018妖精の微笑
僕はどんなことを書き記すか悩んだ。
悩みに悩みぬき、やがて結論に達した。
この世界で分かったことを書こう!
安直な考えに苦笑いするが、それしか書くことが見つからない。
貰った大量の紙を紐で束ね、一枚目にこう書いた。
『幻想世界の攻略法』
さらに二枚目へと移る。
『魔法は世界の法則に組み込まれており、魔力によって発現させることが出来る。
名称のある魔法は威力も強いとされ、最上位に近い魔法はかなりの魔力の消費を伴うとともに最大限の威力を誇る。最上位魔法は一つだけではなく、複数あると言われる。確認できたものだけで、回復魔法
【復活の輝き】、防御魔法の【絶対防御】、闇魔法の【暗黒の魔玉】、風魔法の【天空の風神】。これらを見る通り、最上位魔法は個人が所有する戦力を明らかに逸脱しており、戦略級である。上位は戦術級。下位魔法には名称はない。魔法の覚え方はその下位の魔法を完璧に使いこなすと自ずと分かる。ただ、命名は他に使い手がいない場合、その人物が行わなければいけない』
ふぅぅ。
僕はそこまで情報を整理すると、時間を確認するために外の日時計を見に行った。
そろそろ長老様とお勉強の時間だと思う。
屋敷へ向かう途中、カロナと出くわした。
「ヴィオラ!」
同時に僕の身体が戦闘態勢へと瞬時に切り替わる。
カロナにはいつも訓練に付き合ってもらっているのだ。
そして衝撃波を起こしながら、叫ぶ。
「【気絶の放光】よ!」
「【魔法の盾】、そして【風龍の咆哮】!」
カロナは中位の魔法盾でいなしながら上位魔法で反撃してきた!
「くっ!【遮断防御盾】!」
迷うことなくこちらも上位魔法を使用。そもそも最上位の【絶対防御】は未だ習得できていない。
段々、カロナに押されていく。
「【妖精の微笑み】」
まずい!!
頭の中に警報がガンガンと鳴り響く。
まずい、まずい、まずい!!!
妖精の微笑みとは状態異常魔法の上位魔法だ。
何がまずいかと言うと……自分に敵は見惚れ、思考が麻痺するのだ。さらに恋愛感情と性欲も活発化し、理性がなくなるという凶悪な魔法なのだ。もちろん敵地でそんな魔法を食らうと絶体絶命だ。
ある程度の精神耐性があっても、上位魔法であるが故に効かない。
まずい、まずい、まず―――――
段々思考がピンク色に染まっていく。
カロナの方を見ないようにしても無駄、と言わんばかりに麻痺していく。
あは♥
壊れるかも......
でも......それも良いかも♥
あはぁ♥
そして僕は―――――涎を垂らしながら気絶した。




