に言えてない)、ミサは一瞬首を傾げてくれはしたもののまた顔を近づけて感動詞を呟く作業に戻ってしまった。だ、誰か助けてーっ!!
そんな俺のチンケな心の瀬戸際要するに満タンの羞恥心を何かが酌んでくれたのだろうか。
――――キーンコーン、カーンコーン。
昼休み終了の合図が学校内に響き渡った。コレが鳴って十分後が四限目開始の時刻だ。ミサはハッとなって我に返って顔を上げる。
「あっ、もうお昼休み終わりだね!」
「お、おう……」
思わずどもってしまう。
離れて少し勿体ない気持ちになった俺がいた。それもかなり。
「あ、ゴメン!ごはん途中だった?」
「ん、いや別に」
「というより明日からは一緒にお昼食べない?」
「……良いのか?他の女子とかは」
「いいのいいの大丈夫トール君だから!」
一気呵成に捲し立てられてしまった。そ、ソウデスカ……。
「ならお言葉に甘えて」
「やったーっ!」
俺の台詞だった。〇企谷八幡マジスゲェ。やっぱり独りは寂しいんです〇レンディ。
どうでもいいがちなみにコーヒーは砂糖少な目ミルク大目派。自由に選べて美味しい〇タバは大好きです。金さえあれば毎日行くまである。いやあまり行かないからこそ美味しいと感じるのかもってかまず俺コーヒーとか飲み過ぎると(ミルク大目だからか)お腹がゴロゴロするんだよな……。だからMAXなあのコーヒーは好きじゃない、まぁ前段階の練乳の時点で俺飲めないんですけどね。何だろうねあのドロ甘感。炭酸飲料の次位に飲めな過ぎる。
どうでもいいか。
さて。
「じゃ、教室戻るか」
「そうだね!」
「♪」と音符でも躍りそう――実際には哺乳類の象徴が躍りに躍ってる――な姿に眼福眼福と思いながら、俺はミサの後をつくように屋上を出る。
扉を閉める際、瞳を閉じて妹に心の片隅でそっと感謝した。
……瞳を閉じたので階段でコケそうになった。
大した台詞回しも出来もしないのに「あー、週1でファンタジーもの書きたいなー」とかアホな事考え出してる今日この頃。そして忙しさに拍車を掛けるという。
もしかして:作者 マゾ ?
お読みいただきありがとうございました。
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随時修正致します。
引き続き、『おさどう』をよろしくお願い致します。




