【第40話】アフタースクール・ティーパーティー①
最後に、生徒会メンバーハロウィン仮装絵があります。
「さぁ、パーティーの始まりだ」
ルクスのその言葉を皮切りに、メイドのような格好をした女性が、テーブルの上にスイーツを並べ始める。
おしゃれなお皿が3段積み上がったティースタンドには、塩気のあるサンドウィッチから、甘いショートケーキまで、様々な軽食が乗っている。さらに、隣を見れば、瑞々しくて艶めきのあるフルーツが散りばめられた、1ホールのフルーツタルトが並んでいた。
さらに、女性がティーカップに人数分の紅茶を注ぐと、華やかでフルーティーな香りが鼻をくすぐる。
「いい香り……」
レミアが思わずそう零すと、女性はこちらを振り向いてニコリと微笑む。
「こちらは季節のフルーツティーになります。桃やオレンジを中心とした、爽やかな味わいになっております。2杯目からは、お好きなものをどうぞ。それぞれのスイーツに合うものを、各種取り揃えております」
「あ、ありがとうございます! 美味しそう……」
女性の説明を聞いて、レミアはますます目の前のごちそうたちを早く食べたい気持ちが強まった。
「じゃあとりあえず、本日の主役。どうぞ、レディ」
ルクスがそう言って、丸いテーブルを囲むイスの内の一つを引く。
「え、ダ、ダメです!!」
(ウォーレー家の人にこんな給仕みたいなことをさせちゃダメすぎる……!)
この国では、血筋による身分制度はほとんど残っていないものの、もちろん、国王と三英雄の子孫は別だ。
国のトップ層の血を引くお方になんてことをさせてしまったんだ!とレミアは慌ててルクスの手からイスを剥がし取る。
「どうして?」
ルクスは不思議そうな顔でそう言うと、取られたイスを悲しそうに見つめた。その姿に、レミアは少し罪悪感が湧く。
「勝手に取り上げてすみません……。で、でも、ルクス先輩はウォーレー家のお方なので、給仕のようなことをさせるのは……」
レミアはそう言いつつ、助けを求めるように、チラリとクラリスとロイリーの方を見る。そうすると、2人は顔を見合わせた。
「ん〜……、会長には何言っても無駄ッスよ」
「そう。こっちが何を言ってもやりたいことは絶対にやるし、好奇心が旺盛なお方だから」
過去にもこういうことがあったのだろうか。ロイリーとクラリスは諦めているようだった。
「ね? 2人もそう言ってるし。僕もお家柄で距離を取られるのはあまり好きじゃないんだ」
ルクスは困ったように眉を下げて笑う。演技に見えるのは、きっと気のせいだとレミアは自分に言い聞かせた。
「ほら、レディ。イスを返して? いい子だからここに座ってくれるかい?」
「……恐れ入ります」
ルクスが覗き込むようにこちらを見ながらそう言うので、結局エスコートを受けることにした。
何て言ったらいいかわからず、かしこまりながら、差し出されたイスに座る。
「さて、じゃあ、みんなも好きな席について。パーティーを始めよう」
ルクスがそう言うと、みんなもテーブルに集まってくる。誰も席にはこだわりがないようで、自分の近くにあるイスに手を伸ばした。レミアの右隣にはクラリス、左隣にはロイリーが座ろうとしたが、アンバーがそれを即座に遮り、イス取りゲームかのような必死さで、イスを奪い取る。
「え、ごめんッス……! ここが良かったッスか?」
「いや、別に……」
ロイリーが申し訳なさそうな様子でアンバーにそう言うと、アンバーはぶっきらぼうに答えた。
「そっか、レミアの横が良かったんだね」
(えっ……!? そうなの!?)
ルクスがそう言うので、レミアは驚きながら左横を確認する。
すると、隣のアンバーは、苦虫を噛み潰したような酷い表情をしていた。
(違うみたいです!)
