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鴇色雑記  作者: 鴇合コウ
いろいろ雑記
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猫いろいろ(1)


 生涯で初の正職員の仕事は、動物病院のスタッフであった。

 動物病院と聞くと、たいていの人が「いろんな動物が来て楽しいでしょう?」と言うが、九割が犬猫だ。残りの1割にハムスターやセキセイインコ、ウサギなどが入るが、動物病院が乱立する昨今、わたしの勤め先では、その残り1割のエキゾチックペットたちをできるだけより詳しい先生に紹介し直すようにしていた。

 人間の薬が万能でないように、動物によって使える薬に制限があり、その生態も体の仕組みもばらばらだ。種の境界は、安易に超えられない厚い壁なのである。


 というわけで、やはりわたしが仕事で出会ったのは、犬猫がほとんどであった。

 今回は、この猫について書いてみたいと思う。注意していただきたいのは、あくまでも個人の経験に基づいた話であり、決して科学や獣医学の基礎を学んだわけではない、与太話だということを最初に断っておく。



 飼い猫の多くは雑種である。犬と比べ、この割合が非常に高いように思う。

 生物学的呼称でいうと、彼らは純血種も含めて「イエネコ(家猫)」である。余談だが、飼われていないイエネコ、いわゆる野良猫のことは、正式には「ノネコ(野猫)」という。

 よく勘違いされるが、ノネコは野生動物ではない。人間が飼育しやすいように改良したイエネコが野生化したものであり、彼らの命の責任はむしろ人間にある。

「え~、野良にごはんあげてるだけなんですぅ」

 という状態は、立派な飼育だ。餌がなくなれば、彼らはさっさと居を移す。食餌を与えるということは、生命の保障をしてあげるという充分な意思表示だ。老いさらばうまで面倒を見る自信がなければ、曖昧な飼育は止めるべきだとわたしは勧める。周囲の人に責任能力の低さを指摘される、その前に。


 閑話休題。


 飼い猫でよく飼われている純血種といえば、ペルシャ、アメリカンショートヘア、ロシアンブルー、ヒマラヤン、チンチラといったところだろう。最近はスコティッシュフォールドもよく見る。珍しいのはアビシニアンやソマリだろうか。

 猫に詳しくない人にざっと説明をしてしまうと、上記の種類はこんな感じだ。


○ペルシャ

 言わずと知れた鼻の低い、くしゃ顔の長毛種。顔つきのせいで悪者っぽくみえるが、性格は極めて温和。鳴き声も小さく、マンション飼いに最適と言われる。して欲しいことは、黙って自己主張するタイプ。

 毛並みの手入れが欠かせないが、毛を引っ張らないように気をつければ、ブラッシングの時間はよいスキンシップとなる。指の間の毛を刈るのを忘れずに。伸びると滑って、フローリングで止まれない。

 顔の造形のせいか食べるのがとても下手くそで、顔中フード塗れになる。そこがまたかわいい。が、顔の手入れは怠らないようにしなければならない。


○ヒマラヤン

 耳と顔と手足の先をこげ茶にしたペルシャ、という見た目。性格は我が道をいく。

 非常に無口なのは同じだが、一度怒るとしばらく許してくれないので、人間は下僕になるほかない。トリミング(お手入れ)などは機嫌のいいうちに素早く行うべし。

 体格は大きめ。まさにふわふわのぬいぐるみだが、抱っこはあまり好きではない。


○チンチラ

 本来はペルシャの毛の先が銀色のものを言ったが、もはや別猫。

 ペルシャよりも鼻の尖った顔つきで、ちょっとお上品な印象。性格は、天上天下唯我独尊の女王様。キレ方が尋常ではなく、時に飼い主も危険に晒される。家族でも特定の人になつく。

 この種類が来院すると、裏方はさまざまな小道具(革手・ネット・バスタオル)を準備に走る必要がある。


○アメリカンショートヘア

 濃いマーブル模様が特徴の短毛種。シルバー&黒縞のシルバークラシックタビーが人気だったが、最近は茶系のレッドタビーも増えつつある。

 とにかく明るくて元気のいい、王子様タイプ。社交的で飼う人を選ばないが、小さいお子さんがいる家族だと一緒に遊べて楽しいと思われる。

 意外と見た目よりも筋肉質で、がっしりした体形をしている。


○スコティッシュフォールド

 垂れ耳猫。アメリカンショートヘアと別の猫の掛けあわせで生まれた種。

 アメリカンショートヘアより丸っこい体形で、毛質もやや長め。触るともふもふふわふわ。垂れ耳の丸顔が、とても愛くるしい。

 結構人見知りをするタイプで、内弁慶。我慢強いが、一度イヤと決めたことはどうやってもイヤ!と言い張る。愛が深い飼い主は逆らえない。


○ロシアンブルー

 灰色の毛とグリーンの瞳が美しいスレンダーな短毛種。

 一見優雅だが、スレンダーな体はすべて筋肉でできていると思っていいほど、跳躍力がすごい。遊んでいるのか跳んでいるのか分からない。

 性格はマイペース。撫でて欲しくなったら自分から愛想をふりにいく。抱っこはそこまで好きではないけれど飼い主の近くにはいたいから肩に乗ってしまう、というタイプ。ちょっと犬っぽい?かもしれない。


○アビシニアン

 イエネコの先祖と言われる古い種。レッドの毛色の短毛種でとても美しく、賢い。

 小さいときはやんちゃするが、性質は温厚。飼い主と非常に密な関係になる。ただ、残念なことに先天性の疾患が多い。ソマリは、アビシニアンの長毛タイプ。 



 こうやって並べてみると、一口に猫といっても本当にさまざまだ。写真をお見せできないのが悔やまれる。

 「猫毛」という言葉があるが、実際毛質ひとつをとってもばらばらだ。砂漠出身のアビシニアンは硬いつるりとした手触りだし、チンチラなどの長毛は絹のように細く繊細でやわらかだ。北欧出身の猫はトップコートとアンダーコートとの二重被毛で、体格が倍近く違って見える。


 これを読んで少し、一般常識的な「猫」という認識が変わっていただけたら嬉しく思う。

 猫の世界は、なかなか深い。




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