第06話 かいそう・c(1)
予め言いますと、今日も時間なかったので分割です。
07話のCパートを謳っているのにも拘らず、その中でも更にAパート相当になります。
……んだよコレわけわからねぇ、な内容となってますが菩薩の心で許してやって下さい。
そうだ、もうひとつ――――。
時はまた四月、その中旬。
テストの結果も発表・返却され阿鼻叫喚も冷めやらぬまま通常授業が開始されて、一週間が経過した頃だった。そろそろ俺も、あとは希もこの土地に馴染んで来たかな? と首を斜めに傾けられる余裕が出て来た辺りの話だった。
「…………………………、」
その瞬間、頭を過ったのは昨日の帰りのショートホームルームにて担任の口から公表されていた行事だった。
理由は単純明快だ。
次の授業が体育だった。それも初の体育の授業で、所謂スポーツテストと呼ばれる過去登校していた学校で言う戸頃の「体力測定」なる存在が一日丸々立ち塞がっていたのだった。そういう日にはすぐさま登校しては着替えをしておくのが習慣のようで、男子は更衣室、女子はクラスの教室その場で行っておくそうだ。後から耳に入れたその方式に、以前通っていた高校とは真逆のシステムで採用されてるなといった感想を俺は抱いたのだった。
つまるところ。
朝、クラスの扉を開けたら、女子生徒全員が着替えていたタイミングだった。
『…………………………、』
全員が全員、きょとんとした顔をしていた。
中には見知ったチカやミサ、あとは俺の隣の席で授業中でもいつも眠りこけている井上……実夏さん、だったかな? の顔も見かけた。
白、赤、赤、白、ピンク、水色、紫、緑、白、黒、青…………。
水玉から縞模様、果てはレースなど様々な、見るも美しいラインナップが、そこにはあった。なぜだか、それらを通して軽く花畑も幻視した気もした。
「…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………、へっ」
これは、アレだ。
人間以前に生物が史上最低の絶望な状況に陥った時に不自然に湧き出る、笑みとは違った最早奇声に近い何かが口から零れ出した。最初、その変な声が俺自身のものだとちっとも思えなかった。そのくらい、俺は今の状況にただ打ちひしがれていたのだろう。
そして。
その奇声を発して数コンマだったろうか、俺は速攻で教室の扉を閉めた。
ピシャリ! と結構大き目の音が出た。
「……は? はぁ!?」
意味が解らなかった。
最近意味が解らないと言う事が多いような気がしなくもない俺だが、今回も本当に訳が分からなかった。何が原因かと言われれば何かしらを知らないでいた俺に非があるのだろうが、でもこんなのは想定外だ。そこまで予測して物事を進められるかと匙を投げたくなった。パニックのあまり、できれば誰か教えてくれと叫びたくなる脳を押さえるように頭を抱えて、思わずその場で蹲りたくなった。
「…………よし」
十秒くらい扉に手をやって「お猿さんの反省」のポーズをしてからだったか。
フラフラと、俺は職員室に向かう事にした。
一瞬にして今日の予定を丸ごと忘れた上にどうしてクラスの女子生徒全員が教室でストリップみたいな事をしているのか、今考えたら通報されるだろそれとツッコミを入れたくなる事を、おそらく職員室にいるであろう担任の有紀さんにでも尋ねようかと歩き出した。
その一歩を踏み出した時だった。
「えっ――」
ガシッ、と。
後ろから肩を掴まれて、ホラー映画の憐れな被害者のように俺は有り得ない力で締め切った筈の教室の中へと引きずり込まれた。
ピシャリ、と先程聞いたような音がとても遠くから聞こえた気がした。
……これが。
今思えば、「まぁ、そうなるな」とは俺自身思う、話そうとしている事の発端だった。
最初からクライマックス(主人公の社会的な立場が)。