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陰キャの俺、なぜか文芸部の白髪美少女とバスケ部の黒髪美少女に好かれてるっぽい。  作者: 沢田美


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陰キャ、青春ラブコメに疲れる ―この先地獄行き―

 映画を見終えた俺は、クタクタになりながら外に出た。

 ロビーに差し込む午後の日差しが、暗闇に慣れた目に突き刺さる。思わず目を細めて、大きく息を吐いた。


 隣では、不知火先輩と瀬良先輩が元気に感想を語り合っていた。

 

「ねぇ、あのシーンのセリフ、良かったよね」

 

「うんうん。主人公の表情も最高だった」

 

 ……なんでそんな元気なんですか。俺だけ二本立て見た気分なんですけど。


 青春ラブコメの主人公って、毎回こんな地獄を味わってるのか? ドンマイ主人公たちよ。俺も同じ側だから笑えないけど。


「高一くんはさ、好きな子とかいないの?」

 

 浅葱が小首を傾げ、無邪気に聞いてきた。

 

「す、好きな子……俺とか?」

 

 やばい。口が勝手に動いた。自分で何言ってんだ俺。


 その瞬間、前方から“覇気”が飛んできた。

 瀬良先輩の涼しげな瞳が、氷のように光る。不知火先輩も笑顔を消し、じっとこちらを見ている。

 

「あ、その殺気みたいな視線やめてもらっていいですか?」

 

「ねぇ、高一くん。このあとどうするの?」

 

 瀬良先輩がすっと隣に立つ。近い。近すぎる。

 柑橘系の香水がふわりと香る。落ち着け俺。

 

「お、お昼とかどうスか?」

 

「いいね! 私カツ丼食べたい!」

 

 不知火先輩が目を輝かせ、男子達のどよめきが起きる。――平和だな日本。


 こうして俺たちはフードコートへ向かった。

 歩くたびに陽キャ軍団の視線が刺さる。慣れたけど、やっぱり痛い。

 ……ラブコメの主人公って普通、こういう時に“仲の良いツッコミ役の友人”がいるだろ? 俺にはいないんですけど!? 採用ミスか脚本バグか?


「高一くん、顔がすごいことになってるよ?」

 

「あ、やべ」

 

 浅葱の声に我に返り、無言で歩を進める。


 ※


 フードコートに着くと、みんなそれぞれ好きな店へ。

 家族連れ、カップル、学生たちでにぎわう空間。

 ……で、俺はなぜか席取り係。これ軽くイジメ案件では?


 ぼやいていると、瀬良先輩が無言で隣に座った。

 カレーを食べる姿がやけに優雅で、空気が妙に静かになる。

 ――この時間、苦行にカウントしていいですか。


「あ! 高一くんの隣取られてる! ……まぁいいか、向かいに座ろっと」

 

 不知火先輩はカツ丼を手に、無邪気に笑う。

 俺? 席取り係なんで飯ないです。はい、ないです。


 腹が鳴る前に、俺もハンバーガーでも買ってくるか。

 ちょうど通りかかった浅葱が声をかけてくる。

 

「高一くんは何にするの?」

 

「もちろんジャンクフード!」

 

「高一くんらしいね」

 

「だろ? 俺は俺らしく生きる! 自由に生きてやる!」

 

「……何言ってるのか全然わかんない」

 

 軽く笑われつつ、俺はバーガーを買って戻った。


 三人はもう食事中。俺も黙々と頬張り、静かな時間が流れる。

 そして食べ終わった頃、瀬良先輩が冷静に言った。

「次、どこ行くのかしら?」

 

「……帰宅って選択肢は?」

 

「あるわけないでしょ? 帰るなら、次から“ゴミヒキニート陰キャクソ野郎”って呼ぶわ」

 

「長ぇよ!」

 

 目が笑ってないの怖いんですが!


「まぁまぁ、次は不知火先輩が行きたがってたスポーツ施設だよ」

 

 浅葱がフォローする。

 

「やった! バスケ! バスケやろ!」

 

 両手でガッツポーズ。いや、戦闘民族かな?

 周囲の陽キャたちも一斉に盛り上がる。

 

「不知火先輩のプレイ見れるとか神!」

 

「俺も混ざる!」

 

「早く行こうぜ!」

 

 ……おう、俺も早く帰りてぇよ。


 その後、俺は流れに逆らえず、スポーツ施設へと連行された。

 ――誰か、俺を救ってくれ。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

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