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幼馴染同盟 ~Are you BEST FRIENDs?~  作者: アオハル
02.Cold-en weaks _Do you know?_
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【番外編】睡眠時間

 箸休めのつもりで。

 (後書きに続く)



「ん……」

 肌寒さに意識の火が灯る。まるでランプを彷彿とさせるそれは、ユラユラと頼りなく暗い洞窟を照らすようなイメージを浮かび上がらせる。まるで童話の世界だ、と思うのはさっきまでの夢に囚われたままだからか。

 いまだ眠気が覚めない目をゴシゴシと擦る。

 『眠り姫』と呼ばれたりもするけど、別にそんなロマンチックな存在じゃない。ただ睡魔に誘われるがままに机に突っ伏してるだけだ。

 私は気候に弱い。

 例えば台風が接近すると、すぐに体調を崩す。小さい頃は悪天候が訪れれば発熱を繰り返していた。耳鳴りのように頭に響く何かに左右のバランスを崩される気分は、今でも嫌な思い出だ。

 最近はなんとか頭が重い程度で済むようになってきてはいるものの、相変わらず万全からは遠い状態にはなってしまう。

 まぁ。それらを自分が授業中にまで惰眠を貪る免罪符にするつもりは、毛頭ないのだけれども。

「よく先生に怒られないな」

 毎度、隣の席になった人にそう言われる。

 私自身、どうしてなのかは分からない。私の影が薄いってだけなのかもしれない。

 でも。理由は分からないがそれならそれでラッキーだ、と思う。

 授業がつまらない……と思う部分も少しはあるけども、異様に眠いのだ。他の人が読書やゲームに興じる時間を就寝に充てても尚睡魔は襲って来る。そんな最強の睡魔の前に無力な私は気付くいたら寝ている。だから対抗のしようもないのだ。

 仕方ない。

 仕方ないったら仕方ない。

 そんなワケで、現在もまた――――。

「をい」

「…………んにゃ?」

 突然、肩を揺すられた。

 ぼんやりとした視界の中で、その揺れの原因が映る。

「そろそろ授業だぞ」

「ん~……」

 隣の席の明日葉透君だ。

 いつも授業前に声を掛ける彼は、しかし私としては不思議と鬱陶しさを感じなかった。

 安心して眠れるのだ。

「おい、風邪引くって」

「んにゃんにゃ~……」

 もう眠い。

 眠い。

 眠……

「へくちっ」

「ほーら。だから寒いって言ってるだろうよ」

 うーん肌寒い。

 衣替えはまだ一週間くらい先だし、上着も持って来てないし……。

 でも眠いし……。

「……仕方ないな」

 と。

 そんな苦笑でも聞こえて来そうな声の後に、バサッと肩から背中にかけて何か温かいものを感じた。

「ん……?」

「毛布。あんまりカラフルのはアレだろうけど、小っちゃくてシンプルな見た目のヤツなら良いだろうと思ってな。……あ、ちゃんと洗ったからな、別に臭くない筈だぞ」

 初めての事だった。

 思わず目をパチクリとして隣の少年の顔を見る。

「最近めっきり涼しくなったからな。よく寝てるお前とか風邪引きそうでちょっと気になったんで持ってきちまった。要らないかもしれないが一応背中か足にでも掛けておいてみてくれ」

「……ん」

 不意に笑みが零れた。

 眠気より強く表れるなんて久々の感覚だ。

 外の天気は随分とどんよりしたもので、ストーブやエアコンはおろか衣替えもまだな教室は冷え冷えと涼しい。

 けれど今は温かい。

「ありがと……」

「どうせならそこで寝なければ完璧なんだが……」

 呟いたその声が聞こえたのか聞こえないのか分からないまま、彼らしい憎まれ口に背中を押されて、私はまた睡魔に誘われてゆく。

 そこに心地良さを感じたのは気のせいだったのだろうか。



 ――――その日は、穏やかな夢を見た。

 (前書きから続いて)

 ……と書いてたら、なぜか自分が眠くなって寝ちゃうっていう。

 だからこの時間なんです、ブレンディ。

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