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鴇色雑記  作者: 鴇合コウ
いろいろ雑記
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夢色の島(3)

(3)夢の出会い


 人に限らず、その島でわたしは様々なものに出会った。

 選択した学科もあるが、自転車を諦め、歩いて(それもどうだとよく言われた)学校へ通っていたわたしは、目撃率が高かったのだと思われる。


「ヒヨドリが青いよ?」(注:イソヒヨドリの雄。正確にはツグミの仲間。けっこう良く見る)

「うん、普通だから」


「なんか細長いもじゃもじゃが走っていったけど」

「ああ、マングースでしょ」


「鶏が車道歩いてて、車が止まってた」

「……たまにあるよねー」


「途中までウサギと一緒に来たよ」

「医学部のかな……ってか、それO県の普通じゃないから」


「アカショウビンが道で死んでた」(注:カワセミの仲間。美しい朱色の羽根をしている)

「なんで持って来ないの。I先生が喜ぶのに」

「……次、頑張るよ」


「ジャコウネズミ持ってきたよー♪」(注:モグラの仲間。親の体長は約15センチ)

「I先生の部屋に直行しなさい!」


 始終そんな具合である。

 自然の中には外来種も多く、道を歩いていて巨大な縦ロールのカタツムリ(注:アフリカマイマイ)と出会うと感動するが、反面複雑だ。ちなみに川のほとんどには、グッピーが泳いでいる。


 もちろん自然の中には微笑ましいものだけでなく、あまりお近づきになりたくないものもいる。

 別の章(「黒い襲撃」)で触れた敵は、この地で驚異的な大きさと種類と飛行能力を見せ、それらが空を無尽に舞い、仲間である白くて蟻に似たやつが大群をなして車道を闊歩する、ホラーな夜の光景に出くわすこともある。

 思うだけで身の毛もよだつとは、このことだ。

 しかも、街中でないといって油断はできない。山には山固有のG種が存在する。色はグレーで、通常よりやや丸いのだ。

 ここまでくると、彼らもただの昆虫に思えないでもない。一抹の達観がよぎる。


 山にはまた、お近づきになりたくなくても忍び寄ってくる「山蛭(やまひる)」というものが存在するが、恐いのはそれだけではない。

 離島の山には、サソリがいる。小型でおとなしくて毒も微弱というが、だからどうした、というくらい会いたくないリストに入れたい相手だ。


 蛇足だが、よくO県と並び立てで紹介されることの多いA島には、このサソリはいないが、サソリモドキが存在する。

 外見はサソリそっくりなのだが、特徴的な毒針を持たないという。持たない代わりに、

「毒液を噴射する」

 のだそうだ。

 入ったら目が潰れるらしい。(注:成分の多くが酢酸)


 昆虫といえど、決して侮るなかれ。本当の楽園は、彼らのためのものなのかもしれない。


 


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