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幼馴染同盟 ~Are you BEST FRIENDs?~  作者: アオハル
00.ProtoType――試行錯誤(中途)
27/143

第十七話 「動揺」

 三点リーダー多いです今回。

 そして前回は読まずとも読み進められる風に配慮した……筈です。

 

 では、どぞどぞ。

 俺が話し終える頃には、チカは目に涙を溜め、今にも決壊しそうだった。

 今にも離れていきそうなチカの手を掴んで俺は言った。

「だから別にお前が泣く事なんてないさ……寧ろ全て話せてスッキリだ」

 自分で意図的に作れる中で精一杯の笑顔を以って俺はそう言った。

 すると。

「え?」

 ガシッ、と俺の首にチカの両手が回される。俺とチカの顔の距離が近まった。

 よくよく見てみれば、彼女は潤んだ目で俺を見上げていた。

「――、――――――――」

 可愛らしい唇が動く。

 だが何と言ったか、今度は俺が頭に入って来なかった。

 疑問符が突如として頭を埋め尽くす中、そのままチカの潤った唇が俺のに近づいて――――

 

 

 

 ガチャ。

「ただいま~。今外凄い…………………………あら?」

 唐突に現実が、ここが玄関だという事を完全に忘れていた事を教えてきやがった。

 

 

 

「「「……………………………」」」

 途中参加(言い方がヘンな気がする)の友花さん諸共、世界が凍った気がした。

 場違いにも、傘を持ったまま固まる友花さんを珍しいなーとか思ってマジマジと見てしまっていた。

 ・

 ・

 ・

 トンボを幻視した瞬間だった。

 俺はようやく、ようやく現在の状況を把握した。

 …………………………。

 ………………。

 …………。

 俺は。

「お」

 俺は、

「お邪魔しましたぁああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」

 余りの羞恥から。

 友花さんが開けたドアの向こうから聞こえてくる雷雨豪雨より大きな声で叫ぶようにそう言うやいなや、俺は雨にも負けず風にも負けずな全身全霊全力疾走で隣の我が家へ逃げ帰った。

 

 

 

   # # #

 

 

 

 本日のオチというか、何というか。

 人生で最も望んで我が家に入ろうとする俺は、玄関の鍵を開け――ようとして気づいた。

「……荷物リュック、アイツん家じゃん」

 俺はずぶ濡れになる事も気にせず、その場で頭を抱えてうずくまった。

 

 

 

 ……当然、チカの家まで戻る羽目になった。

 チカの家に戻って恐る恐るインターホンを押すと、友花さんが出て来た。

 直視出来なかったが、頬が誤魔化せないぐらい引き攣っている事は解った。

 そんな友花さんからリュックを受け取り今度こそ我が家に帰宅する。

 

 

 

 数分後。

「はぁああああああああああああああああああああああああああああああ!?!?!?!?!?」

 俺は自室のベッドに裸で寝転がっている妹を発見し、膝から崩れ落ちた。

 ……キャパシティーオーバーだった。

 

 

 

   # # #

 

 

 今日は火曜日。

 眠れなく何度もにらめっこした目覚まし時計を改めて見れば午前5時。

 …………午前六時。

 ………………午前七時。

 ……………………午前八時っ痛!!

 背骨が突然の重みと激痛に軋む。ベッドのスプリングもギシギシ音を立ててた。

 小泣き爺よろしく、誰かがっていうか妹が布団にくるまってミノムシになっている俺の背中に乗り上げていた。てやんでいてやんでい。

「兄さん、朝ですよ?」

「……ああ、そうだな」

「兄さん、晴れですよ?」

「そうだな」

「兄さん、今日は平日ですよ?」

「そうだな」

「兄さん、もうすぐで学校ですよ?」

「そうだな」

「………………………」

「………………………」

「兄さん、私たちは相思相愛ですよね?」

兄妹ライク的意味なら」

「ぶー」

「ぶー、じゃねぇよ……」

 いや、兄妹で相思相愛はアウトだからある意味ブーで合ってるのか。

 どうでもいい。

 そんな事より。

「おーりーろー」

「きゃっ」

 俺が妹に馬乗りになられながらも身じろぎをすると嬌声が上がった。何でさ。

「おーりー、ろっ!」

 無理矢理に先程の痛みでいまだ軋む背骨を更に軋ませて跳び起きる。

「ふにゅー」

 そして奇声を発して倒れてる……と見せかけて俺の布団をクンカクンカしやがってる妹を引き剥がすようにして両手で持ち上げ、

「そーいっ!」

 部屋のドアの外へ放り投げ――すぐさま扉を閉め、鍵を掛け直す(・・・・・・)

 閉めた傍からドンドコ鳴っているのを無視してベッドに戻――――

 

 

 

「…………ちょっと待て」

 思わず声に出してしまう。背筋には普通はかかないであろう冷たい汗が一筋流れた。

 それは素朴な疑問。

 ……アイツは一体全体どうやって鍵の掛かっていた筈の(・・・・・・・・・・)俺の部屋に入ったんだ?

 

 

 

 今度は寒気がはしった。

 俺は素直に学校に行く事にした。

 

 

 

   # # #

 

 

 

 いつもより明るく感じる(通常は五時起きの六時出だからそりゃそうだ)通学路を俺は自転車を漕がないで押して歩いていた。遠くから見れば老人に見えるかもしれない。

 今日、俺が学校に行くのを渋っていた理由は……言わせんな恥ずかしい。いや、ホントに。

 まぁ、アレだ。昨日の……その……き、きき、きゃあああああ!!!?(思考崩壊)

 

   【しばらくお待ちください】

 

 えー、ゴホンゴホン。

 と、とにかく、昨日の一件であ、あああアイツ、チカと顔を合わせるのが、その、……な?

 なので俺は転校して一週間でサボりたくなっていたのだ。

 ……俺の体が無意識に動いてるのは家に籠っていた場合の妹の恐怖と担任を噴火させたくないという一心(?)からである。

 そういったワケで俺は妹と二人で『桜大通り』を歩いていた。

 ……哀しいかな、我が家から学校までは歩いてですら大した距離がないのだ。

 ちなみに毎日自転車を使用しているのは、登下校の際に学校より先にある本屋に素早く行きたかったりするからだ。

「兄さん、どうせでしたら私を後ろの荷台に乗せて、夢の『二人乗り♡』をしませんか?」

「はぁと、じゃねぇよ。それに道路交通法違反だぞそれは」

「ぶー。夢もへったくれもないですね」

「ああ、現実ってのはいつも残酷だよな……」

 目の前であるもの(・・)を見つけて、俺は立ち止まる。

「?」

 俺の急停止に妹は首を傾げたが、直後「あー、成程さいですか」と合点が入ったようだった。

 

 

 

 俺の視線の先、学校から徒歩十分の所にある『桜大通り』のメインでもある巨木、通称『かみさくら』の下で誰かと待ち合わせをしているかのように女性、いや、少女が立ち止まっていた。

 少女もこちらに気づいたようで、振り返る。

 

 

 

 そう。

 その人物は、

 何を隠そう――――――――――あの(・・)チカご本人だった。

 お読みいただきありがとうございました。

※誤字脱字表現の誤り等がありましたら感想にてご連絡ください。

 随時修正致します。


 引き続き、『おさどう』をよろしくお願い致します。

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