レミアはルクスの方を見て、ブンブンと首を横に振った。
こんなの絶対違うに決まっている。
「……ロイリー先輩がここに座るのが嫌だっただけです」
アンバーは遅れてぼそりとそう言った。
「え、なんでッスか?」
「まぁまぁ。アンバーもあんまり話したくなさそうだし、この話はこれで」
「えっ!?」
ルクスは真相を知りたがっているロイリーを制止し、クラリスの右隣に腰掛ける。このテーブルは円形だから、残る席はルクスの右隣かつアンバーの左隣である1席だけだ。
必然的にそこに座るしかなくなったロイリーは、モヤモヤした様子でその席に腰掛けた。
「じゃあ、これから、レミアの生徒会加入歓迎会&期末試験お疲れ様会を始めます」
ルクスは落ち着いた様子でそう言ったかと思えば、言い終わるなり、「いぇ〜い」と気の抜けた歓声を上げて拍手をし始めた。
予想外の言動行動に、レミアは驚いて一瞬固まる。
(ハッ! まずい! 変な空気にしてはならない……!!)
そう考えたレミアは、パチパチと手を叩きながら、テンションを上げて言う。
「「「い、いぇ〜〜〜い!!!」」」
「「「!?」」」
皆同じことを考えていたのだろう、かなり無理やり空気を盛り上げようとする声が3つ重なった。
ハモったことに、ロイリー、クラリス、レミアはそれぞれ顔を見合わせて驚く。もちろん、アンバーは何もせずに皆の様子を眺めていた。
「フッ……」
その様子を見たルクスが堪えきれずに小さく笑う。
「何笑ってんですか……!」と泣きながらツッコミたくなる気持ちを抑え、レミアは引き攣った愛想笑いを浮かべた。
(この人……! ほんとに……! 扱いが難しい……!!!)
「……コホン。じゃあみんな、好きなだけ食べて」
「わーい! 嬉しいッス! ありがとうございます、会長!」
ルクスがそう言うと、ロイリーがすぐに気になるスイーツを、嬉しそうに自分のお皿に取り分ける。
やはり、ルクスの振る舞いには、1番慣れている感じがした。全く動じていない。
(ロイリー先輩、甘いもの好きなのかな? かわい〜)
その様子を、レミアがにこやかに眺めていると、アンバーが隣で同じ顔をしていることに気付く。
「……あ! レミアが先が良かったッスね……。気が利かなくてごめんッス…………」
ロイリーがケーキを盛る手を止め、しょんぼりした様子でそう言うと、アンバーは顔を顰めてブンブンと横に振った。
「…………。え、あ、全然大丈夫です!! たくさんありますし、好きなだけお取りください!」
レミアは、びっくりしすぎてアンバーをガン見していたので、返答が遅れてしまう。
「あ! もう十分取ったんで、俺がみんなの分を取り分けるッスよ! レミアは何がいいッスか!?」
「え! いいんですか……!? えっと、じゃあ……」
取ってもらうのはちょっと悪いなと思いつつ、厚意を無碍にしたくない、と考えたレミアは、お言葉に甘えて取り分けてもらうことにした。
レミアとロイリーが立ち上がり、あれが良い、これも美味しそうだとワイワイしていると、左隣から刺すように鋭い視線を感じる。
(ヒィィ、怖い! 何!? 何なのこの人……!!)
ロイリーから取ってもらった、美味しそうな色とりどりのスイーツを抱えたレミアは、お皿ごと、そろりとイスに腰を下ろす。
今日は左を見ないようにしようと、密かにそう決意した。
***
本編とは関係ありませんが、今日はハロウィンなので生徒会メンバーのハロウィン仮装絵を用意しました!
良ければ、ご覧ください!
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ハロウィン絵を描いていたら、更新がこんな時間になってしまいました…。すみません。滑り込みハロウィンです。皆様良いハロウィンを……(もう終わる)。




