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幼馴染同盟 ~Are you BEST FRIENDs?~  作者: アオハル
00.ProtoType――試行錯誤(中途)
3/143

第二話 『懐古』と「邂逅」

※変態注意

 

 もしかして:彫刻 レポート

注意)あくまで作者の言葉です。絶対に真似しないで下さい(笑)

 この時の俺の気持ちが想像出来るだろうか?

 何度もしつこく言うが、我らが明日葉一家は七年振り(一人は初めてだが)にこの地に戻って来た。

 つまりは知己の人間など限られている、というかぶっちゃけ大山さん家か三咲さん家のどちらかしかない。ココでノリに乗って、――俺の過去の約束を世界が酌んでくれたりして――チカかミサの二人を期待してしまうのは恥ずかしくはない筈だ。会いに来てくれたり、なんて思っても間違いじゃない筈だ。

 だからこそ再度問おう。

 この時。

 ドアの向こう側の量子力学的な可能性に憧憬を抱き、勢い込んで躓き、バランスを崩しながらドアを開けて突っ込んでしまった俺の気持ちが想像出来るだろうか?

 

 

 

   # # #

 

 

 

 勢い余ってドアから転がり出るように飛び出してしまった俺は、そのまま「えっ?」来客に突っ込んでしまった。反射で目を瞑ってしまった。マズイ、と思い手をつこうとして――――いつまでも自分が倒れないことに気付いた。というか顔に柔らかいのがぶつかっている、って俺がぶつかったんだよ!瞬間的に我を取り戻して顔を上げた。

「え、えっとぉ……久し振りだからというのは分かるけど、……流石にちょっと強引すぎかな?」

 そんな盛大な勘違いをしたように言いながら気まずそうに微笑んでいるのは、他でもない。

 チカ――――の姉である女性、大山おおやま友花ゆかであった。

 

 

 

   # # #

 

 

 

「本当にお騒がせしました……」

「いや、こっちもいきなり来ちゃったし……」

「誠に申し訳ありませんでした」

 先程の出来事から数分後。玄関先の庭にて、俺は全力で土下座を敢行していた。四月にしてはやや熱い日差しに照りつかれ、芝生がチクチクと額と鼻先に当たるがそんなことは事はどうでもいい。

 結論から言うと、俺は彼女に抱きついてしまっていた。とすると顔を押し付けていた部位ところはまさかあばばばばば(思考放棄)。

 閑話休題すこしおまちください

 

 

 

 『〇んでさラップ』が流れた頭を冷やすがてら、説明をさせてもらおうと思う。

 彼女は大山友花。俺達――――チカ、ミサ、そして『僕』――――の監督役のような存在で、陰ながら(物理)見守っていた。その為俺、いや『僕』は親しみを込めて友花姉と呼んでいた。ちなみに今の俺は「友花さん」と他人行儀に呼ぼうとしていたりする。ついでに補足しておくと、彼女たち大山シスターズの名前はどちらも「ともか」という読みから来ている、なんて話を聞いた事があった。勿論、ここにいた時の話だ。

 しかし、いや「だからこそ」と言うべきなのか。土下座の最中、俺は違和感を覚えていた。

 (アレ?友花さんってこんな性格キャラだったっけ?)

 俺の想像というか思い出補正というか、こんなオドオドせずもっとお姉さんした性格だと思っていたんだが……。

「ねぇ」

「ひゃいっ!」

 思いっきり噛んでしまった。羞恥心とこれからどう判決せいさいが下るか分からない恐怖心に駆られながら、俺は恐る恐る顔を上げた。

 久し振りにまみえた彼女は思い出の中に存在する『友花姉』の面影を残しつつ、美しい大人になっていた。スラっとした脚線美が垣間見える脚。華奢さと健康さを両立する腰。余分なものなどありませんと言わんばかりの胴。……そこに”大人”と思わせる色香の塊が二つ。慌てて意識を逸らして腕を見れば白く細い手が彼女の頬に当てられていた。そしておっとりとした端正な顔。肩ほどで切られている黒く鮮やかな髪と泣き黒子ほくろが艶やかさを足し、一層の華やかさを奏でさせていた。

 思わず見蕩れてしまっていただろう。

 そこに悪戯な笑みが浮かんでさえいなければ。

「ふふっ」

 手を頬に当てクスクスと笑う、いや嗤う友花さんは目を細めながらこう言った。

「ちょっと舐めるように見過ぎよ、と・お・るクン♪」

 …………ちょっと死にそうになりました。急に胃も痛くなるし、どうしたのでしょうね。本当にこんな性格だったか友花さん!?さっきから二転三転しますね!!本当にどうしたのでしょうね!!!

