第2話 ダンジョン管理機構
「創成AI、スキル?」
冷蔵庫を見上げるように座り込んだまま呟く俺。
するとそれが、切っ掛けだったかのように、メッセージウィンドウが切り替わる。
─────【メッセージ】──────
創成AIスキル(1/1day)▲
プロンプト:|
【実行/キャンセル】
──────────────────
ゴクリと息を飲んで、俺はそれを眺める。
まるで触ってくれとばかりに、プロンプトの文字の後ろでは縦棒が点滅しているし、三角マークもなんだか開きそうだ。
俺は思わずメッセージウィンドウへと手を伸ばしかけて、寸前で思いとどまる。
「危ない危ない。何がおきるかわからないし。せめて、まずはグクるか──」
パジャマのポケットから取り出したスマホでグークル検索してみる。
残念ながら、創成AIというフレーズでヒットはゼロ。
次にスキルの宝珠について検索する。こちらは大量にヒットする。適当に閲覧していくが、残念ながら目新しい情報はあまりなかった。
「あ、ユニークスキルもまれにスキルの宝珠から習得できるのか──。だとすると創成AIスキルというのもユニークスキルの可能性がある、のか?」
ユニークスキルはその名の通り、一人しか習得出来ないスキルだったはずだ。
様々なユニークスキルの存在がこれまでダンジョン管理機構へ報告されているらしい。
「……これって俺も、報告した方がいいのか?」
ダンジョン管理機構の連絡先を見ながら悩む。
一応、調べて見ると獲得スキルの報告が義務なのは、探索者のみらしい。
基本的にスキルを獲得するには一度以上ダンジョンへと侵入している必要があり、ダンジョンの侵入には探索者資格の習得が必須なのだとか。
つまり、一般人のおれは、厳密には管理機構へ連絡しなくても、スキル習得未報告に関しての罰則はなさそうだった。
「──こうなってるの、俺が片手を冷蔵庫に突っ込んだからだよな。うわ、もしも連絡すると、手続きめんどくさそう。せっかくの半分残っている休みが、ぜったい全て潰れるだろ、これ」
スマホを片手に、俺は決意する。
社畜には、休みはかけがえのないほど貴重なのだ。
どうやらうまく規則の抜け道があるようだし、俺は管理機構への連絡はやめておくことにする。
この時はまだ、俺は知らなかったのだ。そもそも、新たなダンジョンを発見したら管理機構へ報告が必要なことを。
なにせ数年前に世界中に一斉にダンジョンが現れてからこのかた、新たなダンジョンの発見は無かったのだ。
いま、この時までは。
「さて、問題はこっちか──」
俺の視線の向かうさきは、開いたままのメッセージウィンドウ。
俺はこれ以上ネットで調べるのは無理だろうと判断すると、それへ指を伸ばす。
スキル名の横の三角マークに触れるのだった。




