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第三十四話

 俺は各組織に書類を渡し、黒王号を生産へと送り届け、清陽に会いに行くために夕月に役所の本部まで送ってもらった頃にはもう日は傾き始めていた。

 役所ではもう話が通っていたらしく、直ぐに清陽の部屋へと案内された。清陽は既に確認を終えており、簡単な質疑応答だけで俺の用件は終了した。

「それで、大事な話という事なんだけど。話というよりは質問と言った方が良いかな」

 話が終わり、紅茶を飲んで一息ついた所で清陽が切り出した。質問と来たか。

「何でも、と言いたい所ですが、まぁ俺の答えられる範囲のものなら」

 目上の人間からの質問。別に悪いことはしてないが、説教かと内心緊張する。

「ならば質問より先にこれを言っておこう。実はね、僕は九生さんの事を愛しているんだ」

 …………は!?九生って恵理の事か?

「そんな鳩が豆鉄砲を食らったような表情をするのも分かるよ。でも僕は本気なんだ。本気で一人の女性として九生恵理さんを愛している。妻に迎えたいと思っている」

 清陽の目は真剣そのものだった。あまりの眼力に気圧されそうになる。

「いや、失礼しました。流石に驚きを隠しきれないというか。でもなんでそれを俺に?」

「実はこの事を先日、君が恵理君を迎えに来た時だね。その時に彼女に伝えたんだよ」

 テレ顔で頬をかく清陽。ちょっと待て、なら俺はこの人の告白現場に突入したって事か?

「知らなかったとはいえ、何か色々申し訳ありませんでした!!」

「いや、そんな頭を下げないで。気にしないでくれ。君も聞いていた通り、僕は彼女に拒絶されてしまったのだから。あんなに怒った彼女は始めて見たよ」

 清陽はしょんぼり、という表現がぴったりな表情を見せる。自信家と言われることもあるカリスマ性を持つ清陽の普段では決して見せない顔だ。

「そこで君に聞きたい事があるんだ。僕はどうしたら九生さんと親しくなれるだろう?彼女の同居人として意見を聞かせてもらいたいんだ」

 恋バナかよ!というツッコミをしたいが、いかんせん真剣な清陽の心情が伝わってくるこの空気では不可能。しかも話の対象が恵理という難関だ。恵理にどうすれば好かれるかなど、一緒に生活していてもよく分からないとしか言いようが無い。

 おそらく清陽は俺と恵理が親しいと思っているのだろうが、別にそこまでではない。同じ宿舎に住んである程度話はするが、所詮同居人の域である。

 いや、迂闊に友達だろ?と聞いても恵理がそれを認めそうに無いからそう思っていると言った方が良いか。別に悲しくなんか無いぞ。

 だが、恵理の行動は分かる気がする。根本的に清陽は恵理が好むようなタイプの人間には思えない。感覚的な意見でしかないが、逆に恵理にとって犬猿の相手に思える。

 だからこそ、好かれるアドバイスなど求められると寧ろ困る。出来る事と言えば、これ以上嫌われない方法ぐらいだ。

 俺は一先ず「プレゼント類はタブー。ただしモノポールは除く(つまり全部ダメ)」と「媚びる様な行動はしない」の二つだけを伝えた。

 それ以上は自分で試行錯誤してもらおう。

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