表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終焉の呪い子たち(さいごののろいごたち)  作者: 藤宮空音
第3章 生徒会編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

40/68

【第38話】期末試験

レミアは、まだ眠い目をこすりながら部屋のカーテンを開ける。途端、眩しい朝日が部屋に差し込み、ぼんやりとした頭を鮮明にさせた。


今日は、ついに実技魔法の期末試験日だ。


クラリスからノートを受け取ったあの日から6日。3日に渡る全日自習期間と、前半の筆記試験の日程が昨日ようやく終わったところだった。


「今日……か」


レミアはグッと両手を上に伸ばし、体全体をストレッチするように伸ばす。


全日自習期間は、クラリスのノートを参考にしたり、フートンのレッスンを活用したりして、成功の確率を上げにかかった。

だが、依然として成功率の低い魔法もあり、結局不安を抱えたまま当日を迎えてしまった。


「……よし。もう、やってきたことを、出し切るだけだ」


レミアはそう呟いて、制服の袖に腕を通す。

ちゃちゃっと着替え、鞄を手に持つと、まだスヤスヤと寝息を立てているノアにそっと手を振って、いつもより早めに部屋を出た。




***


「次、レミア・ミュー」

「は、はい」


実技の試験が始まり、ついに自分の番が回ってきてしまった。


試験は1人ずつ呼ばれ、先生の前で指定の魔法を発動する形式のもので、1つの魔法につき、3回挑戦していいことになっていた。今回試されるラインナップは、水の魔法、火の魔法、風の魔法だ。

ちなみに、離れたところに待機中のクラスメイトたちがおり、こちらを時たま品定めしているので、たまったものじゃない。

そのせいもあってか、レミアはものすごく緊張していた。


そして、今からやるのは、クラリスに教わった水の魔法だ。レミアが呼ばれて前に出ると、先生がこちらを見て合図をした。


「はじめ」


レミアはゆっくりと息を吸い、心と体を落ち着ける。絡まった糸を(ほぐ)すようなイメージで深呼吸を終えると、ゆっくりと人差し指を立てた。そして、5メートルほど先に、的として机に立てて置かれている木の棒を見据える。


(空気中から水を借りるイメージ……!)


レミアは魔力を自分の中心から指先まで流れさせながら、呪文を唱えた。


ouwlq lu (水よ)fdeopn(絡み付け)


すると、空中からチャポッと水の玉が生まれ、それが水の流れとなり、木の棒に綺麗な螺旋(らせん)を描いて巻き付いた。


(や……ったぁ……!!!!!)


レミアは心の中で特大のガッツポーズをする。


(初回で成功出来たのは、何気(なにげ)に初めてだ……!)


クラリスが教えてくれたこと、自分が今まで積み上げてきたこと、そういったものが思い出されて、少しうるっと来てしまう。


(まだまだ……! 気を抜くな!! 始まったばっかりなんだから!!)


レミアはそう思って、気合いを入れ直す。

気付けば、周りのクラスメイトたちはどよめいていた。


「一発成功した……」

「前までまともに光も灯せてなかったよね……?」

「……なんかズルしてんじゃねぇの?」

「え、すごくね」


様々な声が聞こえてくる。皆思い思いのことを口走っているようだった。

皆が、今のが()()()かどうか確認するように、値踏みするように、鋭い視線でレミアに注目する。


クラスメイトたちがお喋りをやめたことで辺りが急に静まり返り、レミアは更に緊張してきてしまっていた。


(み、みんなが見てる……。絶対、成功しなきゃ)


次に待ち構えているのは、火の魔法の試験だった。水のときと同じように、5メートルほど先にある、お皿の上に置かれた木屑(きくず)に炎を灯し、木屑が燃え切るまでそれを維持する、といった試験内容だ。


「では、はじめ」


手元の用紙にさっきの評価を書き終えたらしい先生が、顔をあげて開始の合図をする。




……そして、気付けば実技の試験は終わっていた。

頭が真っ白になりすぎて、全く記憶がなかった。


レミアがその場に立ち尽くしていると、次の人を呼ぶからと、どくように指示される。


(……え、終わった……?)


