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005長老の御話

「ヴィオラ」


アレンは呆れたように言った。前に何度も繰り返してきた言葉を。


「いい加減、そんな危ないことはやめなさい。まだ3歳なんだよ、ヴィオラは」


「危なくないもんっ!」


僕はアレンを上目使いで見上げた。これが効かないのは人間じゃない!もとい、エルフじゃない!


「はぁ~」


アレンは諦めたように呟いた。


「長老様に言ってもらおうかな」


何!?


「ははっ。冗談だよ、冗談」


アレンは僕に笑いかけて頭を撫でた。


「ヴィオラの長老様への想い(思い)はちゃんと伝わってるよ」


僕のムッとした表情は華麗にスルーされた。



というか、僕が長老様を密かに敬愛していることがなぜバレた?


エルフは人―――――この場合エルフか―――――の感情を察することに優れている。

何故だかは分からないが、種族補正であることは疑いようのない事実だ。

それで知られたのかな?



エルフ(森の民)という種族は容姿端麗、魔法の腕も抜群。五感や身体能力も優秀でもはや敵なし!と、言いたいところだが……一般的なエルフは風の魔法と身体能力強化しか出来ない。


ちなみに身体能力強化は魔力を外に放出するわけではないのでほとんど誰でも出来る。


そんなわけでエルフより強い種族は結構存在する。魔族であったり、龍族であったり。


エルフよりもそちらの方がチートだと僕は叫びたいっ!



僕はあらゆる種類の魔法が使えるというわけではないが、少なくとも基本的な基本的な魔法は使える、と認識している。それもこれも前世での土台(知識)があるためだ。


この世界の住人が魔法を使用するときは理論などではなく、身体の一部として発動しないと成功しない……らしい。無論、僕もこの世界の住人の一人でもあるのでそうしているが。



「とにかく、長老様がお前を呼んでおられる」


アレンの発した言葉は僕を思考の渦から救ってくれた。荒っぽくね……


「えっ!?もうそんな時間?……すぐに行かないと!」


僕はアレンを置き去りに、魔力も操って全力で長老様の屋敷へと向かった。


途中でぶつかるということもなく、屋敷へと入ることが出来た僕を待っていたのは衝撃の魔法だった。


「きゃっ!?」


一瞬の浮遊感の後、ふわりと長老様から抱きとめられた。


やばい、惚れそう……冗談だけど。


「どうしてこんなに遅くなったのじゃ?」


「そ、それは……」


「心配しておったんじゃよ?」


長老様は微笑んだが、目は笑っていないので洒落シャレにならないほどの威圧感がある。


「ごめんなさい!忘れていたの……」


「本当かの?」


長老様は目を細める。


「本当です!長老様にウソは申しません!」


それを聞くと「では他の者には言うのかの?」と笑った。


「い、いえ!そんな……誰にもウソは申しません!」


長老様は僕を抱きしめたまま「分かった、分かった」と繰り返した。


「そうじゃな。ヴィオラは聡明で素直じゃからな。ウソもつかないで偉いのぅ~」


「え?」


と一瞬驚くが、笑顔で頷いた。


「うんっ!」


そして気付いた。



あれ?何で僕の心は幼児化しているんだ?






『用語辞典』


クラフティ・コブリン

人間の別称。エルフやドワーフ、獣人などがそう呼称している。


亜人

人間以外の人型の生物に対しての別称。

人間が呼称しており、魔族と龍族、魔物は例外。


森の民

エルフの別称。


モンスター

魔獣の別称。


ミスリル

魔法銀とも。鉄よりも軽く、固い。魔力を纏わせ易いのが特徴。



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