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026冷淡な受諾

「……どういう、ことですか?」

「昨日、フェルミア連合軍が壊滅した」

「……え?」

「我々は援軍を送らねばならぬ……もし、フェルミア連合がメラノ王国軍によって滅びれば、森林連合は非常に危うい状態に陥る。それだけは避けねばならん。だから頼む、シャラ殿。援軍に参加してくれ」


ヴァルトフェーラは訴えるように声を発した。


「頼む……」

「ヴァルトフェーラ様……」


僕はその間、酷く混乱していた。



フェルミアというと獣人たちの国で、森林連合の交易相手である。そして同盟国でも……

そこの軍が壊滅……!


つまり、かなり危険な状態であることは分かった。


メラノ王国はフェルミアの隣国で敵国だ。

メラノ王国軍が侵攻してくるとなると……


「危険です、お母様!」


震えた。


心と、声が。


「軍が壊滅したなんて……一個人がどうにかできる問題ではないはずです!」


シャラは僕の母だ。


家族だ。


家族を危険にさらすことなんて許せない……!


「……いや、出来るのじゃ。シャラ殿の力なら……もちろん、危険であることは承知の上。それでも、我々はその力を借りなければならない……!森林連合を束ねる、元帥として!これは単なる援軍ではない!これは我々森林連合としての国家の独立と存亡を懸けた、防衛戦争であるっ!!……フェルミアが落ちれば森林連合は重大な危機に陥ることを理解してくれ……!」

「……っ!」


皆、絶句する。

僕はヴァルトフェーラを睨んだ。

彼もここで引くことは出来ないとばかりに睨み返してきた。


「……もちろん、軍の特別士官としての参加じゃ。もし異常事態があれば、命を懸けても護り、場合によっては逃せと命令してある」

しばらくの睨み合いの末、ヴァルトフェーラがそう言った。

皆、しばらくの間沈黙を保っていた。


「分かりました」

やがて、発せられた声の主がシャラだとすぐには分からなかった。

それだけ、冷淡な声だったからだ。


「お母様……!?」

「ヴィオラ」

シャラは冷淡な声で自分の名を呼び、無表情で見つめてきた。


たじろいだ。


シャラにあんな目で見られたのは初めてだった。


次の瞬間には安心させるような微笑みを浮かべていた。


「大丈夫よ、ヴィオラ。お母さんが強いの、知ってるでしょ?」


一人称がお母さんの時は真剣な時だけだ。


自分が母であることを自覚させ、安心させようとする。



……ずるいよ、お母さん。









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