【第32話】助けて!ルクス先輩③
※第30話のタイトルを「助けて!ルクス先輩」→「助けて!ルクス先輩①」に変更しました。
※第31話のタイトルを「演習場α」→「助けて!ルクス先輩②」に変更しました。
「クラリスちゃんを呼んで来なさい!!!!!」
アモのその言葉に、ロイリーが「あ〜、なるほどッス……」と零す。
なんでだろう、と思い、レミアがロイリーの方を見ると、ロイリーは丁寧に説明してくれる。
「クラリスちゃんはめ〜〜ちゃくちゃ努力家なんス!」
「そうだね、クラリスは唯一緑ピンズから生徒会入りしているからね。風当たりも強い中、よく頑張ってるよ」
そう言って、ロイリーの説明をルクスが繋いだ。
「あの……、風当たりって……?」
レミアは不思議に思い、そう聞く。
さっき見た目安箱の内容を思い出す限り、批判的な内容はなかった気がしたからだ。
2人は顔を見合わせて黙っている。ルクスが瞬きもせず、じーーーっとロイリーを見つめていた。
「えっ!? 俺ッスか……!?」
ルクスが無言で見つめてくる意味を察したロイリーは、困ったように頬をかきながら、慎重に言葉を選んでいる様子で話し出す。
「ん〜……、緑ピンズって、言うなれば……えっと、"普通"なんスけど、だからこそ、そんな普通の奴が生徒会みたいな上位の組織に入るなんて〜っていうやっかみみたいなのが後を立たないんスよ……。でも俺含め、生徒会メンバーは全員そんなこと思ってないスからね!? 最近はクラリスちゃんの頑張りを認めてくれる人も増えたみたいで、そういう声も減ってきたんスけど……」
そこまで言って、ロイリーは「こんな感じで大丈夫スか……?」みたいな目で、ルクスを見つめる。
「うん、僕らもそういうのを見かけたら、本人の目に入る前に、なるべく早く潰すようにしてるからね」
そう言って、ルクスは紙を握り潰すかのような動作で、右手の拳をギュッと握る。相変わらず、ちょっと怖い。
「……そうだったんですね」
(大変だったんだ……)
レミアはその気持ちが痛いほどわかるような気がした。魔法絶対主義の世界で、身分故に理不尽な扱いを受けてきたのは一緒だったからだ。
(こんな世界で辛かったのは私だけじゃない……。みんなそれぞれ、その人なりの苦労があるんだ……)
「まぁ、問題はクラリスが来てくれるかどうかだけれど」
「……そうッスね……」
2人は並んで、うーん……、と首を捻る。
「クラリスは現在をその努力で勝ち取ってきた子だからね。……レミアのような経歴の子とは相性が良くないかもね」
ルクスはレミアをチラリと確認してそう言うと、「もちろん、レミアが悪いわけではないけどね」と付け足した。
(そうか……、クラリス先輩が私にああいう態度をとるのもそういう理由だったのか……)
レミアは、そう考えて納得する。
そして、初めてクラリスと対面したときのことを思い出していた。
――――――――――
「まぁ、いいでしょう。そういうことで、あなたは今日から生徒会メンバーです。でも私はあなたをまだ、認めていません。精々頑張ることね」
――――――――――
クラリスはそう言っていた。
(「まだ認めてない」って言ったんだ。頑張り次第で認めてくれる、ってことだよね……?)
じゃあ、自分もクラリスを見習って頑張ろう、とレミアは意気込む。
まずは、魔法の練習を頑張って認めてもらわなくちゃ、そう考えた。
「わ、私、相性が悪くても、嫌われてても、クラリス先輩にお願いしてみます……! 頑張りたいから……!」
「……うん。いいんじゃないかな」
ルクスは、暫く考えてから、にっこりと笑って頷いた。
「ってことでさっそく!……と、言いたいとこスけど、とりあえず、今日はこのメンバーで特訓するのが良さそうスかね……?」
「そうだね……。クラリスの説得には時間がかかるだろうし、そもそも完全下校時刻まであと少ししか時間がない」
(まずはこの、光を灯す魔法だけでもマスターするぞ……!)
「そうだ、アモさんは協力してくれないんですか?」
1秒たりとも時間を無駄にしないぞ、と、レミアが気合いを入れていると、「なんだ、いい人がいるじゃないか」といった風に、ルクスが言う。
「残念。私は全員の状態観察と、リアルタイムで結界の見張りをしないといけない、この空間の監督役だから無理」
「そうなんスか〜……」
ロイリーがしょげた犬のように、残念そうに首をもたげてそう言った。
「……しょうがないな! 3人しかいないし、今回だけ特別だからね!」
悲しそうなロイリーの様子に心を刺激されたのか、アモがそう言うと、ロイリーは嬉しそうに「マジスか!?」と顔をあげる。
ルクスは無表情で2人のその様子を見ている。
レミアは、全てルクスの計画の内なのではないか……? と思わず感じていた。
「手短にいくよ! まず、体が硬い! 緊張が原因だから、リラックスして。ここではどんなに強い魔法を出しちゃっても大丈夫だから。それから、不発なのは、力を集中させるイメージが分散しちゃってるのが原因だと思う。もっと、自分の中心から指の先へ、光が流れて通るイメージを絶やさないで。それはどんな光? 温かい? 冷たい? 白い? 青い? オレンジ? もっと想像して! 指先に光が灯る状態を!」
(すごい……、ものすごくわかりやすい……)
レミアは、アモのその説明のわかりやすさに感動する。
言われた通り、先ほどよりも鮮明にイメージをする。
(中心から指先へ。温かい光の線が、束になって滑らかに腕を流れる。キラキラと川のせせらぎのように。それは少し温かみのあるオレンジを纏った白)
そして、呪文を唱えた。
「clgop!」
すると、指先に、レミアがすっぽりと収まるほどの大きな光が現れる。
それは、数秒ほど留まった後に、ふわり、と消えた。
「や、やったぁ……!!」
レミアは思わず小さく、ぴょん、と飛び上がる。
(嬉しい! できた!! すぐ消えちゃったし、大きすぎたけど……!)
「わっ! おめでとうッス!!」
ロイリーが、自分事のように拍手をしながら、はしゃいで喜んでくれる。
「……すごいな、おめでとう」
ルクスは自分が教えたときとの差を目の当たりにして、思わず目を見開いていた。
「おぉ……! すごい!! おめでとう!! 筋がいいね!! 理解力が高い!!」
そう言って、アモも褒めながら喜んでくれた。
「皆さん……! ありがとうございます!!」
レミアは満面の笑みで、バッと直角にお礼をする。
そして、またまぐれにならないよう、感覚を忘れない内に、さっきと同じように呪文を唱えた。
「clgop!」
すると、さっきと全く同じ光が指先に灯った。
(嬉しい! 出来た! 出来た……!!)
相変わらず、すぐ消えるし、大きすぎて不完全だったが、レミアは、嬉しくて、嬉しくて、喜びを噛み締めた。
そんな様子のレミアを皆が穏やかな表情で見守る。
その裏では、完全下校時刻を知らせる鐘が静かに鳴っていた。
《復習コーナー》
ピンズの色の順番。身分が高い方から、
紫→青→水色→緑→黄色→オレンジ→赤
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