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023鍛錬である

遅れてすみません

亜麻色の衣服を纏った妙齢の女性エルフは呪文も唱えず中位の風魔法を放った。

呪文は元々、魔法の補助なので何も不思議はない。

上位魔法であれば不可能だが。


「【遮断防御盾(バリア・カット)】!」


迎え撃つのはこれまた亜麻色の服を着た五歳児。つまり僕。


足場は殆どない。


細い一本道しかない。


つまり、避けようと思っても落ちるだけなのだ。そこで……


「【飛翔の風鎧(フライングアーマー)】」


風が僕の体に纏わりつく。


足がふわりと浮く。



僕は完全に飛んでいた(・・・・・)



かなり高度な術式魔法だ。一応上位の風魔法である。


この魔法は自分で編み出したオリジナル魔法。


最強にして最高の……飛行能力……なのかな?



まぁ、そんなことはどうでも良い。

大事なのは実践能力があるかどうかだ。


懐からナイフを取り出した。


そして投げ、一気に地面、いや空気なのか?を蹴った。


「【重力制御グラヴィティ・コントロール】」


その声を聴いた瞬間、悪寒が背中を駆けあがる。


反射的に距離を取るように下がった。


「な!?」



空間が歪んだ。



そう表すしかない。



「【魔術制御妨害(ジャミング)】!」


咄嗟に唱えた特殊魔法がシャラの放った空間魔法を打ち消した。


間一髪で空間が圧縮されてミンチになるところだった。


「僕を殺す気ですか!?」


「え~?だってヴィオラだって私に最上位魔法を撃ってきるじゃん。だからお返しよ♥」


くっ!この人は……


もうこの際、力押しで行く。


どうせ、精度では敵わないんだ。


「【風林火山(ザ・テンペスト)】」


あらゆる属性の魔法をバンバン出す魔法。

個々の魔法は下位、または中位だが総合では上位から最上位だ。


シャラは避けられないので防御の最上位魔法を唱える。


「【絶対防御イージス】」


全て防がれていくが、それは想定内。


絶対防御イージス】じゃ防げないたぐいの魔法を唱えるから。


特殊魔法。それは最上位魔法でも説明がつかない状況を引き出すという……


「【対象絶対消滅エクスティンクト】」


漆黒の閃光が【絶対防御イージス】を消滅させる。


「えっ、うそ!?」


この魔法の恐ろしいところは例え最上位魔法でも消滅させる出来ることだ。相殺だが。


最上位魔法は人を即死させることが出来る魔法が多い。


これも同様で、心臓だけを消滅させることも可能だ。


切り札の一つである。

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