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002長老の命令

アレンは長老の屋敷に向かっていた。



エルフの村は人間達から見れば異様だった。


家は地面ではなく、上にあった。樹の上に。そこかしこに太い枝が繋がっており、地上からでなくとも隣の樹―――――家でもある―――――に移動することが出来る。クモの巣のような感じ。


自然との共存。それがエルフ(森の民)であった。



「アレン!」


エルフの村の一つ一つは結構小さい。


さらにエルフは長寿のためか、子供が出来づらい。


そのため、子供が生まれると村人全員で盛大に祝うという風習があった。


「その子なの?」


アレンは「他に誰がいるんです?」と答えた。


振り返ると、人当たりの良さそうな金髪の美人がいた。エルフの象徴である細く長い耳が付いている。




エルフは、年上の方は敬えと小さいころから教えられる。どんなにバカでもエルフであれば敬語くらいは使いこなせるのが普通である。人間達から知性があると誤解―――――でもないが―――――されるのはそれが理由である。人間で敬語を使えるのは貴族や騎士、商人などの限られた3割程度の人達だけである。



というか、エルフが敬語を使うのは年上の人だけなので、人当たりの良さそうな美人のエルフもアレンの年上という事になる。ちなみにアレンは120歳である。


「おぉ~。かわいいわ~」


ヴィオラの顔を覗き込むと蕩けるような顔をした。


色々と残念な美女だな……と思うアレン。


「カロナ、アレン」


いきなり背後から声を掛けられる二人。


「えっ?」


気配の欠片もしなかったので驚くカロナとアレン。


エルフは五感が非常に優れているため、気配を気付かれずに近づくなんてかなりの実力者でないと不可能だ。それこそ、長老のように圧倒的な実力者でないと……


「長老様!」


そこには緑髪で紅い眼をした初老の男が立っていた。


「その子がアレンとシャラの子供かの?」


「そうです!ヴィオラと言います」


「ふむ……」


長老はアレンから赤ん坊を受け取って漸く(ようやく)気付いた。その異常さに。


(魂が洗練されておる……そして魔力の量も大人並み。これは凄い……)


と、その時、ヴィオラが目を開いた。


長老と同じような真紅の瞳。


冷や汗が出てくるくらいに強い存在感を主張していた。


(これは……凄い逸材じゃ。英雄になる素質を持っておる)


「長老様?」


真剣な顔でヴィオラを見つめる長老に声を掛ける。


「どうされましたか?」


長老は八ッとしたように辺りを見回して言った。


「何でもない。カロナ。宴の準備は出来たか皆に聞いて来てくれぬか?」


「分かりました」


日が沈もうとしているのを背に、カロナは駆けて行った。


「アレン……」


「……何ですか?」


「村の長としてお前に命を下したい」


「……っ!?」


アレンは、急に長老がそんなことを言いだしたのにかなり驚くが何とか返事を返す。


「仰せのままに」


「この子、ヴィオラを死守せよ。死んでも守れ」


アレンは空いた口が塞がらない。が、何とか塞ぐ。そしてエルフ式の敬礼―――――右手を左胸に置き、

左手を前に真っ直ぐに天に向かって伸ばす―――――をして宣言した。


「言うまでもなく……聖霊に誓い、命令を死守します」









キャラクター紹介


長老【An Elder】

詳細不明。名前も不明。緑髪紅眼の村長。相当な実力者。エルフ。


カロナ【Carona】

人当たりの良い金髪の美女。詳細不明。エルフ。121歳以上なのは確か。



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