第1話
**転生したらシェイプシフターでした
第1話:
闇。
それだけが、俺の視界を覆っていた。
――何だ…? ここはどこだ? どうして俺は…?
声を出そうとするが、喉が詰まったように何も出ない。
『――変換処理を開始します』
誰だ!? 声が聞こえる… けど、周りは真っ黒だ。
『スキャン完了。対象を確認。死因:頭部への強い衝撃』
……死んだ?
俺が…?
記憶がない。寒気だけが体を締めつける。
助けてくれ……。
『準備工程を開始します』
準備? 何の?
俺はどうなる?
『新しい肉体を構築します。選択してください』
選べって何をだよ!?
ここはどこだって聞いてるんだ!
『……選択してください』
何もわからない。
動けない。
暗闇と寒さだけが広がっていく。
――寒い……寒いのは嫌だ。
『耐寒性、取得』
おい、今のは何だ?
誰なんだ、お前は。
『わたくしはあなたの専属アシスタントです。新しい肉体の特性を選択してください』
新しい肉体……。
じゃあ……本当に死んだのか、俺は?
『………………』
答えない。
代わりに同じ言葉ばかり繰り返す。
くそっ……教えろよ!!
――腹が減った……何か食べたい。
『スキル〈捕食者〉取得』
は……?
なんでスキルなんてものが……
頭が痛い。イライラする……
『スキル〈無痛〉取得』
無……痛……?
少しずつ思い出してきた。
俺は――殺された。
利用価値がなくなったら捨てられた。
何度も、何度も、頭を殴られて。
あいつら……許さない。
憎い……憎い……!
『スキル〈憎悪の主〉取得』
なぜスキルが増える?
まさか……俺の思考に反応して?
じゃあ……
俺は次の人生で奴隷なんかごめんだ。
自由に生きたい。
誰にも縛られずに――
『了解。選択種族:シェイプシフター』
シェイプシフター……?
それって……転生できるってことか?
『肯定。準備完了。獲得スキル:耐寒性・無痛・百科事典・捕食者。
種族:シェイプシフター。転生を開始しますか?』
……転生……するんだな。
――ああ、頼む。始めてくれ。
『了解。転生を開始します。幸運を』
◆◇◆
木漏れ日が差し込み、風が葉を揺らしていた。
「……ここは……どこだ?」
周囲を見回すと、またあの声が頭に響く。
『ここは“黒き森”。あなたのような魔物が住む場所です』
「魔物……? どこにいるんだ、お前は」
『わたくしはあなたのアシスタント。姿はありません』
「……声が頭に直接……。
じゃあ、暗闇で聞こえたのもお前か」
『肯定。わたくしはアシスタントであり、同時にあなたが得たスキル〈百科事典〉でもあります』
「百科事典って……何ができるんだ?」
『生物・素材など、人間以外のあらゆる情報を参照できます』
「へぇ……便利そうだな。
で、この森には魔物が住んでるんだよな?
人間が入ったら危ないんじゃ……?」
『はい。しかし、あなたは人間ではありません』
「……は?」
水面に映った自分の姿を見て、呼吸が止まった。
ぐにゃりと歪んだ――紫のゼリーの塊。
「なっ……!? これが俺!?」
『はい。それがあなたの初期形態です』
「ひ、ひどい……! 腐った食べ物みたいじゃねぇか!」
しかしすぐに気づく。
「……待てよ。シェイプシフターって言ったよな。
なら、姿を変えられるのか?」
『肯定』
「じゃあ人間にならせてくれ!」
『対象のDNAが存在しないため不可能です』
「DNA……?」
『シェイプシフターは対象のDNAを取り込まない限り形態変化ができません』
「……今、俺はどれくらいDNA持ってんだ?」
『計測……結果:ゼロ』
「っ……! ならどうすれば手に入る?」
『本来は対象が自らDNAを渡す必要があります。
しかし、あなたは〈捕食者〉を持っています。
生物の肉片でも吸収すればDNAを取得可能です』
「なるほど……つまり食えばいいのか」
『肯定』
「で、どこに生物がいる?」
『不明』
「即答かよ……。
……お前、性別あるのか?」
『ありません。お好きにどうぞ』
「じゃあ男扱いでいいわ。
とりあえず、何か探しに行くしかないか……」
そう呟きながら、紫色の体を揺らし、森の奥へと進んでいく。
――こうして、
どんな姿にもなれる少年の新たな人生が始まった。
私は日本人ではないので、もし内容が少しおかしかったり意味が通じなかったりしても、あらかじめご了承ください。読んでいただきありがとうございます。楽しんでいただければ幸いです。




