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冷蔵庫にダンジョンができたけど、俺は潜りません。スキル【創成AI】で創った探索者さんたちにお任せしてます  作者: 御手々ぽんた


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第4話 玄道カリナ

「なるほどな。僕はそのユニークスキルで作られた偽物ということだな。そして、君の指先一つで消えると」


 じっとこちらを睨むように見つめる灰色の瞳。玄道カリナの声は凛としていて、その見ため通りと言える。

 自分のことを僕といっているのさえ、その声と姿からして、違和感がない。


 ちなみにショートスピアの穂先は相変わらず俺の喉元、薄皮一枚の位置にある。


 そして俺は玄道カリナに問われるままに、冷蔵庫にダンジョンが出来たことから、創成AIスキルまで、知っていることや推測したことを話し終えたところだった。


 俺がありのまま全てを話してしまったのは、どう考えても仕方ないことだろう。


 不甲斐ないと笑うやつは、同じ経験をしてみるといい。相手は明らかに戦い慣れた様子で、自分は命の危機の真っ只中なのだ。


「各務強矢」

「……なにかな?」

「僕と取引をしないか?」

「ほう? 条件を聞いても?」

「どうやら僕は探索者として創られたせいか、一番の望みは探索をする事のようなんだ」

「ほー」


 俺は風向きが変わってきたのと感じながら、内心では、驚いていた。


 ──プロンプトは、そんな内面、心にまで影響するのか! これは興味深い


「ただ外には、僕の元となった探索者がいるわけだ。つまり、探索をするとなると、そちらに僕の居場所はないだろう」

「ま、まあそうかも?」


 探索者の登録とか管理とかに疎い俺にはよくわからないが、本人がいうのだからそうなのだろう。


「そしてだ。スキルで創られたものは、スキルの持ち主が死ぬと、消えるだろう?」

「そう、だな」


 ──そうなの? え、それが探索者の常識なの?


 俺は思わず知ったかぶりをしてしまう。

 しかし、それには触れずに玄道カリナは話を続ける。


「そういう訳で、だ。僕は君に槍を捧げよう。かわりに、その『神々の冥福』ダンジョンに僕が潜る許可とサポートをお願いしたい」


 そういって、スッとショートスピアをひくと、片膝をつく。ショートスピアの柄が両手の平の上に載るよう持ち直す玄道カリナ。


 じっとこちらを睨むように見つめる瞳は真剣だ。

 何を期待されているのかは、なんとなくわかる。提案を受けるなら、ショートスピアを俺が取って、騎士の叙勲的な動きをしてほしい、ということだろう。


 だが、自分でもヘタレだと思うが、そう簡単には受け入れられない。

 なので、俺は言葉を重ねてしまう。


「──槍を捧げるという、意味を聞いてもいいかな?」

「そうだな。君へ危害を加えない。探索で得た成果の一部を献上する。可能な限り指示にも従おう。その代わり、君の庇護を約束し、僕の探索のサポートに協力してほしい」


 ──庇護か……なるほど。庇護を与えるとなれば、心情的に創成AIスキルで消すわけにはいかなくなるもんな。そういう感情と言葉で縛ってくるタイプの交渉か。ふむ……


 どうしたものかと悩む。

 その俺の悩んでいる姿から、何を勘違いしたのか、玄道カリナが慌てたように付け加えてくる。


「──ただ、指示に従うと言ってもな、卑猥なことはダメだぞ! そんなこと言ったら、こちらも刺し違える覚悟はあるからなっ」


 そういって、急に顔を赤くする玄道カリナ。


 俺はその玄道カリナの様子をみて、逆に覚悟が決まる。

 なんだか彼女が信用できそうな気がしてしまったのだ。


「わかった。槍を受けよう」

「──えっ?」


 俺はそう答える。

 なぜか虚をつかれた様子の玄道カリナが捧げもつ槍へと、俺は手を伸ばす。

 その槍の穂先で、刃が当たらないように気を付けながらそっと玄道カリナの肩へと触れる。


「僕の忠誠を捧げよう」


 にやっと笑いながら告げる玄道カリナ。それはまるで、共に悪戯をしようとしている、悪ガキのような笑み。


「その忠誠、心して受けよう」


 逆に俺は、真剣に応える。

 スキルによって創成された者とはいえ、人一人の忠誠は、単なる凡人の俺にはやはり重たい。


「──それじゃ、さっそく探索にいく。槍を」


 そう言うと、いい笑顔で手を出してくる玄道カリナだった。





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