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010面倒な事に

「ごふっ!」


生命力を使ってでも回復させる、といった僕の覚悟は良い意味で裏切られる。


長老様は急速に生命の息吹をぶり返し、むせ返った。




生き返った。




周囲にそう確信させるほどの動きだ。



良かった……


復活の輝き(リザレクション)】は傷や病気は治せても死者を生き返らせるだけの力はないはずだ。


長老様が助かったのはただ単に死亡直後だったからだ。


まだ生命維持活動を行う器官が劣化していなかったんだろう……



運が良かった。



一言で言えばそういうことだ。




長老様の開かれた瞳は混乱したように忙しなく動き、やがて白目に変わった。



気絶、したのだ。



周りのエルフ達は何が何だか分からない様子で暫くの間、固まっていた。





............

......

...

..

.





あの後、僕は次期村長候補の長老様の次に年齢がいっている400近いらしい御爺さんエルフと父アレンに

尋問された。



―――――さて、ヴィオラ。一つ、聞いて良いかな?


―――――ダメです。


―――――と、言われても聞くから聞いた意味がないね。端的に言うと......長老様は確かに死んだと皆が証言している。でも長老様は今現在生存している。何故だか分かるかい?


―――――生き返った、それだけのことでしょう?


―――――残念ながら『それだけのこと』として処理するには次期村長として許されることではないんだよね~。そうだよね、アレンくん?


―――――は!全くもって次期村長『候補』のアルフ殿の言うとおりでございます!


―――――……レンくん、君は礼儀がなっていないようだ。子供の前で失態をして恥ずかしくないのかね?


―――――失礼ながら私はどんな失態を犯してしまったのかさっぱり分からないんですが……次期村長『候補』のアルフ殿?


―――――……もういい、君には失望した。


―――――次期村長『候補』殿に失望されたとしても私は一向に構いませんのでどうぞお構いなく。


―――――くっ……村の長になったらあかつきにはどうなるか覚えておきたまえ。……それで、だ。ヴィオラ、君に質問しよう。


―――――イヤです。


―――――その答えは何の意味もない、といったばかりだ!……君が放出した魔力が長老様を生き返らせた、という報告が相次いでいる。ヴィオラ、君は何をしたんだ?


―――――回復魔法を使っただけです。


―――――それも最上級に近いモノを……だが、魔法で死んだ者を生き返らせることは不可能なはずだ。もしそれが出来るのなら君は神と聖霊への冒涜者だ。エルフから命を狙われることになる。


―――――アルフ殿!言葉が過ぎますよ!ヴィオラはまだ子供どころか幼子おさなごです。


―――――だがこれも事実なんだ!救いたいが次期村長として見逃すことは出来ない。


―――――ヴィオラが死者を生き返らせることが出来るとまだ決まったことではありません……どうなんだ、ヴィオラ?


―――――私は魔法で長老様の傷を治しただけです。そして死者を生き返らせる力を魔法が持っていないことは次期村長候補のアルフ様が良くお分かりのはずです。


―――――……ではなぜ長老様が生き返ったか教えてもらいたい。


―――――運が良かった、と言っていいでしょう。死亡直後だったこともあり、治せば生命維持の活動が不可能ではなかったということです。


―――――……そうか。しかし、それが事実として皆の者が受け入れてくれるか……?


―――――とにかく、ヴィオラはもう行って良いぞ。ただの確認だからな。


―――――…………


―――――心配するな。後の面倒事はお父さんに任せて遊んで来なさい。


―――――え?じゃアレンくんに全部任せて良い?


—――――……失言でした。申し訳ありません。


―――――…………

キャラクター紹介


ヴィオラ【Viola】

主人公。英雄の素質を持つ美少女。魔力が規格外に増えた。


アルフ【Alf】

次期村長候補でしかないただの爺。詳細は知る必要もない。一応詳細不明。



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