周りを確認すると、ほとんどの人がこちらなど全く見ることなく、雑談に興じていた。


(あぁ……、きっと失敗したんだ……)


レミアはそう考えながら、フラフラと試験を終えた者たちの待機場まで歩く。その道すがら、小石に足を引っ掛けてしまい、倒れそうになった。

そんなレミアの肩を誰かが掴んで支える。


「っぶな」

「あ、すみませ……」


ぼんやりとそう言い、その人の方を見ると、目の前にはアンバーの顔があった。


「あ!ンバー……くん……!」


何と呼んだらいいのかわからず、とりあえず「くん」を付けた。

アンバーは男子にしては身長が低めだったので、思いの(ほか)近くに顔があり、レミアはびっくりする。


「……ちょっと。そろそろ自分で立ってよね」

「え!? あ、ごめん!!」


頭がハッキリとしてきたレミアは、急いでアンバーから離れた。言われてみれば、バランスを崩し、肩を預けたままだったのだ。


「落ち込みすぎ。……火と風は惜しかったけど、よくやったんじゃないの」


そう言うと、アンバーはさっさと向こうに消えて行ってしまった。


その言葉を聞いて、レミアは胸がジーンと熱くなる。自分の頑張りが誰かに届いていたことに感動したのだ。

クラリスだけでなく、自分に対して当たりの強いアンバーからも、ちゃんと認めてもらえたのだ、と実感できて嬉しかった。


「そっか……。私、頑張ったんだなぁ……」


火と風の魔法は失敗しちゃったけど、「全力を出し切った」「頑張った」って胸を張って言えることを誇りに思おう。


なんだかそう思うと、気分が軽くなった。

レミアは、晴れ渡る空を見上げながら、少しだけスキップをして待機場に向かった。




***


そして、あっという間に結果が貼られる時期になった。


レミアの心臓は早鐘を鳴らす。ドコドコと鳴りすぎて、誰かが内側から絶え間なく叩いているようだった。


(お願い……!)


まずは比較的自信のあった筆記の順位から確認することにし、1位から順に目を滑らせる。


(1位……ない。2位……も違う。……3、4も別の人)


そして、


「あった! 8位……」


実技の練習に押されながらも筆記の勉強を必死にしていたが、前回の1位からは7つも順位を落としてしまった。


「悔しい……」


実技など初めてだったのもあって、筆記の勉強にあまり時間が割けなかったとは言え、8位まで落ちたのは悔しかった。


自分の上にどんな人がいるのか知りたくて、7位から上の名前を順々に見て行く。1位まで行ったところで、見知った名前が出て来た。


(……アンバー・タッガオ……か。あの人も優秀だって、クラリス先輩に褒められてたしな……)


ふーん、と思ったレミアには、本人も知らない内に、アンバーへのライバル意識が芽生える。


そして、そろそろ……、と思い、実技の結果の方に視線を動かした。


(頑張れ私……!)


祈ったところで結果が変わるわけでもないのに、全力で天に祈った。


そして、上から順に探していく。

ありえないだろう、ということで、1〜5位はサッといっぺんに見た。やっぱりなかったし、1位は相変わらずアンバーだった。


そして──


「あ、あった……! じゅ、」


そこまで言って、レミアは止まる。


(15位だ…………)


もしかして総合なら……!と淡い期待を抱き、レミアは(すが)るように総合順位の方を見る。


結果は──、


「11位……か」


レミアはがっかりしたものの、意外とそこまでのショックを受けていないような気がした。


「ま、頑張ったし、あれが全力だったからしょうがない」


(でも、みんなが私のために時間を割いてくれて、あんなに教えてもらったのに、こんな結果になっちゃったのは申し訳ないな……)


そう思いながら、これまでの日々を思い返してふと気付く。


「あれ……!? ていうか!! 生徒会メンバーでいるために10位以内じゃなかった!?」


10位以内!だけが印象に残り、当初の目的をすっかり忘れていたレミアは、慌てふためく。


(え、どうしよう──!?)


これで除籍とかになったらどんな顔をしてればいいんだ、とレミアは頭を抱えた。


(生徒会、別に入りたかったわけでもないのに……! もう……!!)


レミアの胃は、ストレスでキリキリとし始めていた。

閲覧ありがとうございます!

高評価、ブクマ、感想、リアクションなどなど、大変励みになっております!ありがとうございます!

まだの方もぜひ応援していただけるとモチベに繋がって嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