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008魔族の襲撃

魔獣モンスター除けの結界が破壊されたことによって、長老はあらゆる可能性を考えていた。


ダークエルフ、または魔族の襲撃は当然予測出来る範囲内だ。

しかしそれはかなりの苦戦が予想されるため、出来ればそれはないと思いたい。

それ以外の敵は高位の魔物であるドラゴンか、あるいは単なる魔獣か?


長老は油断せず、慎重に素早く魔力の波動を感じた場所に向かった。


日はすでに姿を見せておらず、辺りは暗闇に支配されようとしていた。だが、エルフは夜目が効く種族だ。戦闘には何の支障もない。


「長老様!」


静かに、だが鋭く長老を呼ぶ存在が。


長老と同様、魔力の変動を感じた者達である。


「我々もお供致します」


「そうか……分かった。だがいざと言うときに皆を逃せるようにしておくように」


「承知しております」


エルフは一部が長老に付いてきた。残りは待機のようだ。





村と魔獣モンスターの領域の境には大きい獣のような姿が暴れていた。魔力弾を辺り構わず発射している姿はどう見ても知性がないように思えた。


「ば、馬鹿な!?地竜グランドドラゴン如き(ごとき)が結界を破れるはずがない!」


長老のすぐ後ろにいたエルフは叫ぶように言った。


そう、普通(・・)地竜グランドドラゴンなら結界を破壊することは不可能に近い。だが、普通でないのなら話は違ってくる。


とにかく無力化するのが先じゃ。


長老はそう思い、十分に矢を引き絞った。


地竜グランドドラゴンの眼球を狙い、射った。


必殺の矢は地竜グランドドラゴンの狙い違わず眼球を突き刺し、その奥の脳をも破壊した。


そして叫び声を上げる間もなく絶命した。


「ふぅ」


長老は油断しそうな精神を叱責し、隙なく弓を構えながら死体に近づいた。


眼球から流れる多くの血によって小さな水たまりができるほど、出血量が凄かった。


そして、


「ははっ!面白い」


「ッ!?」


長老に大きい警告の音が響いた。

反射的に回避行動を行った。


ちょうど後ろにいたエルフは完全には避けきれなかったのか、片腕を持って行かれた。


「ぐあぁぁっ!」


そのエルフは声にならない叫びを上げながら倒れ込んだ。


長老は目配せして周囲のエルフに助けよと指示した。

そして敵の姿を確認する。


敵は……血液が集まって人型の形になっている物体である。



「魔族だな」



長老は呻く。敵の姿からしたらどうやら血液の奇形魔ブラッディ・モンストゥラムみたいだ。獲物の血を操り、寄生する。



それも変異種。血液の奇形魔ブラッディ・モンストゥラムは魔物だが、魔物からも少ない確率で魔族が生まれることも稀にある。



致し方ない。



長老はそう割り切って被害を出さないようにするために全力を出すことに決めた。


そして、短剣を取り出し、素早く投げた。目晦まし(めくらまし)だ。

と同時に身体能力強化も使用して一気に相手に向かって踏み込んだ。


「【クモの束縛(スパイダー・ウェブ)】」


「なっ!?」


魔族は驚きの声を上げた。


長老は左手で相手を拘束、いや、足止めの魔法を使い、右手でまた別の高品質な短剣を取り出した。



そして肉薄した。


「くっ」


魔族は動揺しながらも拘束魔法から強引に逃れた。


しかし、時すでに遅し。



「聖霊よ、我に力を」と呟くように言いながら短剣を魔族の制御核コア―――――魔族や魔物にとっては心臓のような物―――――を破壊する寸前だった。



しかし、その瞬間魔族が笑みを浮かべた気がした。そして膨大な殺気が脳に警告を鳴らした。



すぐに制御核コアを破壊した。



だが……魔族はまだ一瞬動けた。



それが致命的となった。



「死ね!」



『用語辞典』


魔族

力はかなり強く、魔法にも長けている。龍族に次ぐ強さを誇る。制御核コアによって動いており、究極の弱点である。


聖霊

詳細不明。エルフ(森の民)の精神的主柱。


グランドドラゴン

地竜とも。ドラゴンの中では下位種族に属する。飛ぶことは出来ず、地を這う蜥蜴の様。


ブラッディ・モンストゥラム

血液の奇形魔とも。魔物。血を操り、獲物に寄生する。ある程度の戦闘能力も有している。


【スパイダー・ウェブ】

クモの束縛とも。拘束魔法の中位。かなりの拘束能力を持っているが魔族にはあまり効果がない。


コア

制御核とも。魔族や魔物には心臓に等しい。単体でかなりの魔力を有す。


魔力弾

シンプルに魔力の塊。威力は魔力量で決まる。

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