 そんな意味不明理解不能な汗を俺をものともしないように。

 可愛らしく舌を出し、腰が砕けそうな位妖艶な顔でウインクをして、

 

 

 

「可愛いともちゃんだと思った?残念!友花ちゃんでした!!」

 今度は違う意味で地面に突っ伏した。

 

 

 

   # # #

 

 

 

「いや~、ちょっと面白そうだから初心な雰囲気でいたらさ、スッゴイからかいたくなっちゃってさ~。それより久し振りに会ったけど、背伸びたよねぇ!でも可愛さはまだ残ってるかな?うーりうりうり」

 ガシガシ頭を撫でられて抱きつかれている俺は今、凄く胃が痛いです。そろそろ救急車の手筈が必要じゃないかな?……ちょっと(本当はちょっとどころじゃないが)幸せなので惜しい気もしますが。

「アレ?ここ意外と筋肉ついてるわね!」

「え、あ、ちょ」

 ヒョワッ!?くすぐったいです先生!やっぱり無理です、耐えられません!!

「頬とか柔らかー」

「ひゃ、め、へ、く、だ、ひゃい」

 貴女の方が柔らかいです、って違くて!

「今変なこと考えたでしょ?」

「にゃ、にゃんにょほきょでしゅきゃ」

「キャー、可愛いー!!」

「ひひかはてほ」

 ちょ、ギュってしないで色々アウトだから!!放して下さい!!!

 何か色々アブナイから誰か助けてーっ!!

 

 

 

「……兄さん、何をしているんですか?」

 

 

 

 ≪妹ののぞみが現れた!≫

 本能的恐怖とはこれか。

 全身にドライアイスをぶちまけられたような感覚に襲わ――――いや、液体窒素の中に放り込まれた気分と言った方がいいのか。

 詰まる所、一気に冷静になった。

「ま、まひぇ」

「どなたか存じませんが、そこは私の場所スペースです」

「ひょ、ひょっひょまひゅんひゃひもうひょよ」

「アレ?とおるクンったらこんな綺麗なともう同棲?」

「はにゃひゃもにゃにひゃひゃんちがひをひてみゃひゅ」

 一気に場は混沌カオスと化してゆく。

 その混乱に乗じて友花さんの抱擁ホールドから抜け出した。

「違いますよ友花さん、コイツは一つ年下の妹の希。友花さんに憶えがないのは当時妹は入院していたからですよ」

「あぁ~、その話なら聞いたことあったわねぇ~」

 友花さんは合点がいったようで良かった。多分ウチの親に聞かされていたのだろう。一方の妹は頬をプクっと膨らませていた。そうだよな、どっちも初対面だったな。

「初めまして希ちゃん。私は隣の家に住む大山家の長女、友花です。よろしくね~」

 サックリとご本人に説明されてしまった。

「初めまして。妹兼恋人の明日葉希です」

 妹は不機嫌そうな顔をしてそう話――――ながら抱きつこうとして来たので手で頭を押さえつける。お前の情報は俺の妹で十分だっつの!嘘を混ぜるな嘘を!!

 そんな惨状を友花さんは華麗にスルーし、

「あら引っ越し先の方には恋人はいないの?なら丁度良いわ」

 と言って俺の左腕に絡みつきながら隣の自宅に連れ――――そっちも待てい!!何処へ行こうというのだね!?

 意外と強い力で引っ張られ、気付けばもう大山家の前まで連れてかれていた。

「今ならチカ居ないし、家で待ってたらビックリするかもよ?」

「何でさ!?」

「ハッ!?――――兄さん、ダメです」

 いつの間にかもう一方に絡んで我を忘れていた(?)妹がここで逆方向に、これまた強い力でいでででで痛い痛い裂ける取れる捥げる!!

 どうしよう、さっきっから全然助かってないよホント助けて!!

 

 

 

 そんな期待を嘲笑うかのように。

 「ちょっとお姉ちゃん!家の前でな――――――――」

 自転車のブレーキ音と共に何処か懐かしい声が聞こえた。

 世界が凍てつき、音が奪われた錯覚さえ覚えた。

 

 

 

 そして世界は動き出す。

 何だかんだで100PV突破(8月3日現在)ですありがとうございます。

 お読みいただきありがとうございました。

※誤字脱字表現の誤り等がありましたら感想にてご連絡ください。

 随時修正致します。


 引き続き、『おさどう』をよろしくお願い致します。

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