みなさん、100話目ですって。
すいません、PCの調子が悪くて予告もなしに正午投稿になってしまいました。今後も正午投稿になるかと思われます。宜しければチェックしていただけたらなーなんて。
「一〇〇回目記念?」
一瞬、素で一〇〇回忌年とか不穏な単語に聞き間違えました。はい。
「そ。だから私達に出演のオファーが掛かって来た訳だけど」
ああ、一〇〇回忌年じゃなくて一〇〇回記念ね。よくよく聞いてみれば間に目とか入ってたかもしれない。先祖を祝ったり悼んだりする風習は俺の家族にも目の前の幼馴染み・大山智香の家族からも一言も聞いてないし。
どうする? とチカに尋ねられた俺は、欠伸を噛み殺してから答える事にした。
「却下だ却下」
当然、ノーと。
「一々俺みたいな面白みもないヤツとか出しても空気が凍るだけだし、知り合いとかを出し物扱いしたくないし」
そもそもさ、一〇〇話目とは言いつつも、その内の半分以上が番外編やら謝罪やら何やらでしょ? それに本編と称したのが腐っても一年間続いたクセに、未だ五月のゴールデンウィークに突入したばかりって幾らなんでも遅過ぎない? サボり過ぎでしょ。あと体調と日程の管理ガバガバ過ぎでしょ。
「……後者はともかく、透だけでも出てみたら?」
後者はともかくってお前な――と呆れながら、ふと想像してみる事にした。
自分が活躍する(?)物語を。
自分が誰かを幸せにする姿を。
「……誰得だっての」
苦虫を吐き出すようにそう呟く。
俺には、実像を結ぶどころか想像すらできやしなかった。
「そんな事より俺は今を楽しみたいの」
「海にまで来ておきながらパラソルの下でのんびりしてる人の言う台詞じゃありませんよね」
「お前が言うなよ!?」
真後ろにレジャー用の椅子を設置して陣取っておきながら突然真を突くようにそんな事をのたまう水無瀬幸に、叫ぶようにツッコミを入れる。
そう――――今、俺達は県東端に位置するビーチにまで遊びに来ている。
各々が好みの水着を着ては賑やかに水遊びに興じているのを、暑いのが大の苦手な俺は少し離れて見学させていただいていた。
……考えてみれば、以前ここに来た時と変わりない気がする。
「――随分と地の分の説明が雑ですね兄さん。折角、私達美少女が水着を着てるんですよ? 挿絵もないんですしそこ頑張りましょうよ」
「えー……」
だって水着も前回と一緒だし、それにジロジロ見るのはこっちが疲れるのだ。恥ずかしいし。ヘンタイっぽいし。
「――というか、ミサ達は?」
「貴方の意識が波に攫われてる間に、海の家にビーチボール借りに行きましたよ」
「お姉ちゃんとミサとあかりちゃんと先生の四人でね」
「何でも先生が海の家の方の知り合いだそうでして、無料で使わせていただけるって話らしいのです」
「へー」
「それと、実夏さんでしたっけ? 彼女は今…………隣で寝てます」
「zzz……」
「ああ、そう……まぁ大体予想はついてたけど」
違った事と言えば、以前に比べてメンツが増えた事だ。
俺と同じクラスで隣の席の眠り姫こと井上実夏。
後輩で、希と同じクラスの委員長・御園あかり。
俺やチカ、ミサの担任である東有紀子。
今この場にいないが、ミサや友花さんの他にその三人が新たに参加してくれている。引っ越して来た当初じゃこんな光景、想像もつかなかった。
「――みんなゴメンねー! 」
「はぁ……はぁ…………、お待たせ……しました…………っ!」
「で、借りて来たのはいいが、何をする?」
「ユキちゃんちょっと貸して~。 ――えいっ♪」
「ブフゥッ!!?」
あと、話を聞いてもらえそうにないあく――友花さんがいるせいで、この空間が更にカオスになるっていうメリットともデメリットとも言い難い点も違っている。これだけの女性と一緒に遊べてる時点で色々と役得だとは思うけど。
「……大丈夫のようね」
「微笑んで言う台詞じゃないだろお前。ってか今からお前も参加しろ!」
「zzz…………………………むにゃ?」
「あ、実夏も起きたなら、一緒に身体動かさない?」
「うーん……さて、如何に兄さんに気付かせずにかつ好感を持たせて兄さんポイントを上げるか、動きながら考えますか」
「誰も心配してくれないのなっ!」
「と、トール君!?」
「はーっはっはっは!! いいぜぇお前らまずはそのふざけた幻想をぶち壊してやる戸頃から始めてやろーじゃねぇか!」
「せ、先輩が謎の小物キャラに!」
「小物扱いかよ!?」
改めて考える。
やっぱり、俺には俺自身が活躍する物語も、俺自身が誰かを幸せにする姿なんて想像もつかない俺にはやっぱり小説の、ましてや主人公になんて全く以って向いてないんだって。
でも。
だからこそ。
俺は今みたいにギャーギャーワーワー騒いで遊んで楽しめる、このままでいられるように。手探りでも遠回りでも時間が掛かってでも少しずつ少しずつ、形作れるようにしていけたらと――願い、動くだけで精一杯なんだなと。他の事が想像もつかないくらいにそれが一番大事なんだなって、心から
――――改めて、思う。
ギラギラとした太陽が、灼熱となって至る所を猛暑へと変貌させてゆく。温度計は不具合を懸念させるような数値を示してるし、熱中症対策以前に喉が渇き過ぎて冷蔵庫やクーラーボックスにペットボトルが敷き詰められる事態にまで直面している。
そんな夏は、ようやく折り返しを迎えようとしている。
実は書いてる最中、というかここ最近ずっと腹痛が酷い有様です。
……寝て、腹痛で目が覚めるなんて経験は流石に生まれて初めてでした。
;ω;




