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終焉の呪い子たち(さいごののろいごたち)  作者: 藤宮空音
第4章 夏休み開始編

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【第67話】逃走③

しばらく走ると2人は林を抜け、小さな町に着いた。


家々の灯りが間隔をあけてぽつぽつとついているだけで、あまり活気のある感じではない。

(もっと)も、夜20時過ぎともなれば、店などやっているはずがないので、当たり前と言えば当たり前なのだが。


息を整えるのも兼ねて、しばらく2人は黙って歩いていたが、ヴァンがふと口を開く。


「アンタ、何の魔法使えんの?」

「えっと……、光とかの基礎魔法と、水とか火とかの元素魔法と、あと、浮遊魔法がちょっとだけ……です」

「ふーん」


(えっ? なんで聞いたんだろう……)


レミアは不思議に思いつつも特に聞き返さずにいたが、段々不安になってきた。


(まさか、身体強化魔法を使えないのが無能すぎて不思議に思った……!? いや、でもユーヴェリアの1年生はまだみんな出来ないよ!??)


「……あ、浮遊魔法で王都まで飛んで行けたら便利なのにな……」


レミアが思い付いたようにぽつりとそう呟くと、ヴァンがハンッと鼻で笑う。


「そんなの、よっぽど魔力が強くなきゃ無理だろ。それこそ創始の魔女くらい……」


ヴァンはそこで言葉を切ると、急にレミアの方にバッと顔を向けて、こう言った。


「……アンタ、紫ピンズっつったよな?」

「えと……、そうです……けど……」


(言った覚えないんだけどな……。なんで知ってるんだろう……)


レミアは自分が紫ピンズであることをなぜか知っているヴァンに、少し恐怖心を抱く。


「浮遊魔法はどれくらい出来る?」

「えっ、な、なんでですか?」


ヴァンへの警戒心が強まっているレミアは、とりあえず目的だけでもハッキリさせてから答えようとしていた。

そんな様子には全く気付かないヴァンだったが、どこか興奮して()いた様子で話し出す。


「普通はせいぜいジャンプ力を上げるか石を浮かすくらいだが、もし長時間人を浮かすことが出来んなら……」


そこで、レミアもヴァンの考えていることに思い当たる。


(な、なるほど! 私の魔力量の浮遊魔法なら、もしかしたら王都まで飛んで行けるかもしれないってこと……!?)


「ひっ……、人をすっ飛ばしたことならあるんですが……」

「は? "すっ飛ばす"っつったか?」


レミアが遠慮がちにそう言うと、さすがのヴァンも、困惑した顔をしていた。自分の耳を疑っているようだ。


「い、言いました……。自分にかけた経験は、ちょっとジャンプをするときくらいです」


レミアは、実は寮の出入り口の壁を抜けるときの浮遊魔法の調整をマスターしており、それを思い出しながらそう言った。


「……よし、俺はすっ飛ばされたくないから、アンタが自分に浮遊魔法をかけろ」

「そうなりますよね」


こうなるであろうことを予想していたレミアは、改めて心の準備をする。


「もし結構ヤバかったら、風の魔法とかで助けてください」

「わかった」


普通なら危険を(おか)すべきではないのだろうが、欲を言えばこれ以上歩いたり走ったりしたくないのだ。それに、もし飛べるのだとしたら、すごく楽しいのではないだろうか。

そんなワクワクした気持ちも持っていた。いや、その期待が1番大きかった。


「いきます」


レミアは、キリッと覚悟を決めた顔でそう言うと、自分に向けて、浮遊魔法をかけた。


あまり力を入れすぎると、かつてのイレーナのようになる。レミアは、細心の注意を払って魔力の調整をした。


「おおっ!」


その努力のおかげか、レミアの足が地面から30cmほど浮いた場所で静止する。


「やるじゃねぇか!!」


それを見たヴァンは、レミアよりも興奮した様子でそう言った。


レミアは、そのまま調整を頑張っていたが、約30秒ほどで、足は再び地に着いてしまう。


「頑張ったんですけど、長い時間は無理かもです……」

「いや、イケる……!」


ヴァンはそう言うと、レミアの手を取って急に走り出す。そして、これまた急に浮遊魔法を詠唱した。どうやら、ヴァン自身とレミアの両方にかけたらしい。


「行くぞ! 合図したら片足を大きく踏み出せ!」

「ぅえっ!? はい!」


突然そう言われたレミアは、驚きつつもついていく。そして、ヴァンの合図に合わせて、左足を強く踏み切って、右足を大きく前に出した。


「わぁ!」


数秒だけ体が浮いて、5メートルほどの片足大ジャンプを遂げた。

レミアがそれに感動していると、ヴァンが一歩ごとに浮遊魔法を詠唱していた。そのおかげで、大股で走るかのように、僅かな時間で、先ほどよりもかなり遠い場所に来れたようだった。


「ハァ……ハァ……。んじゃ、今のよろしく」


ヴァンは魔法の使いすぎで疲れが出てきたようだった。

彼が身を削っている傍らで、自分は楽しんでいたことに若干の罪悪感を覚えたものの、急に丸投げされて困惑する。


「えっ、いきなりですか……!?」


しかし、レミアはすぐに覚悟を決めて了承した。


「……いや、わかりました」


魔法使用、特に初めて使う魔法には、気の迷いが大敵になることを、レミアは知っている。だから、出来るだけ不安を()き消して、気を強く持った。


ヴァンよりは魔法が長く持つはずだから、きっと今よりは難易度が下がるはずだ、そう言い聞かせると、深く息を吸って呼吸を整える。


そして、レミアは後ろから腕を掴まれる状態で、自分とヴァンに浮遊魔法をかけた。


すると、ふわりと、体が浮き上がる。


「走れ!」


ヴァンが後ろから勢いよく叫ぶ。

魔力が切れないうちにということなのだろう。その言葉を受けて、レミアは急いで右足を前に出した。


ぴょーん、と長く、体が浮きながら前進した。

そして、足を着きたいタイミングで、少し魔力放出を弱めてみる。すると、ゆっくりと体が下降して、足が地面に触れる。それから、間髪入れずに足を踏み切って、前に進みながら上にジャンプする。と、同時に魔力放出を強めた。


なんだか、様になってきている、と手応えを感じた。


「上手いぞ!!」


ヴァンが後ろから、興奮した様子でそう声をかけた。それを聞いて、レミアも少し嬉しくなる。


もしかしたら、ヴァンは人に教えるのが向いているのかもしれない。……もちろん、メンタル的な意味でだ。やり方は全く教えてくれなかったのだから。


レミアは、嬉しくなった気持ちそのままに、ウキウキと足を交互に前に出す。少しの浮遊感がかかる感覚が、なんだか楽しかった。


しかし、暫くするとやはり魔法が切れてしまう。その度に魔法をかけ直すことになったが、ヴァンよりは技術がいらず、疲れを感じずに済みそうだった。


「よし、このまま王都まで行くぞ!」

「おー!!」


2人は逃げていたことも忘れて、無邪気に声をあげた。

閲覧ありがとうございます!


更新大変お待たせしてすみません…。

こちらの話もだいぶ前に書き終わっていたのですが、モチベーション面で中々更新できずにいました。すみません。


ぐちゃぐちゃになってしまっても完走したい気持ちがあるのですが、中々難しいものですね…。でも、もう少し頑張ってみようと思います。


ここまで読んでくださっている方々には本当に感謝しております。たくさん読んでくれてありがとうございます!

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