表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
デスパレードでデスパレートな異世界ライフ  作者: 蒼穹
第二章 集落防衛編
17/18

     第十六話 レイナードの暗躍

 俺の正体が異世界での幼馴染だとわかったせいか、アキラは最初に出会った頃の殺伐とした雰囲気は無くなった。


 まあ三回ほど半殺しにはされたけど。


 半殺しという表現は不適切すぎた。9割殺しと言うべきか。


 何せ彼女は高校の頃は霧島(キリングマシン)とか(a killer)と地元のヤンキーやヤクザに呼ばれ恐れられるほどの無双っぷり。



 こいつに勇者の力や伝説の武器を与える時点で間違えている。鬼に妖刀与えるようなものだろう。



 そんなアキラには俺が魔物になった経緯等聞かれて誤魔化した。



 死んでスケルトンになったなんて俺が幼馴染だったらショックだしな。皆に話を合わせて貰い、一応魔物に変身できるスキルということで誤魔化したのだ。



 だから彼女は知らない。俺が死んだことを。



 決してすることは無いだろうけどさ。



 一生言うつもりはないけど。



 子供の姿をしているのも、実は魔力が強かったらしいが、今更知られて勇者として勧誘されたくないので、子供に化けているということで誤魔化した。



 一つ嘘をつくと、二つも三つも平気で嘘をつけるって人間の怖いところだよね。



 それよりも幼馴染を平気で9割殺しに出来る方がもっと凄いけどさ。


 俺の拷問&調教タイムなる地獄が行われた後、邸宅となる500階層の塔の地上部である王宮の応接間で会談の続きは行われた。



「これから私はエスプリに一度戻る。やはり国のやっていることは認められないし。カエデ・・・・・・ハルがもし誰かに召喚されたものだとしたら許せない」



「でも討伐もしないで戻って大丈夫なのかよ?」



「そこは俺も一緒に説明するさ。アキラ様と一緒に行った俺達がこの街の現状についての説明をすれば、国王も討伐するよりも同盟を組んでもらった方がいいと理解する。勇者召喚を行わなくても済むと理解して貰えるまで俺も協力しますよ」



 ロダンが自信満々にそういうとメナスが鼻で笑った。



「ふ、お前も先が大変だな。ちゃんと気持ちをはっきりさせた方がいいぞ勇者」



「なんのことですか魔王? それと私のことを勇者と呼ぶの止めてくれますか?

 アキラでいいです」



「なら私のこともメナスと呼ぶことを許してやろう」



 何だかアキラがむっとした表情でいるが、メナスは意に介した様子はなく大人の余裕を見せていた。



「それこそ俺はメナスの答えを聞いていない」



「そうだな。お前が私と仲良くするに値するかどうかだな。そうだな、そのお前の作ったこの街と同じようなものを作ることはわが国でも可能なのか?」



 俺はメナスの質問に条件付きということで答えた。



 一応彼女は頭がいいが、こちらが筋を通している限りは敵対しないということを放していた。



 まあ今後、彼女の国との交流を通して、こちらから養成した技術者を送り込む形で彼女の国の発展を手伝うことになるだろう。



 勿論優先的に彼女に技術などを提供する見返りとして、彼女は俺の街で発行した通貨を基準として国内経済を調整し、交易がスムーズに行われるようにしてくれるとのこと。



 様々な取り決めなどは後日改めて行うと言うことで、彼女は兵を退いてくれることになった。



「問題はエスプリとブランベルクの問題ね」



「黙って兵を退かせればよい」



 アキラの言葉にメナスが即答する。



「そう簡単に行く問題じゃない」



「簡単さ。お前は私を後ろ盾にしたこの街を落とせると思うか? むしろ手痛い反撃を食らった挙句、フリージアの侵略口実を与えることになる。お前はそれをそのまま報告すればよい」



 そうだ。彼女があのホテルを出る際に匂わせたのはこういうことなのだ。



 彼女を後ろ盾にすれば誰も傷つかずに終わらせることが出来る。



 もし俺が好戦的で武力で片づける存在だったら、彼女は後ろ盾どころか、真っ先に殺しに来ていた筈だ。



 まあ最初に斥候を放って全滅させらた件については、ちくちくと言われたけどね。



「そうしよう。始祖魔王が後ろ盾でという口実は最もだな。ブランベルク国王には諦めて貰うのがてだろうな」



「ぜひそうして貰いたいですわ。私達にはここでの生活が合っていますし、戻ったところで待っているのは中年貴族とのお見合いの連続と、馬鹿な大臣達のお守りばかりですから」



 大変だな。やっぱり聖女って若くてイケメンが好きなのだろう。


 ヴェルやフェリの機嫌を伺うなら今がチャンスだな。



「そっかあ。中年ばかりじゃ嫌だよな。若くてイケメンの金持ちか。頑張って俺も探してみるよ。見つかり次第お見合いでも」



「本気で言ってるんですか?」



 あれ? ヴェルなんで怒ってるの?



 フェリまで顔から笑顔が消えちゃったし。



 おかしい。俺はこの二人の機嫌を取ろうと思って言っただけなんだけど。そりゃ俺だってこの二人みたいな美人を手放したくないよ。




 うん。むしろ結婚したいけど、ほら彼女達最近冷たいから嫌われてるっぽいし。


 結婚は半ばあきらめてるんだよね。


 まあ、俺は確かに元がスケルトンという魔物だけど、こうやってなんとか俺の骨から抽出した遺伝子情報を元に、生物としての肉体を造り上げ子供まで作れるようにはなったけどさあ。



 それでも今の状況からちょっと頭脳派っぽく予想してみると、なんだか年齢=恋人いない歴になりそう。


《素晴らしい予測演算です。本当的確すぎて涙がでそうですね》


 明らかに馬鹿にしてるよな! 


