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終焉の呪い子たち(さいごののろいごたち)  作者: 藤宮空音
第4章 夏休み開始編

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【第57話】ソルナと肖像画②

レミアが嫌だと答えてから、2人の間にはしばらくの沈黙が流れる。ソルナにじっと見つめられたレミアは、緊張しながら、その瞳を見つめ返す。


「……」

「……」


(……もしかして、失敗した……? ここでの問答を間違えると命に関わる……?)


レミアが、震えながらそんな想像をしていると、ソルナが突然叫ぶ。


「どうしてーーー!!!?」

「……へっ?」

「なんで? どうして? 私とお話したくないの!? 絶対楽しいのに!? なんで!??」


ソルナが、突然大きな声で駄々を()ね始めるので、レミアは目を丸くして困惑する。


(突然、子どもみたいにどうしたんだろう……。怖い……)


「あー! わかった!! あなたに何のメリットもないから嫌なんでしょう! ん〜〜〜、そっかじゃあ、どうしよっかなー。あ、そうだわ! 取引をしましょ!?」

「と、取引……?」


レミアはごくりと唾を呑み込む。事態はどんどん悪化していってるのではないだろうか。そんな不安が(よぎ)る。


「あなたは、なんにもわかってないから、怯えてる! 私もよくわかんないことが多いけど、あなたより知ってることが多い! だから、私があなたに知ってることを色々教えてあげるの! あなたは情報が得られるし、私はお喋りしてもらえて楽しい! どうかしら!?」

「え……、いいんですか?」


レミアは思わずそう答える。今、情報が得られるのはありがたい。だけど、ソルナの方の利益が少なく見えるのが引っかかる。あまりにうまい話なのではないだろうか? うまい話には、必ず裏があるはずだ。

それに、ソルナが大人のような論理性を持ちながら、子どものような態度や考え方を併せ持っているのが、ちぐはぐで、なんとも不気味だった。


「素敵! 決まりね!」

「ぁえ……?」


どうやら、先ほど「いいんですか?」と言ったのを、承諾、と捉えたらしい。勝手に取引が成立してしまっていた。


(まぁいいか…………。私に不利な内容じゃないし、ソルナが嘘をついていたらそれまで。私には何も出来ない……。今私にできる最善の選択は、ソルナとお喋りすることしかないもんね……)


「……じゃあ、質問いいですか?」

「なぁに? 何でも聞いて! 人とお話するの久しぶり! とっても嬉しい!!」


レミアがおずおずと右手を小さくあげて言うと、ソルナは、顔の横で手をぱちんと合わせて嬉しそうにそう言った。


「ここは、どこですか?」

「あぁ……! そうよね、よく考えてみればそれが1番気になるわよね」


ソルナは、ウンウンと頷きながらそう言う。そして、自分が座る椅子の目の前の額縁が、レミアによく見えるように体の位置をずらす。そして、指差しながらこう言った。


「見て。これ、さっきまであなたがいた学園の廊下よ」


額縁の中を見ると、たしかに先ほどまでレミアがいた、(おもむき)のある廊下の絵が描かれていた。

目の前には、ちょうど雪山の絵が飾られている。


すると、絵画の右端から左端へ。焦ったようにパタパタと飛んで移動するペパーによく似た姿が映った。


「この絵も動く……」


(……いや、違う)


レミアはこの絵も動くのかと、問おうとして、あることに気付いた。描かれている廊下の位置、アングル、ペパーによく似た鳥……、否。映り込んでいたのはペパー本人だ。


──この絵は、絵じゃない。


本当に、先程まで自分が立っていた、実在する廊下だと、レミアは思い当たる。


「……つまり、今、私はソルナの肖像画の中に……?」


そう呟くと、ソルナはジッとレミアの瞳を見つめてきた。「あれ、違ったかな……?」と不安なり始めた頃、ソルナの口元がやっと開く。


「ご名答〜!! そう! ここは絵の中です!」


思っていた以上にソルナが元気良く答えるので、レミアは少し面食らう。


「えっと……、ここから出る方法とかって……」

「知らないわ、そんなの」


ソルナは急に機嫌を損ねたのか、プイとそっぽを向いてしまった。しかし、少しだけ憂いを帯びた表情に戻ると、こう言った。


「……私も、ずっと願っていたことなのよ。ここから出ることは」

「ど、どういうことですか……?」

「私もかつて、あなたと同じように、そこの学園で過ごしていた1人の生徒だった」


ソルナはそう言って、額縁の向こう、学園の廊下を指差す。そして、「何十年も前の話よ」と付け足した。


「人を絵に変えてしまう、というのかしら、閉じ込めてしまう、というのかしら……。とにかく、そんな力を持った呪い子がいてね。私とお姉様、それから男の子が1人、絵に変えられてしまったのよ」

「のろい……ご……」


レミアは口の中で小さく、呟くように繰り返す。

レミアは英雄伝説の授業を思い出していた。強大な魔力を持っていて、それを暴走させてしまった"彼"を「呪い子」だと、アンバーが言っていた。


「そこの雪山の絵、見えるでしょ。あれもね、最初は男の子の肖像画だったのよ」

「えっ……、じゃあなんで……、」


(いや、待って……? 聞きたいことが色々ありすぎる……。あの絵はなぜ雪山の絵に変わってしまった? なぜ人が絵にされてしまう? 呪い子って何? 呪いの力って何? ソルナはなぜ絵にされた? なぜその3人が絵にされた? ……まさか、女子寮の絵画の女の子、彼女もその3人の内の1人……?)


レミアの頭の中は、様々な疑問で埋め尽くされる。


「そうね、彼は……、彼は。ううん、どうしましょう。どこから話したらいいのかしら。……彼は、そう。……彼も呪い子だったのよ」


ソルナが迷いながらそう言う。


「彼も呪い子……?」


レミアの心臓は、またドクン、と嫌な音を立てていた。

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