第06話 かいそう・b➝c(Interval)
今日時間なさ過ぎ訴訟レベルだったので、泣く泣くCパートの冒頭部分を抜き出し(?)ました。はい短めです。
それでも毎日は更新できてる辺り、リアルが多少なりは落ち着いた……という事でいいのでしょうか?
「――自慢ですかそうですか。誠におめでとうございます」
「なんでそうなっちゃうの!?」
ガバッ、と身体に掛けていた肌触りの良い毛布を放り捨てるように上体だけ起き上がる。暗闇に慣れた瞳に小ぢんまりとしたサチの背中が映る。
まるで猫のようだ、と思った。
「今の話、どう考えても自慢にしか聞こえなかったのですが」
「違うから違うから!」
どうしてそうなるんだよ――と言う前に、
「要するに学校でもトップクラスの美少女二人に転校してすぐの時点で昼食に誘われた、そういう事でしょう?」
「……まぁ、そうなるな」
「自慢じゃないですか」
「話の中心はそこじゃねぇんだって!!」
確かに、と思ってしまった。更に過去に出会っている幼馴染みでしたー☆ ……なんて情報をその話に添付でもしてみろ、完全にラノベの主人公か何かみたいじゃねーか。そりゃ自慢と思われますわ。そう考えると、割と背後から刺されたり上から植木鉢が降って来ても仕方が無い気がして、ブルッと不自然に身体が震えた。
でも話したい内容はそこじゃなくて。
「というかサチなら解ってるんだろ?」
「…………、」
猫を彷彿とさせるその背中を見つめて、俺は問いかける。短く見えて案外長いらしい黒髪のせいで、眼鏡を外した彼女の横顔がどんな表情を形作っているのか教えてもらえなかった。
『解る』という単語は辛辣だ。
全てを知ったわけでもなしにその言葉を使ってしまえば、いつか必ず綻びが生じる。その言葉を投げ掛けた方も「知ってもらえているのではないか」という微かな期待が混じる。
俺という人間が卑怯なのはとうの昔に
「それとさ、――――」
それからもう一つ、今から話す過去で改めて噛み締めた事実だった。
ゴールデンウィークだからか、車通りもなく明かりも疎らな住宅街はひどく静かに、涼しげに感じた。