 ふん! どうせいいよ。彼女達も結婚すれば俺の春画やエロDVDライフを容認してくれるかもしれないしさ。


 ここは涙を呑んで彼女達を送ろうじゃないか。



《救いようがないスケべトンですね。悉く地雷をピンポイントで踏めるの最早一種の才能なんでしょうね》



 褒めてるのか貶してるのかどっちだよ!



《これで褒められているなんて思えるなら哀れを通り越して呆れしか残りません》



 言いたいことだけ言ってヤヌスは思考からバックれやがった。



「本当、ハルって昔から馬鹿だよね」



「私も馬鹿だとはうすうす思っていたが、ここまで酷いとは思わなかったな」



 あれ? アキラとメナスまでなんで呆れてるの?



 おかしいだろ。



「ハル様、歯を食いしばってください」



「待って! フェリ、何がいけないんだよ! 俺は二人のことを想ってだな。そりゃ結婚してほしくないよ! そりゃあ幸せになってもらいたいけどね!」



「それでは春画やエッチな動画は諦めて貰えますね?」



 え? 馬鹿じゃないの? この人何を言ってるの?



 ありえないだろ。エロDVDや春画の素晴らしさも理解できない愚か者め。俺がここでいかに素晴らしいものかねっちりと説明してやらねばなるまい。



「お前達は本当に馬鹿なの? 死ぬの? 何で春画やエロ動画を諦めなきゃいけないわけ? 男のとして生まれてきたら夢やロマンじゃないか。この一ページ一ページに詰まった夢を諦めるなんて出来るわけないだろ? コロンブスやマゼランだって春画のシミを海図に見立て、伊能忠敬だって地図を造る際に春画のシミがきっかけで地図を造ったんだ。異世界の偉人達ってのはそうやって春画でだばああああ」



「すみません。辞世の句が長すぎたのでつい」



「もう処置なしですね。フェリ、先ほど使った調教道具を」


「待て、話し合あおばび!」


 ヤヌスの嫌がらせで痛覚をONにされていた俺は、再度の拷問を三人から容赦なくうけつづけたのであった。













 魔王クラスの魔物討伐の件に関して、この街がフリージア帝国との友好関係にあると報告し、事実上討伐が不可能だということをブランベルク国王に告げた。


 その事実にフェルドは酷く落胆しただけでなく、トラエスティアへ援軍を出させた礼金の支払いに奔走することとなる。



 一方アキラは、兵を引き連れて本国に戻った際に、フリージア帝国が後ろ盾に付いたことや、あの街の保有する技術の凄さ等を説明し、友好関係を結ぶべきだと皇帝に告げた。



「なるほど。そなたはあの街に行き、様々な技術を見て来たと申すか」



「はい。特に彼らには敵対する意思は無いようです。」



「そうか。ご苦労であった」



 皇帝は静かにアキラの言葉を聞き入れる。批判的なことを言われるのではないかと予想していたが、実にあっさりとしたことにアキラは内心で驚いた。



「それと皇帝陛下、ぜひ勇者召喚についての見直しを。聞いたところ、素質が無いと思われる者に対して不当な扱いをしていると聞いております」



「はて? 誰がそのようなことを? 私達は勇者召喚を行った際、素質が無い者は相応の謝礼を支払っておるが。彼らは折角異世界に来たのだからそれで見聞したいと申して旅立っておるが」



「・・・・・・そうですか。では不当な扱いは無いと言うのですね?」



「うむ。もしかしてアキラ殿は何か根も葉もない噂を耳にされたのでは?」



「そうかもしれません。失礼いたしました」



 アキラは静かに頭を下げて王の間を出て行った。暫くすると王の間の柱の影からフードをかぶった人物が現れる。



「女狐に感づかれてどうするのですか?」



「すまぬレイナードどの。さて新しい勇者殿は呼ばれたのですかな?」



「まだですよ。まあ準備が出来ておりますので、あの女を始末してもいいとは思いますが、やるなら慎重にお願いしますよ」



 そう言って再び柱の影の中へと姿を消していく。



 本名不詳、年齢や種族さえもわからない謎の男。トーキジスト皇帝が彼と出会ったのは三年前だろうか。


 ふと突然現れて、勇者召喚をやって見せた彼は、報酬と引き換えに何度も勇者召喚を行ってくれた。そのおかげでアキラが現れ、この国は多くの魔物を討伐した実績のおかげで多くの国から庇護を求められるようになった。



 その利益だけでも随分と国を大きくすることができた。


 今更、勇者召喚など辞められるわけもなく、さらに勇者を失えばそれだけ傘下となる国が減って行き弱体化するだろう。



 だが、アキラにこのまま痛い腹を探られるよりはいいだろうと考え、一人の男を呼び出した。


「如何されたかなトーキジスト」


「我が古き友よ。あの裏切者を始末して貰えるかな? 恐らくお主ではないと手に負えぬだろう」



 漆黒の甲冑に身を包んだ男は、腕を組んでから静かに首肯した後、



「よかろう。だがいいのか? 今殺して問題は無いのか?」



 甲冑の男の問いに首を静かに横に振る。



「ふふ。問題は無い。どうせすぐに変わりは出来る。もし優秀な奴が表れなくても、次までの道化を演じさせてやるのでな」



「そうか。ならば早急に」




 そう言って男は姿を王の間から出て行ったのだった。











 宵闇の月明かりが窓から差し込み、まるでその光が死に装束のごとくアキラの遺体を照らし出していたのだった。


第二章後半の黒騎士のストーリーに不都合が出たので、アキラとの戦闘をカットしました。

読んでいた頂いた方申し訳ございません。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