【第60話】再会②
色々調整していたらこの回も長くなってしまったので、さらに2つに分けました…!ので短いです。すみません。
「……レミアって人、寝ちゃったの? し、しんでないよね……?」
「バカ。よく見てみろ。呼吸してるだろ」
不安そうにそう言うフィオナに、ヴァンがピシャリと指摘する。
「よ、良かったぁ~……」
「エド、こいつどうすんの? なんか突然現れたけど。そろそろザーガのおっさん帰ってくるんじゃねぇの?」
「そう……、だよね」
ヴァンの問いかけに、エドワルドは心ここにあらずといった様子で答える。
「どうした?」
「いや……、おかしいなと思って。レミアには魔力がなかったはずなんだ」
レミアから魔力をもらったことで、いつも通りに戻った様子のエドワルドが考え込む様子でそう言った。
「ふぅん……。そういえばちょっと前に、魔力なしからの紫ピンズが出たって大騒ぎしてたけど、こいつのこと?」
「えっ……?」
ヴァンが思い出したように軽くそう言うと、エドワルドは目を見開く。それは、エドワルドにとって全く知らないニュースだった。
「1月半くらい前のことだけど。まぁお前、外出させてもらえてないから知らないのもしゃあねぇか」
「まじか……。俺……、うわぁ……」
エドワルドは顔を手で覆って、力が抜けたようにしゃがみこんだ。そんなエドワルドにヴァンが問いかける。
「自分に失望?」
「……まぁね。そんな大きなことも知らないなんて」
「自分に期待してるヤツってのは素晴らしいね。んなことで反省すんだ。自分の力じゃどうにもなんねぇことだってのに」
ヴァンはハンッと鼻を鳴らすと、エドワルドの頭を見下ろしてそう言った。
「……それ、結構刺さるなぁ……。傲慢にも、自分が何でも出来るって思ってなきゃ出ない思想だって言いたいんでしょ」
「そうかもしんねぇけど俺はそこまで言ってねぇよ。お前みてぇな奴はすぐそうやって過剰に自分を追い詰める」
エドワルドがヴァンを見上げて少しばかり睨むようにして告げると、ヴァンはそれを淡々と一本調子で躱わした。
「……それはヴァンのせいでもあるんじゃないの。さすがに自分の発言に無責任すぎでしょ」
「ハッ。他人の言葉の意味をそんなに深く受け取るなよ。俺は思ったことをそのまま口から出してるだけだぜ」
「……ヴァンから学ぶことは多いよ」
「そりゃ良かったぜ。良~いお家の血筋の貴族様からそんなこたぁ中々言ってもらえねぇからな」
二人とも冷静な様子ではあるが、段々と口論のようになっていく。ヴァンの皮肉めいた言葉にエドワルドは、はぁ、と大きなため息を吐いた。
「……。俺はお前のそういうとこが嫌いだ」
「ハッ。おもしれぇ。俺はお前のそういうとこ、嫌いじゃねぇわ」
苦い顔で嫌悪感を顕にするエドワルドとは反対に、少し愉しさの滲む顔でヴァンはそう言った。彼は、本当にエドワルドのことを興味深いと思っているようだった。
2人はそのまま、無言で見つめ合う。傍から見れば、睨みをきかせあっているようにも見えたかもしれない。
「ちょ、ちょっと、すとーーーっぷ!!」
突如、フィオナの声が部屋に響く。
「もうっ……! 2人とも喧嘩するのはやめてよ!!」
まだ成長しきっていない、小柄なフィオナが両手を大きく広げ、エドワルドとヴァンの間に自分の身を捩じ込むようにして制止する。
「喧嘩じゃねぇよ」
「……うん、そう」
2人はそれぞれ「喧嘩」を否定する。
エドワルドはフィオナの頭に手を伸ばし、目線の高さを合わせるように腰を低くすると、彼女の頭を優しく撫でた。
「ごめんね、フィオナ。びっくりさせたね。俺たちはちょっと価値観が合わないだけなんだ。……それに、ヴァンのことは信用してるしね」
「そういうこった。信用されてんのは初耳だけどな」
それを聞いたフィオナは、少しだけ顔を上げ、エドワルドの顔を見た。
「こっ、子ども扱いしないでよね!」
フィオナは少し怒った様子で腕を組むと、顔をかわいらしくムッとさせてそっぽを向いてしまった。
「えっ、あぁ……、ごめんね」
それを聞いたエドワルドは、フィオナの頭から手を離し、背を伸ばす。
「15歳そこらの女は扱いづれぇなぁ」
その様子を見ていたヴァンが、堂々とそう呟いた。
「ちょっ、ヴァン!」
「何焦ってんだよ。聞こえたっていいだろ、別に」
「……いいよエド。ヴァンには"でりかしー"ってやつがないからね」
フィオナが呆れた顔でそう言うと、ヴァンが驚いた様子で口を開く。
「お前、どこでそんな表現覚えた?」
「おしえな〜〜い!」
ニヤリ、とフィオナがいたずらっぽく口角を上げて楽しそうに言う。もうフィオナの機嫌は直っているようだった。
「ま、お前はできるヤツだからこのまま頑張れよ」
フィオナの挑発が効いていないのか、ヴァンはそう言ってフィオナの頭にポンと手を乗せた
「なっ、きゅ、急にやさしくしないでよね!」
「はいはい」
それを受けてフィオナは顔を少し赤らめてぷりぷりと反抗する。そんなフィオナを軽く受け流し、ヴァンは彼女を自室に誘導するように、背中に手を添えて歩き出した。
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