016評議は続く
「それでは森林連合軍総帥のルイ殿……」
マリアが座り終えると同時に立ち上がったのは赤い髪をした中年の男性だ。
「報告させて頂きます。我が森林連合軍の戦力は数千。最高で一万に届くか届かないか、というところです」
「相も変わらず、我が軍は数が少ないな……」
「仰る通りです。そのため練度を鍛え、同数なら魔族と対等に戦える、というところまで鍛え上げました人間勢力が侵略を企てても、容易に追い返せるでしょう」
「頼もしい限りじゃ」
「ただ、もう少し、人員を軍に割いて頂けないでしょうか?ヴァルトフェーラ殿」
「うぅむ……」
彼は呻く。
当然だ。人員の余裕なんてない。
「徴兵しますか?」
グレンハートに聞かれ、ヴァルトフェーラは苦々しく頷く。
「そう……じゃの。それしかない」
「承知しました」
「それでは総合事務当局の報告」
彼が促すと、レノンが立った。あの茶髪の青年エルフである。
「森林連合の経済状況は非常に良好。また人口は七万に達しています。子供はその内の1%の約七百名。何かご質問は?」
「提案がございます、評議院長殿。発言の許可を」
今度は違うエルフが。
「許可する」
「感謝します。子供は各村で個別に育成するのではなく、森林連合に学院を創立してそこで育成するのがよろしいかと判断します」
エルフ達の間から驚愕の声が漏れる。
「貴殿は本気で言っているのか!?」
「無論、本気です。評議院への中央集権化に移行する方針です」
ヴァルトフェーラは「皆はどう考える?」と質問をした。
「反対です。中央集権化は独裁を招き、バランスを崩すと思われます」
レノンだった。それに言い返したのは提案者のエルフだった。
「しかし、どうやって魔族勢力に対抗するというのだ。我々は団結せねばならぬ!」
「貴殿はどうやら政治のことを全く理解していないようだ。中央集権化を図らなければ団結できないという、その偏った偏見と誤解に満ちた言動を今すぐに改めるべきだ」
レノンは相変わらず態度が悪い、そう思うグレンハートとヴァルトフェーラだった。
「な!?無礼であるぞ!」
レノンと提案者のエルフは議論を過熱させていき……
「貴様、その剣を抜け!その腐った頭を切り落としてくれる!」
「ぬかせ!貴方の固まった脳味噌をかき乱して、生きた屍にしてくれよう!」
仲良く怒鳴られた。
「「いい加減にせぬか!!」」
ヴァルトフェーラとグレンハートだ。
「とにかく、学院を設置するか否かを決めよう」
「時間が掛かりそうですね」
二人は同時に深いため息をついた。
評議は続く……
キャラクター紹介
ルイ
森林連合軍総帥。赤髪の中年男性エルフ。




