第3話 創成AIスキル
俺が三角マークに触れると、想像していた通りそこが開く。
現れたのはスキルの説明文のようだった。
「この、一分の一に、日ってのは、そのまま一日の使用回数か。一日一回しか使えないと。で……うーん。これは」
説明を読み進みるも、所々、意味不明な部分がある。
とりあえず、プロンプトに文字を入力すると、それに対応したものが自動で創成されるらしい。
ただ、データベースに登録されているデータを元に、プロンプトに応じて合成され、創成されるようだ。
肝心のそのデータベースとやらは、『神々の冥福』《《以外》》のダンジョンに一度でも侵入したものが、自動でデータを収集されているようだった。
「なんで、また。この冷蔵庫ダンジョン以外が対象なんだ? 差別か?差別なのか? ──というか、これって生き物も創成される、だと……」
危なかった。
ダンジョンにいる存在。普通に考えてその最大数は、モンスターだろう。
つまり、下手なプロンプトを入力したら、かなりの確率でモンスターが出てくる気がする。
「じゃあ、プロンプトを……例えば剣とか鎧とかの武具にしたら──いや、ダメだ。武具系のモンスターが出てくるかも。その可能性が少しでもあるのは、怖い」
リビングメイルや、フライングソードなどのモンスターの存在が、俺の頭を過る。
何せこちとら平凡な一市民なのだ。
さっきの冷蔵庫にアメーバみたいなのを挟んで倒したのな、幸運以外の何物でもないのは、俺自身が一番理解していた。
ただ一応、創成したものは削除ができるらしい。しかし、逆にいえば出来るのは削除だけのようで、創成したモンスターが俺を襲う可能性は高そうだった。
襲われるなか焦って削除しようと焦って、失敗する未来が見えるようだ。
「あ、なら探索者の名前を直接入れるのはどうだ?それなら……」
そのつぎにデータベースに登録が多そうなものと考えて行き着いたのが、それだった。
思い付くままに、試しにスマホでグクってみる。
トップに出てきた探索者の名前を、俺はそのままプロンプトに入力してみようとする。
縦棒のところに触れるとスマホのようにフリック画面が出てくるので、慣れた手つきで文字入力を済ませる。
「探索者 玄道カリナ、と。よし、実行」
メッセージウィンドウの中心でくるくると線が回り始める。
しかし、それほど待つことはなかった。
メッセージウィンドウが消えるのとほぼ同時に、そこに人影が出現する。
現れたのは、白銀の軽鎧をまとい、同じぐらい輝く白銀のショートヘアの女性。
ショートスピアを手にし、背中には探索者らしい荷物を負っている。
「おおっ! 玄道カリナ──?」
俺は自分のスマホの画像検索した画面と、目の前の創成物を見比べる。
確かによく似ているが、所々、差異がある。
そして何よりも違うのがその瞳だ。
灰色の光彩が、ぼーと宙を見ているのだ。
「……あのー? もしもし?」
俺は思わずそんな声かけをしてしまう。
次の瞬間だった。
はっと何かに気がついた様子で、玄道カリナが手にしたショートスピアを振るうと、その槍先がピタリと俺の喉元でとまる。
「ひぇ……」
変な声がでた。
「何者だ!」
玄道カリナからの誰何の声。
どうやら、創成でモンスターがでなかったら大丈夫だろうという俺の思い込みは、甘かったようだった。
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