第7話 再びの創成
「まあ、わかったよ。やってみる。『創成AIスキル』」
俺が呟くと、もう、だいぶ見慣れたメッセージウィンドウが現れる。
「あ、カリナ。プロンプトの参考に聞きたいんだけど、結界石ってどんな感じのものなの」
「──強矢は、本当に知らないんだな。探索の常識だぞ」
「いや、俺、一般人だし」
「そうだった。まあいい、結界石というのはだな──」
そこからカリナの説明は好きなものを語るときのような熱が入っていながらも、分かりやすいものだった。
いわく、結界石とはダンジョンのセーフポイント、いわゆるモンスターの侵入してこない安全地帯を形成するもので、その石のサイズによってセーフポイントのサイズも変わるとのこと。
これまで発見されたセーフポイントの最小サイズは畳ひとつ分。最大サイズは畳二十分もの大きさのものまであるらしい。その最大サイズのセーフポイントに鎮座する結界石は拳大ほども大きさがあったのだと、熱い吐息を漏らしながら告げるカリナ。
そして結界石は、動かせず、破壊できず、発見されたそれは管理機構の管轄となり個人の占有は厳罰の対象になるとのこと。
「それ、創ったらやばいやつじゃない?」
思わずそこまできいて、俺はカリナに尋ねてしまう。
「いまさら、何を言っているんだ。発見したこの神々の冥福ダンジョンを未申告のうえ、僕まで、創っておいて。それに比べれば大したことないだろ?」
「まあ、確かに。それじゃあ創成してみるか」
俺はメッセージウィンドウのプロンプトに文字を入力していく
──結、界、石、と。あとのプロンプトはどうするかな。せっかくだし、サイズを指定してみるか。
俺はどれぐらいの大きさにするか迷って、ふと、目についた物をそのまま入力する。
──これまで見つかってる最大が拳大なら、あれぐらいあれば十分だろ。サイズ:玄道カリナの頭ぐらいの大きさ、と。
「よし、創成するぞ」
「頼む」
実行ボタンを押す。
玄道カリナが創成された時と同じ様にメッセージウィンドウが消え、同じ場所に何かが現れる。
それは白銀に輝く一抱えはありそうな石。サイズはプロンプトで指定した俺の想定通り。
恐る恐る手に取ってみると、意外と軽い。
ただ一つだけ誤算があった。
たぶん、プロンプトに名前を入れてしまったからだろう。
「あー。カリナ、これ。結界石」
「おおっ、さすが強矢だ。素晴らしい本当に結界石を創成できたのだな……それにしてもこの大きさはっ。おい、大きすぎ……」
冷蔵庫のドアごしに、カリナに手渡す。
そのまま手にした結界石を覗き込むカリナ。
「おい、これ! ボクの顔がついているぞ! いったいなんでこんな──」
「あ、誰か家に来たみたい。ドア、しめるわー」
俺は慌てて冷蔵庫のドアを勢いよく閉めるのだった。




