第一話 出会い
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私の名前は直木 ひでこ。中学校の数学教師だ。今年で四十歳で、勿論彼氏はいない。
「ふぅ、疲れたなぁ……」
私は今、仕事を終えてカフェに来ていた。
「おっ、空いてんじゃーん。相席いいですか?」
振り向くと、青年がこちらに笑いかけてきていた。
「どうぞ、座って」
それにしてもここはとてもリラックスできる場所だ。バックグラウンドでパッヘルベルのカノンがかかっていて、校長に論語を聞かされてタコができた私の耳を癒やしてくれる。
「お待たせ、アイスティーしかなかったけどいいかな?」
相席していた田所さんが戻ってきた。田所さんは二十四歳の好青年だ。
「あ、全然大丈夫ですよ。ありがとうございます!」
私は誠実なのでお礼を言った。そしてアイスティーを一口啜る。
「……美味しい」
思わず声が出た。田所さんも満足したように頷く。
「こ↑こ↓、いいですねぇ!!始めて来たんですけど」
田所さんが話しかけてきた。
「そうですね、落ち着きます。」
「本当に、粋スギィ!!と思いましたよ。」
そこから暫く無言の時間が続いた。不思議なことに気まずくはなかった。
数分後、私は口を開いた。
「愚痴で申し訳ないんですけど、私、中学校の教師やってるんですけどね。校長が凄く論語好きで、毎日聞かされてもう耳にタコができて……ちょっと論語は暫く見たくもないですよ本当に。」
田所さんは優しく頷いた。
「頭にきますよ。本当に。そんなの聞きたくないですよ。やめたくなりますよ。」
「あーあ、校長は論語に飽きればいいんですよ。」
「これもうわかんねえな。……じゃけん、次のオーダーしましょうね〜。」
「じゃあ、ケーキを注文しておきますね!」
私はタブレットでケーキを注文した。すると、ものの一分ほどでケーキが運ばれてきた。
「はぇ~すっごいおっきい……」
田所さんはケーキの大きさに舌を巻いていた。
ケーキを口に運ぶと、程よい甘みに思わず笑顔になる。
田所さんも微笑んだ。魅力的な笑顔だった。心臓がドクン、と波打った。
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