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幼馴染同盟 ~Are you BEST FRIENDs?~  作者: アオハル
00.ProtoType――試行錯誤(中途)
17/143

第十話 「願望」

 前回描写を忘れましたが、ミサちゃん一家は明日葉家の正面というか目の前というか。そんな感じです。

 

 さて第十話、始まるドン!

 妹は頼み事を中々言わない。それ以前に誰かに頼ろうという考えさえも中々起こさない。

 妹が幼少の時の自分が入院していた事に負い目を感じているのを、曲がりなりにも兄である俺は知っている。

 『迷惑を掛ける』――――悔しいがないとは言えない可能性に恐怖を抱く妹の姿に当時から俺はその都度やるせない気持ちになっている。せめてオレには頼って欲しいし、妹を支えてやるのが兄の役目だと思っているのだから。最近は少しずつだが素直に……なり過ぎているが。

 

 

 

 妹にはそんな性格を表す特徴的な癖の一つにこんなものがある。

 それは滅多にない、本当の依頼(おねがい)をしてくる時。

 こちらの目を放さないよう真っ直ぐに見据え、最初にある台詞を決まって口にするのだ――――

 

 

 

   # # #

 

 

 

「実は明日の入学式の件で頼みがあるのです」

 妹は吸い込まれそうな黒い瞳で俺を見つめてこう言った。

 その発言と明日暇なのは俺だけという事を思い出して、言わんとしている願望ねがいの推測が起った。

 やはりいつも澄ました顔をしている妹も、行事の時は家族に来てほしいのだろう。なまじ人生の半分を病院のベッドで独り過ごしていたのだ、そう思う事は何ら不思議ではないし、兄としては泣きそうだ。……昼飯食ってないから「ワサビが……」とか言い訳出来ないじゃんどうしよう。

 俺は強い子我慢の子。涙を堪えて俺は言った。

「解った、入学式に保護者代わりで出席してほしい、って事だろ?」

「流石ですお兄様」

「オイ止めろ、その台詞は危険すぎるわ」

「まずはそのふざけた幻想を――ムガムゴ」

「本当に止めんしゃい」

 何か秒速で台無しになった。化学と魔術が交差しちゃってるし。俺の地の文超恥ずかしいってかまず地の文とか考えちゃってる時点で終わってるなぁ俺。はずかしぬ。

「で、そういう事だよな?入学式観に来てくれって事だよな?」

「はい、そういう事です。ですです」

「オーケー解った、ただ学校までいつものノリは止めてくれよ?これが唯一の条件だ」

 中学の時は俺が周りから距離をとっていたから何もなかったが、高校に上がる直前辺りからここ最近までが急に、その、『アレ』な妹になってしまっているからな……。校内でシスコン呼ばわりは避けたいのだ。家族は勿論、皆とは健全で純粋な仲でありたいのだ。

「ハテ何ノ事デショウカ」

「いやお前絶対解ってるだろ」

 すっごい目をキョロキョロさせてらっしゃった。コントか。

 そうだった。唯一にして最大の、妹が信用ならないデンジャラスチェックポイントだった。具体的には口約束が出来ても普通に忘れて本番がっこうで飛びついて来る可能性が自意識過剰抜きで有り得ると思える位。というかここらは実際にあった(世間体的に)怖い話だし。

 もう説得は諦めよう、妹には勝てなかったよ……。

 俺は条件を已む無く取り消して了承した。

「いややっぱもういい……よし明日はちゃんとスーツで行くから」

 葬式用のだがな。焼香の匂いはついてないはずだし、多分大丈夫。

「ありがとうございます兄さん」

「いやいや妹の要望に応えるのが……とにかく明日は行くから」

「何言い淀んだのです兄さん」

 本当に台無しだが今の妹のいつも以上の無邪気な笑顔が見れただけでよしとしますよ。

 

 

 

   # # #

 

 

 

 明日葉一家は朝と夕は必ず全員で食べる――これは最早掟と化している。そんな事で今日は母&妹特製チキンカレーだった。俺の好物でもある。ま、所詮秋の秋刀魚様には勝てませんがね、はっはっは。

