【番外編】一方、部屋にて。 B
お昼寝しようとして強烈な日差しで部屋温まって寝れなかったやつ~ww
自分です。
……おかげで今、吐きそうなくらい眠いです。
なので文章がいつも以上にヤバいかも…………zzz(-ω-)
「 」
「 」
『彼』と希の呼んだ友人が何やら玄関の時とは打って変わって親しげに会話している声がリビングから聞こえる。それを耳に入れながら二人はのそり、のそりと物音ひとつ立てないように歩く。
その姿はまるで泥棒を彷彿とさせるものだった。
「「……、」」
呼吸すら惜しいのか口を堅く結んで静かに歩を進める二人はようやく『彼』の部屋まで辿り着いた。ついさっきまでいた部屋から大した距離はない筈なのに、数分も掛けたような錯覚すらあった。
それまでの行動を無駄にしないよう、慎重に、慎重に金属音を鳴らさないように細心の注意を払ってドアノブを回す。彼女達の周囲ではなぜか張り詰めた空気が漂い始めており、喉を鳴らす音が自分のものかどうかの判別もよく分からなくなっていた。
カチャリ、と鳴る音にここまで心拍数が上がるのは、どちらも生まれて初めての体験だった。
キィィィィィ――――。
微かに軋む扉の向こう、その先で二人を待ち受けていた景色は……。
「……普通ですね」
「昨日寝た時も、結構シンプルなものだとは思いました。とはいえあまり電気が点いてる間に見れてないのでよく分かってはいませんでしたが」
とてもシンプルな一人部屋がそこにあった。
それなりに広い一室で、最初に目に入ったのは左手で天井に届かんばかりにそり立った本棚だ。真っ白な壁に映える藍色の本棚に、これでもかと本が詰め込められている。
どれも小説だが漫画も半分くらい混ざっており、どちらも見覚えのあるタイトルもあれば全く知らないタイトルのものまで様々なラインナップだった。
次に目に入った右手には保健室のよりはマシ程度のベッド。ここまで見ただけで、部屋の主がどれだけインテリアに興味ないかが窺える事だろう。
その真ん中を位置取ったベランダへと繋がる大き目の窓が、より殺風景な事態に貶めている気もする。銀糸で星座の刺繍が入った瑠璃色のカーテンが、申し訳程度に最悪をなんとか回避している感じだった。
「へー、兄さんの妹ですが、こんな光景になっているとは初めて知りました」
「だからそれ誰が原因だと……」
全てはつい一か月前に引っ越すまで住んでいたマンションで起きた、水無瀬幸がジト目で見つめる目の前の少女が元凶なのだが。
しかし本人はどこ吹く風で目を輝かせるばかりだ。
「そうですそうです折角なのですから」
「はい?」
普段はダウナーな表情の整った顔が、今は興奮で紅潮し、やけに嬉々としているように見えた。
「それは勿論、ベッドの下ですよ」
続々と報じられてゆく『MHX』が愉しみ過ぎる。
なんと言われてもエリアルランスで頑張りたい所存。




