爛漫編(後編)〜家族の幸せの集大成ついに完結〜
誠人と四歳下の婚約者・愛花の、幸せで心温まる日々。
同棲、プロポーズ、結婚式を経て始まった新生活。
やがて訪れる小さな試練も、二人の愛を育む力に変わっていく――。
僕は誠人、日光市に住む28歳。
桜が舞う四月、婚約者で会社の後輩の愛花と結婚式で愛を誓い合った。
式の余韻が残る中、始まったふたりの暮らしは、幸せと感謝の日々の連続だった。
―――――
二ヶ月後、愛花の体調が変わり急いで検査すると新しい命を授かっていた。
だが喜びも束の間、長期の安静が必要だと告げられた。
小さな不安が心に影を落とす中、「俺にできることあったら言ってね」と伝えた。
すると「全部お願いしようかな」と愛花は微笑んだ。
「赤ちゃんの名前に花の要素を入れたいね」と子供の話も増えていた。
この試練を乗り越えたことで、ふたりの絆は一つになった。
―――――
プロポーズから一年近く経ったある日。
病院での陣痛は深夜から始まり、朝になっても治まらずにいた。
「私もう耐えられないかもしれない……」
「大丈夫だよ、頑張って。俺がずっとそばにいるから」と腰をさすり、額の汗を拭った。
愛花は僕の手を強く握りしめ、見つめ合いその瞬間を待ち続けた。
昼過ぎに「おぎゃー」と小さくも力強い産声が病室に響いた。
僕は「本当によく頑張ったね」と愛花を撫でた。
彼女の涙は頬を伝い、ふたりで喜びを分かち合った。
窓の向こう、春の訪れとともに、温かな光が新しい門出を祝っていた。
―――――
娘には“成華”という名前を贈ることに決めた。
誠人の「誠実な人」という意味と、愛花の「最愛の花」を合わせ、
「誠実さに富んだ華のある人生」という願いを込めた。
―――――
出産から一ヶ月後、先輩を日光市の自宅に招待した。
「成華ちゃん、可愛いなぁ!」と、冷たいビールで祝ってくれた。
成華の笑顔と乾杯のビール。
「数年前からは想像できないよね」と愛花が言うと僕らは頷き笑い合った。
―――――
成華の誕生を機に、僕らはマイホームの購入を決意した。
「通勤しやすいところがいいな」という愛花の希望もあり、会社の近くに小さな庭付きの一軒家を建てた。
―――――
週末、快晴の空の下、家族三人で満開の桜が続く、だいや川公園を歩いた。
成華の笑顔も、愛花へのぬくもりも、春の日差しが水面を照らしそっと僕らを包み込んだ。
家族の花びらに色を添える愛花。
小さな幸せの種をそっと植える成華。
僕ら家族の花は、まだ爛漫を知らない。
それでも懸命に、嵐を乗り越えながら咲き続ける。
成華という小さな蕾がほころび、
一輪の光となり、祝福の芽を宿すその日まで。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
これにて三部作「恋色に咲く誠華」は完結です。
誠人と愛花、そして成華の物語が、読者の皆さんの心に小さな花を咲かせていたなら、とても嬉しく思います。
また、次回作でお会できることを楽しみにしています!
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※関連作も気になる方は、下記のリンクからご覧ください。
第一部「開花編」
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第二部「結実編」
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最終章(前編)
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