 そんな夕食時にて。

 カレーを一口頬張り、しっかり味わって呑み込む。程良い甘さと辛さが好ましく味覚を刺激してくる。うん美味い!紅生姜も良い味出してるね!!……何この酷い食レポ、馬鹿過ぎるだろ俺。

 俺は口を空にして麦茶を一口飲んでから早速両親に妹の入学式に代理で行く事を伝える。

 すると、バナナを与えたサルみたいにはしゃいでいた。ヒゲが。カレーが不味くなるわ。

 そのウザったいテンションのまま、俺にカメラ(どうみても買ってきたばかり)を渡し、「希の写真でデータをいっぱいにしてきてくれ」とかのたまいやがったのでアイアンクローを決め母さんに脅されて肯かされ本格的に行く事になった。

 ……確かに妹の入学式ってコレが初めてだもんな。仕事の中でも今度はとりわけ断れないものらしいし、本人達は気が気じゃなかったのかもしれない。

 一応確認すると、カメラは使い勝手は良さそうで画質も中々だった。三年前に念のためで大きめで買った黒のスーツは今の体格でも問題なく着れるみたいでコレも安心。後は体調管理だけだ。今日は早めに寝よう。

 夕食後の皿洗いをしながら一人領く。

 さーて明日も学校だししっかり起きなきゃな――――

 

 

 

 ――――あ?

 世界が停止した錯覚に陥った。

 ギギギ、と錆びたブリキのように首をぎこちなく動かす。

「兄さん?」

 洗ってる皿を落とさなくて本当に良かったし、落とさなかった俺は本当に頑張った。

 妹が声をかけるが無視して蛇口から流れる水に浸しっぱなしの手を急いでハンカチで拭き、自室に慌てて向かいカバンから携帯電話を取り出す。そして交換したばかりの連絡先へ電話する。

 三コールの後に少女ミサは応じてくれた。

『もしもし、トール君?』

「あぁ、いきなり電話してスマン」

『そ、そんな事ないよう!』

 電話の向こうで手をブンブン振ってる姿が容易に想像出来、和むがそれよりも俺は確かめなくちゃいけない事がある。

 俺は恐る恐る、訊いた。

 

 

 

「明日って二学年って学校だったっけ?」

 喉が異常に渇いていた。

 

 

 

『明日は生徒会役員は入学式、その他の生徒は午前中は総合の時間で午後から入学式の片づけがあるはずだよ?…………もしかしてトール君……』

 

 

 

 俺は携帯電話を落とした。

 今明かされる衝撃の真実だった。

「兄さん?兄さーん?大丈夫ですかー?」

『きゃっ!?い、今凄い音がしたけどトール君大丈夫?もしもし?』

 

 

 

 全然確認出来てなかったとです……。

 

 

 

   # # #

 

 

 

 そして時は四月八日よくじつの朝。

「どうでしょうか我が校の入学式は。何か現時点で不備はございますでしょうか?」

「い、いえ、入口はしっかりとした入場規制が執られてましたし椅子もパイプ椅子ではなく体育館全体の装飾も豪華で良いと思います。『もてなす』という行為をとても大事にしている気がとてもします」

「そうですか。……そこまで言って下さったのは初めてかもしれません。まるで私どもの狙いを的確に突いているような気がしますが」

「そ、そそそそうですか、あははは」

 着慣れなくてズレ落ちそうな感覚に陥る黒いスーツを着た俺は、何処かで見た事のある大人――東有紀子の声に視線を合わせずに応える。手と背中に少しの冷たい汗が流れ始める。頬が引き攣ってないか心配だ。というか授業じゃねぇのかよ有紀先生!とツッコみたい心をグっと押し殺す。

 さて、と腕時計を見ると時刻は九時を回った。もうすぐ開式の言葉が入るだろう。喧しかった周囲の父母親族来賓も段々と静まり返り、巨大で荘厳な体育館が沈黙に包まれてゆく。

 

 

 

 どうしてこうなった?

 最近眠気が酷いです。具体的には『赤い〇つね』食べてる時に眠気に襲われて顔から突っ込んであちゃちゃちゃちゃorz

 

 お読みいただきありがとうございました。

※誤字脱字表現の誤り等がありましたら感想にてご連絡ください。

 随時修正致します。


 引き続き、『おさどう』をよろしくお願い致します。

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